特集

車のライトはなぜ眩しい? 原因と解決策を徹底調査!

専門家のお話とJAF Mate誌の読者アンケートから、ヘッドライトを眩しく感じさせないコツを教えます。

2024.01.18

取材協力=入倉 隆(芝浦工業大学名誉教授)、菰田 潔(モータージャーナリスト)、堀口浩史(東京慈恵会医科大学講師)/撮影=落合憲弘

2024.01.18

取材協力=入倉 隆(芝浦工業大学名誉教授)、菰田 潔(モータージャーナリスト)、堀口浩史(東京慈恵会医科大学講師)/撮影=落合憲弘

1年点検を受けると、だれにでもチャンス

夜間の走行中や歩行中、車のヘッドライトを眩しく感じたことがある人は多いはず。
とはいえ、眩しいからと眼を閉じたり背けたりすると、大きな事故に繋がりかねません。
安全な走行を続けるために、ヘッドライトによる眩惑(目が眩むこと)を防ぐとともに、
眩惑を起こさせないためのポイントも併せてご紹介します。

※JAF Mate 2021年2・3月号「なぜ眩しい? 車のライト」を再構成して掲載しています。

ハイビーム走行が夜間の歩行者事故を防止する

「夜間の運転はハイビーム(上向き)が基本」。その理由は、街灯が少なく暗い道を走行するような際、ハイビームにすることで歩行者を遠くから発見でき、早いうちに危険を回避できるからだ。
下記のグラフは、ハイビームを活用することによる事故防止効果を分析したもの。夜間・自動車直進中における自動車対歩行者の死亡事故の半数以上が、ハイビームであれば回避できた可能性が高かったという。

自動車対歩行者死亡事故(夜間・自動車直進中)における
前照灯上向き点灯による衝突回避可能性調べ

車の前照灯上向き点灯による衝突回避可能性を示したグラフ

資料=警察庁Webサイト
平成29年上半期における交通死亡事故の特徴等について(抜粋)
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/highbeam.html
(注) 警察庁の統計資料(平成28年)に基づき、「自動車対歩行者」による死亡事故(夜間・自動車直進中(カーブを含み、右左折時等は含まない。)について、前照灯上向き点灯以外という条件のほか、一般道/非市街地/運転者の人的要因が発見の遅れ(居眠り運転は含まない。)/酒酔い・過労運転等以外/衝突回避が困難な著しい高速度(上向き点灯の照射範囲100mを制動距離が超える速度)及び下向き点灯であっても余裕をもって停止できる速度以外という条件で絞り込んだ。(740件 → 225件)
・上記対象事故225件に関して、都道府県警察において、事故発生時の具体的状況の精査を行い、前照灯上向き点灯を使用していたと仮定した場合に、障害物と歩行者との距離関係等を踏まえて算出した自動車から歩行者発見地点までの距離、当時の自動車速度等を総合的に勘案し、衝突回避の可能性が低い事故を99件とした。(その結果、126件は衝突回避できた可能性が高い事故と認められた。)

過去のJAFユーザーテスト では、ハイビームとロービーム(下向き)で走行したときに前方の障害物に気づき、ブレーキで回避できるかを試している。ハイビームでは障害物から平均82m手前で停止できたのに対し、ロービームでは発見が遅れ、速度によってはブレーキが間に合わずに衝突してしまった(下表)。ハイビームは、事故防止に一定の効果があることが、ここからもわかる。

ハイビームとロービームでの停止位置の違い

ハイビームとロービームでの車の停止位置の違いを示したイラスト

ロービームで走行中に障害物に衝突したテスト走行画像

ロービームで走行中、障害物の発見が遅れて障害物に衝突した、JAFユーザーテストの一コマ

読者に聞いた! ハイビームを眩しく感じるシーンとは?

JAF Mate 誌が行った読者アンケートで「夜間、ヘッドライトのハイビームを眩しいと感じたことはありますか?」という質問に対し、96%の人が「はい」と答えている。さらに、運転中、特に眩しいと思った状況を聞いたところ、最も多かったのは対向車のヘッドライトで、その他は下表のような結果となった。安全運転に欠かせないヘッドライトだが、他車や自転車、歩行者に眩しさを感じさせることもある。ハイビームならなおさらである。

JAF Mate 読者に聞いた、運転中などで特に眩しいと思った状況

運転中に眩しいと思った状況のアンケート結果を示したグラフ

  • アンケート総数は51,781件(複数回答可)

LEDのヘッドライトやブレーキランプはなぜ眩しい?

眩惑に詳しい入倉 隆・芝浦工業大学名誉教授は、ヘッドライトの光が強くなったことを挙げるとともに、「LEDによってライトの色温度が高くなっていることも理由のひとつ」と指摘する。LEDの白い光は色温度が高く、その光源が直接見える人は眩しさを感じやすい。また、LEDが点で光るブレーキランプも、面が光るランプと比べて眩しさを感じやすい傾向があるという。

LEDライトの眩しさを表した画像

対向車や歩行者を眩しくさせない5つのポイント

自車のライトで相手を眩惑させないためには、いくつかの方法がある。3人のモニターを使って試してみた。

Point1. ハイビームとロービームを早めにこまめに切り替える

後続車が接近してくる場合

ハイビームの後続車が時速10㎞で接近してきたときに、どの距離で眩しさや不快さを感じ、直視できなくなったかを調査。このとき、ルームミラーの防眩機能はオフにした。

後続車のライトがどの距離で眩しさを感じたかの調査写真

後続車がハイビームで接近してきたときの距離と眩しさの関係

眩しく感じた距離 不快に感じた距離 直視できない距離
モニターA 289m 222m 155m
モニターB 232m 165m 87m
モニターC 248m 138m 57m
平均 256m 175m 100m

対向車が向かってくる場合

ハイビームの対向車が時速10㎞で接近してきたときに、どの距離で眩しさや不快さを感じ、直視できなくなったかを調査。なお、ドライバーは正面を見るようにした。

対向車のライトがどの距離で眩しさを感じたかの調査写真

対向車がハイビームで接近してきたときの距離と眩しさの関係

眩しく感じた距離 不快に感じた距離 直視できない距離
モニターA 300m超 273m 180m
モニターB 300m超 270m 187m
モニターC 300m超 275m 205m
平均 300m超 273m 191m

後続車にハイビームで照らされた場合、約100mでミラーを直視できない状態に。また、対向車からの場合は300m超でも眩しさを感じ、直視できなくなる距離も約190mと離れていた。モータージャーナリストの菰田 潔氏によれば、「今のハイビームは昔より眩しく感じるので相手を直撃しない注意が必要。素早くロービームへの切り替えができるようハイビーム状態を示す計器盤内の青色の表示灯が点灯しているときは意識することが大事」とのことだ。

Point2. カーブではハイ・ローをうまく使う

左カーブでは、対向車が近づいて来るのがわかったら早めにロービームに。車が見えてからではハイビームが相手のドライバーを直撃してしまう。右カーブではハイビームが対向車を直撃しないので、車が見えた直後にロービームにしてもよい。

カーブ走行中のハイビームの見え方を示した画像とイラスト

Point3. オートハイビームを使う

自動でハイビームとロービームを切り替えたり、先行車や対向車に光が当たる部分だけを遮光したりする機能(メーカーによって呼び方は異なる)を装備した車であれば、活用するのも効果的だ。

オートハイビームの切り替えボタンを示した写真

Point4. 不要なフォグランプは消す

フォグランプは前後とも、晴れた夜に使うと他車を眩惑させる原因になる。雨や霧でない場合は消しておくこと。

点灯しているフォグランプを示した写真

Point5. 信号待ちではヘッドライトは消さない

信号待ちをしている間は、自車の存在をアピールするために、上り坂に停車しているなどで対向車を眩惑するような状況でない限り、ヘッドライトはつけたままにするのが原則。信号待ちの間は100m先を確認する必要性はそれほどないので、ロービームをつけておくとよい。

ヘッドライトをつけたまま信号待ちをしている車を表した写真

他車のヘッドライトを眩しく感じないようにする2つのポイント

明るすぎる光を眩しく、不快に感じるのは、眼という感覚器官が強い光で損傷しないようにするための、きわめて自然な反応だ。そのため、対向車のライトで眩惑されない対策を行うことも大切だ。長い時間眩惑された状態が続くと、視力の回復に時間がかかるというデータもあり、眩惑によって視力が落ちた状態で運転することは事故の原因となりかねない。運転に支障をきたすほど眩しく感じたら速度を落とし、可能であれば一旦停止して視力の回復を待つようにしたい。
夜間走行時は、向かってくる車や自転車、歩行者を発見したらヘッドライトをロービームにすること。同時に、ロービームにすることで歩行者の発見が遅れる場合があることを考慮し、速度を落とすことも大切だ。

Point1. 視線を左に、可能であればわずかにそこから下を見る

対向車の眩惑を防ぐ手段として「安全な範囲でわずかに下を見る(前出・入倉名誉教授)」方法もよいという。そこで前述の「対向車が向かってくる場合」と同条件で、視線を左下(50m先の道路の端周辺)に向けると眩しさが変化するか調べた。結果、不快に感じた距離は、正面を見た場合に比べて平均で50m短くなった。

対向車の眩惑を防ぐ方法として視線のそらす位置を示した写真

対向車がハイビームで接近してきたときの距離と眩しさの関係
(視線を左下に向けた状態)


眩しく感じた距離 不快に感じた距離 直視できない距離
モニターA 300m超 223m 195m
モニターB 300m超 225m 155m
モニターC 300m超 220m 133m
平均 300m超 223m 161m

Point2. ルームミラーの防眩機能を使う

前述の「後続車が接近してくる場合」と同じ条件で、ルームミラーの防眩機能をオンにしてみた。すると、防眩機能オフの状態と比べて眩しく感じた距離が平均で85m短くなり、眩しさを緩和することができた。眩しさを感じたら切り替えよう。

ルームミラーの防眩機能を操作している写真

後続車がハイビームで接近してきたときの距離と眩しさの関係
(ルームミラーの防眩機能オン)


眩しく感じた距離 不快に感じた距離 直視できない距離
モニターA 251m 131m 72m
モニターB 167m 91m 46m
モニターC 95m 66m 33m
平均 171m 96m 50m

いつもより眩しさが気になる…。眼の病気が原因?

眼の病気が原因で、光がより眩しく感じることもある。病気による眩しさを研究している堀口浩史・東京慈恵会医科大学講師に話を聞いた。

眼の病気で夜間の運転時に眩しさを感じるのであれば、ひとつは白内障が考えられます。加齢や外傷など、さまざまな原因で水晶体などに濁りが生じ、眼内に光が拡散することによって起こります。夜に見にくくなったり、視界がかすんで見えたりするような場合は白内障の可能性があります。

ドライアイも注意すべき病気です。眼の表面に傷がつくと眼の乾きも感じやすくなり、眼の表 面に凹凸ができることで光が散乱しやすくなります。日頃から加湿するとともに、昼間のうちから乾燥を防止する目薬をさすと、夜間の眩しさや疲れ目が改善すると思います。

また、ドライブ中は休憩を入れて眼を休めることも良いでしょう。

眼の病気を簡単に調べるには、片眼を隠して見ることです。光の滲み方が右眼と左眼で違うような場合は、眼の病気である可能性が高い。眼の病気は自分ではわかりにくいものもありますので、かかりつけ医を持つとともに、定期的な検診もおすすめします。(談)

正常な眼の状態を示したイラスト

白内障の眼の状態を示したイラスト

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