歩行者に気を取られ、バイクを…
シニア世代の思い込み運転を考える高齢者の運転に詳しい専門家が、高齢ドライバーにありがちな思い込み運転やヒヤリハット体験を、同じ高齢者の立場からわかりやすく解説するこのコラム。今回は、左折時に車道にはみ出す歩行者ばかり気にしてヒヤッとした話。路地から右左折する際は、左右偏りなく注意することが基本だ。
タクシー待ちの歩行者が車道にはみ出す
狭い生活道路が交差する信号のない交差点、こちら側には一時停止の標識はない。左折するのだが、左角に歩行者が立っていた。歩道がなく、タクシーを待っているようで、車道側に出ている。近づくと後ろに下がるが、まだかなり車道に出っ張ったままだ。このため、あまり左に寄り切れず、左折の態勢に入った。
時間は夕方、曲がりかかったところで、それまで建物に隠れていた夕方の低い光が一気に瞳を刺す。一瞬目がくらむ、と同時にけたたましい二輪車のブレーキ音が響いた。右から交差点に突っ込んでくる宅配の二輪車だった。こちらも急ブレーキとなった。
スーパーマーケットに買い物に出かけた帰りの出来事だ。危ない歩行者の立ち位置に、少し苛立ち、低く差し込んでくる日差しに気を取られた。日常の運転で何度も通る交差点。これまで何千回と通ったところながら、死角が多く、いつもは左右の確認を忘れず慎重に運転していた交差点だ。
気持ちを乱される状況が何か一つでも起こると、この場合は歩行者の立ち位置だが、その危険に意識が集中してしまうあまり、右側への注意がおろそかになっていた。運転中の平常心、いつも心掛けているつもりながら、場面場面で気持ちが乱され、注意が散漫になる。高齢ゆえなのかと自分の運転の質を問う。
- 運転をあきらめないワンポイント
気持ちの乱れたときほど、平常心を思い出す。
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