フォルツァ、ダックスで過ごした青春。駒木根葵汰、初マイカーの憧れはベンツW123「ロマンが勝つ」
父から受け継いだクルマとバイクへの思いスーパー戦隊シリーズ『機界戦隊ゼンカイジャー』の主演で注目を集め、ドラマ『天狗の台所』『25時、赤坂で』シリーズなどで活躍する俳優の駒木根葵汰さん。16歳で普通二輪免許を取得して以来、バイクやクルマは身近な存在でした。旧車好きの父親と過ごした思い出、最初に乗った250ccのフォルツァと50ccのダックス、クラシックカーへの憧れ、そして26歳を迎えた今、俳優としての「走り方」の変化まで。自分らしいカーライフとこれからについて、等身大の言葉で語っていただきました。
クルマ・バイク好きの父から受けた影響
「生活の中に当たり前にあった」
──最初に取ったのは、二輪免許だったそうですね。
16歳の夏休みに、合宿で普通二輪免許を取りました。高校3年生の冬休みには、友達と一緒に山形へ合宿に行って、普通自動車免許を取りました。田舎あるあるですよね(笑)。
──クルマの教習はいかがでしたか。
普通二輪免許を持っていたので、学科試験が免除されて、実技中心のスケジュールでした。せっかく友達と一緒に行ったのに、自分だけ周りとは違う時間割で動くことになって、「ちょっと間違えたかな」と思いましたけど(笑)。でも今振り返ると、すごくいい青春の思い出です。
──茨城県のご出身ですが、もともとお父さまがクルマやバイクがお好きだったのですか。
そうですね。父は昔から旧車に乗っていました。家族で使う実用車と趣味のクルマがあり、バイクも好きでした。クルマやバイクに憧れたというより、生活の中に当たり前にあったという感覚ですね。
──当時、お父さまはどんなクルマに乗っていたのでしょうか。
シボレー・インパラ(アメリカ製の大型乗用車)です。前席が横一列につながったベンチシートで、僕の記憶では、シートベルトも付いていなかったように思います。確か1970年前後のクルマでした。物心がついたときには家にあったので、特別なクルマというより、生活の一部でした。
バイクも、スズキの旧車で、通称「ザリ」と呼ばれるモデルなどに乗っていました。男の子がイメージするような、クルマやバイクに囲まれた環境で育ったと思います。昔、缶コーヒーに小さなクルマやバイクのおもちゃが付いていて、保育園へ行くとき、父と一緒に缶コーヒーを買って、「今日は何が当たるかな」と楽しみにしていた記憶があります。
──まさにクルマの英才教育ですね。
身近にありすぎたので、「ものすごく好きだったか」と聞かれると難しいんですけど、興味は小さい頃からずっとありました。
──16歳で二輪免許を取ったのは、通学のためでもあったのですか。
高校へ通うためというより、田舎では移動手段が必要になるので、周りのみんなも取っていました。バイクが特別に好きだからというより、交通手段の一つです。僕らの世代では、16歳になったらバイクの免許を取るというのが、わりと当たり前でしたね。
──最初に乗ったバイクは何ですか。
最初は、ホンダ・フォルツァ(250ccのビッグスクーター)です。その後、せっかく免許を取ったのだから、ギアを操作して乗るバイクにも乗りたいと思いました。ただ、大きな排気量になるとお金もかかるので、父がどこかから50ccの小型レジャーバイク、ホンダ・ダックスを見つけてきて、手を入れてくれました。ちょっと玄人好みのダックスでしたね。
──初めて乗ったダックスはいかがでしたか。
乗りにくかったです(笑)。周りはホンダのモンキーやゴリラ、エイプなど、比較的新しくて扱いやすい小型バイクに乗っていたのですが、僕のダックスはキックでエンジンをかけるタイプでした。でも、すごく楽しかったです。昔から周りにあったので、今も旧車への憧れがあります。
まだ自分のクルマは持っていないのですが、ファーストカーはすごく大事にしたいという気持ちが強いです。東京で仕事をすることを考えると、旧車は現実的には難しい。でも、そのロマンを捨てきれなくて、ここ2、3年ずっと悩んでいます。
──フォルツァは移動手段、ダックスは趣味の一台という役割だったのでしょうか。
そうですね。250ccのフォルツァは、アルバイトや習い事、友達と出かけるときに乗っていました。ビッグスクーターは安定感がありますし、スピードも出るので、移動手段としては本当に楽でした。
一方、50ccのダックスは趣味の一台でした。高校生なのに、実用のバイクと趣味のバイクがあったわけですから、すごくぜいたくですよね。父がクルマやバイク好きだったからこそできたことなので、今となっては、ありがたかったと感じます。
──お父さまと一緒に遠出もされたのですか。
父とは千葉へ浜焼きを食べに行ったり、福島まで行ったりしました。仙台まで牛タンを食べに行ったこともあります。バイクでもクルマでも出かけました。父との男旅は、今も強く思い出に残っています。自分が父親になったら、子供とそういう秘密の旅をしてみたいですね。男同士でちょっと遠くまで出かけるというのは、ロマンがあります。自分が楽しかったから、同じような経験をさせてあげたいです。
──高校時代に乗っていたバイクは、今も残っているのですか。
フォルツァは今もあります。僕が東京へ出るタイミングで、父も移動するのが大変になることがあるだろうと思って、父に譲りました。ダックスも、たぶん実家のアトリエにあります。バッテリーは上がっていると思いますけど、売ったりはしていないはずです。
父は今、ハーレーダビッドソンに乗っています(笑)。数年前に大型二輪免許を取って、ハーレーを買いました。昔からアメリカンバイクに乗ることに憧れていたらしいです。欲しいものが次々と変わっていく人も多い中で、一つのものを何十年も好きでい続けて、夢をかなえる。大人の男として、すごくかっこいいと思います。
愛車に求めるものはロマン
「乗るたびにテンションが上がるクルマ」
──東京へ出てきてからは、バイクやクルマに乗っていますか。
バイクには乗っていません。18歳のとき、友達と山形へ合宿に行って、早い段階で普通免許を取っておいてよかったと思います。両親がずっと田舎で暮らしていたので、「取れるうちに免許を取りなさい」という考えだったんです。その言葉に従ってよかったですね。
周りには、都会で仕事を始めてから免許を取る人も多いです。あっちゃんこと増子敦貴くんや、樋口幸平くんも、忙しい中で免許を取りに行っていました。「なかなか行けない」と話しているのを聞くと、僕は早く取っておいてよかったと思います。
──実家へ帰ったときは運転するのですか。
実家へ帰ると、僕が運転して祖母の家へ行くことはありました。ただ、それ以外ではあまり運転していませんでしたね。プライベートでレンタカーを借りて、ドライブへ行くことはありました。20歳くらいの頃は、東京の友達が借りたクルマに乗って、夜の遊園地や大きな公園、温泉などへ行きました。お台場にあった大江戸温泉物語や、東村山の温泉、東京ディズニーリゾートへ行ったこともあります。
──そろそろご自身のクルマが欲しくなってきたのではないでしょうか。
23、24歳くらいから、仕事のことも含めて、クルマが必要なのではないかと考えるようになりました。毎年、確定申告の時期になると、購入費や維持費、仕事でどのくらい使えるかを計算して、「クルマを買ったら、こういう使い方ができる」と母にプレゼンしていました。でも、毎年「ダメ」と言われていて(笑)。今年くらいから、母が「そろそろ考えてもいいんじゃない」と言ってくれました。今はいろいろ考えているところです。
──どんなクルマに乗りたいですか。
ロマンで言えば、1970年代から80年代にかけて生産されたメルセデス・ベンツのW123です。実際に販売店へ見に行ったこともあります。でも、周りの大人たちは誰一人として勧めてくれません(笑)。現行車も考えるのですが、便利なクルマを見ていると、「乗れれば何でもいいか」という気持ちになってしまうんです。
せっかく買うなら、乗るたびにテンションが上がるクルマがいい。仕事へ行くときも気持ちが上がり、休みの日にも出かけたくなるような、少し尖ったクルマに乗りたいと思っています。トヨタの最高級セダン、センチュリーの古いモデルもいいですね(笑)。
──クラシカルなクルマへの憧れが強いのですね。
生まれたときから父の旧車が身近にあったことが大きいと思います。バイクでも、便利で扱いやすいものと、手はかかるけれど、かっこよくてロマンがあり、乗るたびにワクワクするものの両方を経験しました。それぞれの良さを知った上で、メリットとデメリットのどちらを取るかと聞かれたら、僕はロマンのほうが勝ってしまいます。
──以前、お仕事で、運転支援機能を搭載した日産キックスに乗るシーンがありましたね。
楽しかったですね。運転が好きな人からすると、運転支援に対して「なんだこれ」と思うこともあるかもしれません。でも、一つの移動手段として、そのクルマを持つ人からすると、あれだけ便利な機能はないと思います。ロサンゼルスでは、無人の自動運転タクシーも走っています。
僕の場合、朝から深夜まで撮影が続くことがあります。そういうときは、自分で運転したくないと思うじゃないですか。運転をサポートしてくれたり、移動そのものを任せられたりする選択肢があることは、すごく重要だと思います。
──便利さとロマンの両方を選べる時代になりました。
いい時代ですよね。クルマがあれば、箱根や熱海、江の島のような、リラックスできる場所へフラッと行けるようになります。最近は、時間ができると旅行へ行くようになりました。「クルマがあったらいいな」と思う瞬間が、少しずつ増えています。
俳優として少しずつ形を変えながら走り続ける
「自分にとって、いい選択ができたら」
──9月4日公開の映画『ホーム スイート ホーム』に出演されます。撮影はいかがでしたか。
撮影は昨年だったのですが、ほかの仕事とも重なっていて、本当に過酷でした。短い期間で、2時間近い作品を撮り切ったので、すごく大変でしたね(笑)。僕が演じる植木史郎は、主人公の一郎から見ると孫にあたり、未来からやってくる人物です。
今では想像できない時代に生きている人なので、監督たちとその世界観をすり合わせながら、作品にどんなインパクトを与えられるかを考えました。物語のアクセントになるような役だと思います。一郎と、その父、息子、孫という4世代が、全員27歳の姿で出会うという不思議な物語です。
──八村倫太郎さん、増子敦貴さんとは同い年ですね。
りんちゃんも、あっちゃんも同い年で、プライベートでも交流があります。すごく信頼していますし、俳優として尊敬もしています。その関係があったからこそ、10日間という短い期間でも、いい熱量で撮影できたのだと思います。今になって考えると、彼らではなかったらどうなっていたんだろうという不安がありますね。
──『機界戦隊ゼンカイジャー』へ1年間出演した経験も、大きかったのでしょうか。
ほかの人生との答え合わせはできないので、正直なところはわかりません。でも、「やっていてよかった」と心の底から思います。もう一度この世界へ入るとして、『ゼンカイジャー』をやるべきかと聞かれたら、絶対に「やるべき」と答えます。20歳、21歳という時期に経験できて、本当によかったです。あの1年間を通っていることで、どんなことでも踏ん張ることもできます。この経験をしている人と、そうではない人との違いを、作品が終わってから数年たった今、少しずつ感じるようになりました。
──これから挑戦したい役や、俳優としてのビジョンはありますか。
僕はこれまで、明確なビジョンを立てずに生きてきました。これからも、あまり立てるつもりはありません。一つひとつ、目の前のことを丁寧にやってきた結果が、今につながっているのだと思います。具体的にやりたい役があるわけではありませんが、楽しそうな役には全部挑戦したいです。自分の人生では経験できない人間の人生を、時間とチャンスがある限り、どんどん演じていきたいです。
モデルの仕事と俳優の仕事は、どちらもいいリフレッシュになります。全然違う世界のように見えて、やっていることは同じなんだとも感じます。自分がやるべきことを一生懸命にやる。プロフェッショナルであるという意味では、どの世界も一緒です。甘えている人は、どんどんいなくなっていく。それは、どんな仕事でも同じなのだと思います。
──人生もカーライフにも似ているところがありますね。
まだ走っている途中だと思います。ただ、少しずつ走り方を変えていきたいですね。以前はアクセルをベタ踏みして、前だけを見て走っていたような感覚でした。これからは外の景色も見て、クルマのコンディションも確かめながら走りたいです。
今の自分に合う街やクルマは何なのか。少しずつ考えていく時期に来ていると思います。若い頃は手軽なクルマでよかったけれど、大人になると、少し手のかかるクルマを持つ余裕も出てくる。今はちょうど、その中間にいるような気がします。自分にとって、いい選択ができたらと思います。
──選ぶという行為自体が、人生の面白さでもありますね。
人生は、すべて自分の選択だと思います。後悔するかどうかよりも、「これでよかった」と思えるようにしたい。たとえ失敗したとしても、自分の選択にきちんと責任を持てるようにしたいです。
駒木根葵汰さんがドライブで聴きたい5曲
- ZARD「息もできない」…古いものへの憧れという意味では、ZARDは僕らの世代にとっても憧れです。坂井泉水さんの歌声と、いつまでも色あせない感じが、時間が進んでも、オレンジ色に輝く夏の江の島にずっと残っているように思えます。クルマの中で聴きながら、ちょっと浮かれてみたいですね(笑)。
- 玉置浩二「田園」…この名曲を車内で流して、窓に肘をかけながら走れたら最高ですね。
- haruka nakamura「光」…児童合唱団のような歌声とピアノがミックスされた、とても美しい曲です。少しセンチメンタルな夜のドライブで、車内にそっと流したいです。
- ケンドリック・ラマー「N95」…現代的な少しルーズな雰囲気がありながら、音が太くて、おしゃれなヒップホップです。
- INFINITY16「BABY GIRL」…高校生の頃、ライブ映像を友人と見て、2人で泣いた思い出があります。僕たちにとって、熱い青春ソングです(笑)。
(クリックすると、音楽配信サービスSpotifyで楽曲の一部を試聴できます。)
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駒木根 葵汰(こまぎね・きいた)
2000年1月30日、茨城県生まれ。ホリプロ所属。高校時代にInstagramをきっかけにスカウトされ、芸能界入り。2021年、スーパー戦隊シリーズ『機界戦隊ゼンカイジャー』で主人公の五色田介人/ゼンカイザー役を務め、翌年の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』にも出演した。その後も、主演ドラマ『天狗の台所』『25時、赤坂で』シリーズなど数々の作品で活躍。映画『ホーム スイート ホーム』が2026年9月4日に公開予定。同年10月には初舞台『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のヨーロッパ公演や『天狗の台所 Season3』の放送を控える。文化放送「ココは きいタウン1丁目」のパーソナリティーも務める。特技は、5歳から12年間続けた極真空手とバスケットボール。
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