これって違反なの!? 道路交通法クイズ

「標章車専用」の補助標識がある駐車可のスペースが空いていたので駐車したら…違反?

あなたの運転、ひょっとしたら違反かも

2023.06.10

監修=松居英二(弁護士) /イラスト=どいまき

2023.06.10

監修=松居英二(弁護士) /イラスト=どいまき

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運転歴が長くなると、違反行為かどうかを気にせずハンドルを握ることも多くなりがち。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。今回は、「標章車専用」の補助標識がある駐車可のスペースに駐車する際のクイズです。

駅のロータリー内を駐車場所を探しながら走行していると、「P」の標識の下に「標章車専用」の補助標識がある駐車区画に気づきました。「標章車専用」とありましたが、「P」の標識がある以上駐車しても問題ないと思い、そのスペースに駐車しました。
この行為は以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?

答え:2 高齢運転者等標章を掲示していないので、駐車するのは違反

上記の「P」と補助標識「標章車専用」とで示された規制は「高齢運転者等専用駐車区間」を定めるものです。高齢者(70歳以上の方)、聴覚障害や肢体不自由であることを理由に免許に条件を付されている方、妊娠中又は出産後8週間以内の方(以下「高齢運転者等」)のために、高齢運転者等が日常生活で利用する官公庁や病院、駅の周辺に、駐車できる場所を設けるために設置されています。

ただし、対象の高齢運転者等であれば利用できるというわけではありません。
高齢運転者等専用駐車区間に駐車するためには、あらかじめ警察署に申請を行って高齢運転者等標章の交付を受け、車両前面の見やすい箇所(フロントガラスのある普通自動車ではその内側)に標章を掲示していなければなりません。
高齢運転者等標章は、高齢運転者標識(道路交通法第71条の5第3項。いわゆる高齢者マーク)や初心運転者標識(同条第1項。いわゆる初心者マーク)とは異なるものですから、これらのマークを付けていても駐車することはできません。

従って2が正解です。

この「高齢運転者等専用駐車区間」は、2010年施行の改正道路交通法によって開始された制度で、駐車場を探しながら運転を行う高齢運転者等を支援し、彼らに優しい道路交通環境の実現をめざすためのものです。一般のドライバーは制度の趣旨を理解し、このスペースに駐車してはいけません。


道路交通法
(高齢運転者等標章自動車の停車又は駐車の特例)
第45条の2 次の各号のいずれかに該当する者(以下この項及び次項において「高齢運転者等」という。)が運転する普通自動車(当該高齢運転者等が内閣府令で定めるところによりその者の住所地を管轄する公安委員会に届出をしたものに限る。)であつて、当該高齢運転者等が同項の規定により交付を受けた高齢運転者等標章をその停車又は駐車をしている間前面の見やすい箇所に掲示したもの(以下「高齢運転者等標章自動車」という。)は、第44条第1項の規定による停車及び駐車を禁止する道路の部分又は前条第1項の規定による駐車を禁止する道路の部分の全部又は一部について、道路標識等により停車又は駐車をすることができることとされているときは、これらの規定にかかわらず、停車し、又は駐車することができる。
一 第71条の5第3項に規定する普通自動車対応免許(以下この条において単に「普通自動車対応免許」という。)を受けた者で七十歳以上のもの
二 第71条の6第2項又は第3項に規定する者
三 前2号に掲げるもののほか、普通自動車対応免許を受けた者で、妊娠その他の事由により身体の機能に制限があることからその者の運転する普通自動車が停車又は駐車をすることができる場所について特に配慮する必要があるものとして政令で定めるもの
(以下略)

(高齢運転者等専用時間制限駐車区間)
第49条の2 公安委員会は、時間制限駐車区間を、時間を限つて同一の高齢運転者等標章自動車に限り引き続き駐車することができる道路の区間として指定することができる。この場合において、公安委員会は、前条第1項の道路標識等にその旨を表示するものとする。

「高齢運転者等標章」見本の画像

高齢運転者等標章の見本(警視庁ウェブサイトより引用)。全国の高齢運転者等専用駐車区間で使える。「駐車禁止等除外標章」の交付を受けている人も、除外標章を掲示することで高齢運転者等専用駐車区間に駐車が可能だ。

高齢ドライバーの安全運転について詳しくは、こちらもチェック!

松居英二

まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。

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