「どこまでが自分の車?」車両感覚をつかむ練習法
安全運転は基本から。「セーフティ」「エコロジー」「エコノミー」を満たす運転、「スムースドライビング」について学んでいきましょう。講師はモータージャーナリストの菰田潔さん、生徒は土屋怜果さんです。
車の前端、横幅を
しっかりと把握できていますか?
「狭い道ですれ違うとき、左側に寄せると壁などに擦ってしまうのでは?」と不安な方。もしくは「頭から駐車するときや、見通しの悪い交差点で車の前端を出すときに、どこまで車を進めていいかわからなくて怖い」という方。それは、「自分の車がどこまであるかわからない=車両感覚をつかめていない」のが原因と考えられます。車両感覚をしっかりと把握できれば、車のバンパーや側面、ホイールなどを傷つけたりぶつけたりする心配をせず路肩に寄せることができたり、駐車場や狭い道でも余裕を持って安全確認ができるようになります。今回は車両感覚をつかむ練習方法をご紹介します。
菰田潔さんが動画で解説! 車両感覚をつかむ練習法はこちら
ボディを擦るのが怖い…
側面の感覚をつかむには
まずは、左側面の車両感覚をつかむ練習方法について説明します。「道路脇に停車するとき、ボディを擦るのが怖くて縁石から離れてしまいがち」という方は、ぜひ試してみてください。
- 1.黒い正方形の折り紙の対角線上に、白もしくは蛍光色のテープを貼ったものを用意します。
- 2.白線など、道路上で左側面の基準となるものに沿った状態で停車します。ベストな位置で停車するため、協力者に誘導してもらうのがよいでしょう。
- 3.運転席から見えるフロントガラスに、道路基準線に沿った状態でテープが映り込むようダッシュボードに紙を置きます。運転時の姿勢が崩れて視点が変わらないよう、協力者に置いてもらうとよいでしょう。紙が動かないよう、両面テープでダッシュボードに固定します。
- 4.セッティングが終わったら、ガラスに映り込んだテープに白線がぴったりと添うように停車する練習を繰り返しましょう。
車の前端の位置を
把握するコツは
ドアミラーを目安に
次は、前方の車両感覚をつかむ練習について。赤信号などで、停止線よりかなり手前で止まる車をよく見かけます。「違反ではないし、手前で止まる分にはよいのでは?」という方もいるそうですが、停止線との間隔が開きすぎると渋滞の原因になる場合もありますし、なにより運転が上手に見えません。前方の車両感覚をしっかりとつかむことで、見通しの悪い交差点で車の頭を最適な位置で止めて安全確認ができたり、Uターンで無駄な切り返しを減らせたり、狭い駐車場などでも安心して適切な操作を行うことが可能になります。
前方の車両感覚をつかむには、目的とするラインにフロントバンパーを合わせて停車する練習が有効です。車種などによっても違いがありますが、大まかな目安として「右ドアミラーの下部分が、前端の延長線上」と考えるとよいでしょう。より正確に前端を把握するための練習は以下の通りです。
- 1.前端を白線に合わせた状態で停車します。こちらも、ベストな位置に停車できるよう協力者に誘導してもらうようにしましょう。
- 2.正しいドライビングポジションのまま、運転席から見える白線の延長線と重なるドアの縁などに、目印となるテープを貼ります。
- 3.このテープに合わせて停車する練習を繰り返しましょう。
今回ご紹介した方法で目印テープを使用する場合、側面も前端も、ドライビングポジションが崩れると目の位置も変化してしまうため、想定している位置に停車することができません。常にドライバーは正しいドライビングポジションで運転するようにしましょう。また、目印テープはあくまで練習用なので、実際の走行時に注視すると危険です。前後左右をよく確認し、目印テープを見なくても目的の位置に停車できるよう、車両感覚の把握に努めましょう。
JAFでは、交通安全とエコドライブの普及・啓発のためにさまざまな講習会を行っています。また、ウェブを活用した交通安全トレーニングや調査・実験データなど情報を提供しています。ぜひご覧ください。
菰田 潔
こもだ・きよし モータージャーナリスト、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会長、BOSCH認定CDRアナリスト、JAF交通安全・環境委員会委員など。ドライビングインストラクターとしても、理論的でわかりやすい教え方に定評がある。