歩行中に見たミニバン挟み込みのヒヤリ
シニア世代の思い込み運転を考える高齢者の運転に詳しい専門家が、高齢ドライバーにありがちな思い込み運転やヒヤリハット体験を、同じ高齢者の立場からわかりやすく解説するこのコラム。今回は、ミニバンのスライドドアに子供を乗せたベビーカーの一部が挟まり、引きずられそうになった話。スライドドアは便利で装着車が増えているが、電動で閉まるタイプは発進時の安全確認が重要だ。
子供を乗せたベビーカーが引きずられる!
赤ちゃんを抱き、ミニバンを降りる女性。その女性の父親と思われる高齢ドライバーはベビーカーを降ろし、女性のそばに置く。女性は赤ちゃんをベビーカーに乗せ、何やら世話をする。ドライバーはひと仕事終えた風情で運転席に戻り、合図して電動スライドドアを閉める。
ミニバンが発進した瞬間、ベビーカーも引っ張られるように動き出した、女性が叫ぶ。思わず見ていたこちらも「危ない!」と大声で叫んだ。驚き、気づいたドライバーは急ブレーキを踏んだ。
ドアにベビーカーの何かが触れていたか挟まっていたか原因はわからないが、傾いたベビーカー内で赤ちゃんは無事だった。ホッとした空気が流れる。温かな家族の関係と思われるほほ笑ましい光景が、一瞬にして修羅場になるところだった。
気になってミニバンやワンボックス車のスライド式ドアの挟み込み事故を調べてみた。年間の統計数字は見当たらなかったが、使い手の不注意による事故の多さを物語るかのように、各メーカーのウェブサイトに注意点が載っていた。
半ドア防止機能付きの電動スライドドアには挟み込み防止機能が付いているものもあるが、場合によっては防止機能が働かなかったり、下り坂でスライドドアの固定が甘いと一気にドアが閉まったりすることがあるので、注意が必要とある。
かつてJAFユーザーテストでパワーウインドーが閉まる力をテストしたとき、大根がスパッと切れてしまうほどの力に驚かされたが、スライドドアの重さを考えれば、その比ではないように思う。
ユーザーに高齢ドライバーが多い軽ワンボックスでも、スライドドアが人気だ。開閉時には子供たちや周囲の人々の居場所の確認が第一だが、冒頭で紹介したベビーカーへの注意以外にも、自身の足腰の弱さから車に手を添えるような際の腕や手、指の位置など、挟み込み防止機能が付いていたとしても、くれぐれも用心を。
- 運転をあきらめないワンポイント
スライドドア開閉時は、必ず周囲の確認を。
シニア向け講習会情報
- 実技講習会「ドライバーズセミナー シニアコース」を開催中
「ドライバーズセミナー シニアコース」は、50歳以上のベテランドライバーを対象とした交通安全講習会です。マイカーを使用し、陥りやすい事故形態を想定した実技体験などを通じて、『自分のクセ』と『自分の身体能力の変化』を認識し、安全運転につなげていただける講習です。詳しくは下記をクリック!
エイジド・ドライバー総合応援サイト(高齢運転者向けウェブトレーニング)
運転に関する能力は年齢とともに低下する傾向にあります。大切なのが、今の自分の能力を正しく把握し、能力に応じた運転やトレーニングを続けること。また、加齢と運転に関する正しい知識も欠かせません。この「エイジド・ドライバー総合応援サイト(高齢運転者向けウェブトレーニング)」をご活用ください!