高齢ドライバーのヒヤリハット

事故から学ぶ、自身の健康チェック

シニア世代の思い込み運転を考える
2022.09.30

文=岩越和紀(NPO法人高齢者安全運転支援研究会・理事長)/イラスト=平尾直子

2022.09.30

文=岩越和紀(NPO法人高齢者安全運転支援研究会・理事長)/イラスト=平尾直子

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1年点検を受けると、だれにでもチャンス

高齢者の運転に詳しい専門家が、高齢ドライバーにありがちな思い込み運転やヒヤリハット体験を、同じ高齢者の立場からわかりやすく解説するこのコラム。今回は、近くで起きたタクシードライバーによる死亡事故の話。最近問題になっている健康起因事故は、職業ドライバーのみならず、一般の高齢ドライバーにとっても重要な問題だ。

高齢のタクシードライバーによる死亡事故

最寄りの駅前ロータリーで81歳のタクシードライバーの事故があった。車2台を玉突き状に押し出し、自らは飲食店に突っ込み、亡くなった。このロータリーは楕円形で直線部は20m足らず。コンビニに設置された防犯カメラの映像では、かなりのスピードであったという。事故現場を見ると建物のキズも生々しく、衝突の激しさをうかがわせた。

目撃者の話として、衝突前には意識がなかったのでは? との報道もあった。事故原因は明らかにされていないが、高齢ドライバーによる事故の際によく耳にする言葉である。

平成20年代の半ば、高齢の個人タクシードライバーの健康理由による重大事故が続き、それまで法人のタクシー業界にあった『事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル』を中心とした『個人タクシー事業者の健康管理についての申し合わせ』などの対策も行われたが、いまだに運転と健康の問題は高いリスク要因となっている。

健康管理に気を使っているはずのプロの、高齢の運転者の死亡事故だけに、身につまされるものがある。少なくともハンドルを握る前に、運転できるコンディションなのか、心臓に、四肢に、なにか違和感はないかを、高齢脳の奥底に問う日常でありたい。

指をさす男性

運転に問題はないか、日頃の体調に気を配ろう。

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