監修=松居英二(弁護士) /イラスト=どいまき

電動キックボードを15歳の子供に買い与えた。これって違反?

あなたの行動、ひょっとしたら違反かも

運転歴が長くなると、違反かどうかを気にしなくなりがち。どこが違反にあたる行為なのかをクイズで再確認しましょう。今回は、2023年7月に解禁された特定小型原動機付自転車(以下特定小型原付)のキックボードを購入に関するクイズです。

2023年7月から公道で乗れるようになった、特定小型原付にあたる電動キックボードを子供と一緒に見に行きました。すると、来月16歳になる子供が自転車代わりの交通手段として欲しがったので「乗るのは16歳になってから」と約束して自分の名義で購入し、買い与えました。
この行為は、以下の選択肢うちどれに該当するでしょうか?

答え:1 16歳未満の子供に買い与えたので違反となる可能性がある。

特定小型原付に属する電動キックボードは、16歳以上であれば運転免許証がなくても運転できるようになりました。道路交通法では16歳未満の人が運転することを禁止しているのはもちろん(道路交通法第64条の2第1項)、16歳未満運転禁止に違反して「運転することとなるおそれがある者」に対して特定小型原付を提供することも禁じています(同条2項)。この「提供」には、貸す・買い与える・譲渡するという行為が含まれています。従って正解は1の「16歳未満の子供に買い与えたので違反となる可能性がある」です。

16歳未満の子供に、来月16歳になるまで乗らないと約束させて買い与えていることが、「運転することとなるおそれがある者」への提供に当たるかどうかが問題となりますが、子供が約束を破り、誕生日前に運転する可能性がありますから、違反にならないためには、購入してもすぐに渡さず、16歳の誕生日になってから渡すことが望ましいでしょう。

特定小型原付の電動キックボードはこれまでにない交通手段であり、新しいルールがつくられています。購入者の年齢確認の徹底や交通ルール等の周知を行うことが販売者に求められていますが、特定小型原付のユーザーは、購入時に学んだルールをしっかり理解して運転しなければなりません。車やバイクに乗る人も、周囲の特定小型原付がどのような動きをするのか、ルールを確認しておくことが必要です。


道路交通法
十六歳未満の者による特定小型原動機付自転車の運転等の禁止
第64条2 十六歳未満の者は、特定小型原動機付自転車を運転してはならない。
2 何人も、前項の規定に違反して特定小型原動機付自転車を運転することとなるおそれがある者に対し、特定小型原動機付自転車を提供してはならない。

松居英二

まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。

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