文=岩越和紀(NPO法人高齢者安全運転支援研究会・理事長)/イラスト=平尾直子

白内障手術の後先

シニア世代の思い込み運転を考える

高齢者の運転に詳しい専門家が、高齢ドライバーにありがちな思い込み運転やヒヤリハット体験を、同じ高齢者の立場からわかりやすく解説するこのコラム。今回は、白内障の手術を受けたことによって視機能が改善した話。視機能の向上は安全に直結するうえ、運転を続ける意欲にもつながるので、高齢ドライバーにとって重要だ。

手術後、標識の文字もくっきり見えるように

ここ数年、眩(まぶ)しさを感じやすくなっていた。穏やかな冬の太陽でさえギラついて見えるほどだ。夜間の運転はさらにつらい。対向車のヘッドライトが眩しく、光の周辺の闇の部分が見えにくい。横断歩道などで歩行者が数人いた場合、対向車のライトが眩しすぎて、渡り終えたのかどうかハッキリ確認できるまで、数秒待たなければならなかった。闇と同化する無灯火自転車は最も危険な存在だ。

白内障と診断され、手術を受ける。明るさを取り戻すと同時に、眩しいこと自体はあまり変わらないが、その周辺の視野は改善した。太陽の光に照らされて眩しくても、木陰の歩行者の動きを正確につかめるようになった。

一番の違いは運転への意欲。手術前は正直、運転は控え気味だったが、標識類の文字が以前と同じくらいハッキリと読める。センターラインの白線も空に浮かぶ雲も真っ白に輝いて見える現実に、運転への老いを払拭する活力が湧く。

もちろん、注意点もある。たとえばカーナビ等を見る動作。以前は文字を読み取るのが難しかったが、いまは読めてしまう。そのため、その文字を確かめるために思わず凝視してしまうのである。車内の脇見である。標識類にも同じことがいえ、その点の注意は必要だ。

医療技術の進歩に助けられて、また、通常の運転を続けられる結果となったが、この幸運をできるだけ長続きさせる注意深さをどれだけ保てるかが今後の課題と思えた。

指をさす男性

目の病気は安全に直結。早めの受診を!

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