文=岩越和紀(NPO法人高齢者安全運転支援研究会・理事長)/イラスト=平尾直子

青でも、見通しの悪い横断歩道は要注意!

シニア世代の思い込み運転を考える

高齢者の運転に詳しい専門家が、高齢ドライバーにありがちな思い込み運転やヒヤリハット体験を、同じ高齢者の立場からわかりやすく解説するこのコラム。今回は歩行者信号が赤にもかかわらず、高齢歩行者が渡り始めて慌てた話。見通しが悪い横断歩道を通過する際は、信号が青でも決して油断しないことが大切だ。

高齢歩行者が信号を無視して死角から出てくる!

昼間、歩行者も車も多い繁華街の信号機のある横断歩道に近づいていた。左の路肩には中型トラックが止まり荷下ろししていたので、その陰になって信号待ちをしている歩行者が見えづらい状態だった。

信号は青。前のタクシーがスピードを落としながら横断歩道を通過していく。こちらも続いてと思った瞬間、なんと、高齢の男性がまるで歩行者信号が青であるかのように、悠然と現れ、目の前を渡っていく。

この高齢者から見れば、トラックの陰で右側が確認しづらく、車が来ないと思ったのか、信号のカン違いかわからないが、危ないところだった。

実はこの横断歩道、散歩時にもよく通るところで、道幅にして10歩程度、すぐに渡れてしまうので、信号を無視して渡ってしまう人が多く、普段から要注意ポイントなのだ。だから、高齢者を含む歩行者の危険な行動への備えはできていた。

これが初めてのところだったら、と思うと冷や汗ものだ。当NPO法人(高齢者安全運転支援研究会)で行っている急ブレーキテストでも、高齢ドライバーの場合“咄嗟(とっさ)のブレーキ”に衰えが多く見られるので、やはり信号が青でも見通しの悪い横断歩道等に近づいたらスピードダウンしかない。

指をさす男性

見通しの悪い横断歩道ではスピードダウンを。

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