高速道路の安全な車線選び
シニア世代の思い込み運転を考える高齢者の運転に詳しい専門家が、高齢ドライバーにありがちな思い込み運転やヒヤリハット体験を、同じ高齢者の立場からわかりやすく解説するこのコラム。今回は、3車線ある高速道路を走るときの車線の選び方に関する話。真ん中の車線なら低速車や合流車に気を使わず走りやすいが、そのぶん緊張感が薄れるので注意したい。
キープレフト世代ではあるものの…
片側3車線の高速道路を走るときは、主に中央の車線を走ることにしている。世代的にはキープレフトを叩き込まれたので、何となく左の車線を走るべきなのかと思う。
ただ一番左の車線は意外と高齢者には走りにくい。状況に応じたスピードの柔軟性が必要になるからだ。極端に遅い大型車や乗用車がいて、追い越しや合流してくる車への対応が必要になることも多い。これがなかなか厄介だ。合流してくる側が必ずしもマナーの良い車とは限らず、その車にどう合わせるか、難しいこともある。
先日の体験では合流してくる車に道を譲るべく、速度を調節しながら近づいて行ったが、なかなかこちらの車線に入ってくれず、さらに速度を落とさなければならなくなり、後続車との車間距離を心配するといったことも体験した。
その点、中央の車線は基本的には前の車との車間距離に注意して運転すればよく、気持ちが楽だ。ただ、緊張感のないハイスピード状態ということにもなりやすい。とくに高齢者は運転中に余計なことを考えたり、居眠り、覚醒レベルが低い“覚低状態”からの漫然運転といったことに陥りがちなので、自身の緊張感の持続にもひと工夫が必要になる。やはり、高齢者は30分に1回程度、休憩を取り、脳と体のリフレッシュを。
キープレフトについては、単純に道路の左寄りだったり、第1通行帯を指すなど、人によって考え方はさまざまで誤解している人も多いようだ。そこで、キープレフトのもとになっている道路交通法を調べた。下記が関連する法文(原文)で道路の左側に寄って走るのが基本だが、車線が複数ある場合、もっとも右側の車線は追い越し用に空け、それ以外の通行帯を走らなければいけない、ということだ。
(左側寄り通行等)
第十八条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び原動機付自転車にあつては道路の左側に寄つて、軽車両にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第二十五条第二項若しくは第三十四条第二項若しくは第四項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。
2 車両は、前項の規定により歩道と車道の区別のない道路を通行する場合その他の場合において、歩行者の側方を通過するときは、これとの間に安全な間隔を保ち、又は徐行しなければならない。
(罰則 第二項については第百十九条第一項第二号の二)
(車両通行帯)
第二十条 車両は、車両通行帯の設けられた道路においては、道路の左側端から数えて一番目の車両通行帯を通行しなければならない。ただし、自動車(小型特殊自動車及び道路標識等によつて指定された自動車を除く。)は、当該道路の左側部分(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路)に三以上の車両通行帯が設けられているときは、政令で定めるところにより、その速度に応じ、その最も右側の車両通行帯以外の車両通行帯を通行することができる。
- 運転をあきらめないワンポイント
真ん中の車線は走りやすいが、注意も必要。
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