事故から学ぶ、自身の健康チェック
シニア世代の思い込み運転を考える高齢者の運転に詳しい専門家が、高齢ドライバーにありがちな思い込み運転やヒヤリハット体験を、同じ高齢者の立場からわかりやすく解説するこのコラム。今回は、近くで起きたタクシードライバーによる死亡事故の話。最近問題になっている健康起因事故は、職業ドライバーのみならず、一般の高齢ドライバーにとっても重要な問題だ。
高齢のタクシードライバーによる死亡事故
最寄りの駅前ロータリーで81歳のタクシードライバーの事故があった。車2台を玉突き状に押し出し、自らは飲食店に突っ込み、亡くなった。このロータリーは楕円形で直線部は20m足らず。コンビニに設置された防犯カメラの映像では、かなりのスピードであったという。事故現場を見ると建物のキズも生々しく、衝突の激しさをうかがわせた。
目撃者の話として、衝突前には意識がなかったのでは? との報道もあった。事故原因は明らかにされていないが、高齢ドライバーによる事故の際によく耳にする言葉である。
平成20年代の半ば、高齢の個人タクシードライバーの健康理由による重大事故が続き、それまで法人のタクシー業界にあった『事業用自動車の運転者の健康管理マニュアル』を中心とした『個人タクシー事業者の健康管理についての申し合わせ』などの対策も行われたが、いまだに運転と健康の問題は高いリスク要因となっている。
健康管理に気を使っているはずのプロの、高齢の運転者の死亡事故だけに、身につまされるものがある。少なくともハンドルを握る前に、運転できるコンディションなのか、心臓に、四肢に、なにか違和感はないかを、高齢脳の奥底に問う日常でありたい。
- 運転をあきらめないワンポイント
運転に問題はないか、日頃の体調に気を配ろう。
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