駐車禁止でなければ、消火栓の5m以内に駐車してもいい?
あなたの運転、ひょっとしたら違反かも運転歴が長くなると、違反行為かどうかを気にせずハンドルを握ることも多くなりがち。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。今回は、駐車禁止が解除されている道路の、消火栓の標識のそばに駐車する際のクイズです。
日曜日に片側1車線の道路を進んでいます。駐車禁止の標識はあるものの、「土・日曜、休日を除く」の補助標識が付いています。道路脇に駐車車両が並ぶなか、近所で用事があるため駐車する場所を探していたところ、消火栓の標識の真下が空いていたので、そこに駐車し、用事を済ませました 。
この行為は、以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?
- 1.消火栓の標識の真下に駐車したので違反
- 2.パーキングメーターが設置されていないので違反
- 3.日曜日は駐車禁止が解除されているので、違反にはならない
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答え:1. 消火栓の標識の真下に駐車したので違反
道路交通法第45条第1項本文は、「道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、駐車してはならない」として、駐車が禁止される場所について規定しています。
設問の道路では、駐車禁止の標識とあわせて「土・日曜、休日を除く」という補助標識がありますから、設問の運転者が駐車した日曜日には、駐車禁止の規制は解除されています。しかし、駐車した場所の上には「消火栓」の標識があります。
道路交通法第45条第1項は、駐車が禁止される「次に掲げるその他の道路の部分」として、消火栓などから5m以内の部分(同項四号)を掲げており、この駐車禁止は補助標識で解除されません。
従って、正解は1の「消火栓の標識の真下に駐車したので違反」となります。
下に引用する条文のとおり、同項四号は、消火栓だけでなく指定消防水利や消防用防火水槽の周辺5mの駐車も禁止しています。これは、火災が発生したときにスムーズに消火活動を行うことができるようにするためのものです。このほかにも、駐車禁止が解除される場合でも解除されない駐車禁止場所がありますから、駐車するときは注意しましょう。
道路交通法
(駐車を禁止する場所)
第45条 車両は、道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、駐車してはならない。ただし、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない。
一 人の乗降、貨物の積卸し、駐車又は自動車の格納若しくは修理のため道路外に設けられた施設又は場所の道路に接する自動車用の出入口から三メートル以内の部分
二 道路工事が行なわれている場合における当該工事区域の側端から五メートル以内の部分
三 消防用機械器具の置場若しくは消防用防火水槽の側端又はこれらの道路に接する出入口から五メートル以内の部分
四 消火栓、指定消防水利の標識が設けられている位置又は消防用防火水槽の吸水口若しくは吸管投入孔から五メートル以内の部分
五 火災報知機から一メートル以内の部分
(以下略)
松居英二
まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。