日本と世界の道の雑学

大企業とコラボ!? 企業の名前が付いた道路を訪ねてみました

ブリヂストンやニコン、リコーの企業城下町にあります

高橋 学
2024.01.25

写真・文=高橋 学

2024.01.25

写真・文=高橋 学

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今回のテーマは「企業名のついた道」。紹介するのは、静岡県沼津市の「リコー通り」、東京都品川区の「光学通り」、東京都小平市の「BS中央通り」の3路線です。リコーはOA機器やカメラなどでお馴染みのメーカー。光学通りはカメラでお馴染みのニコンの旧社名「日本光学工業」から。BS中央通りのBSはブリヂストンの略称。いずれも誰もが耳にしたことがありそうな大企業ですが、そんな企業名のついた道路についての豆知識をお伝えします。

「日本と世界の道の雑学」では道路にスポットを当てたお話をお届けします。これまで何げなく利用してきた道路にちょっぴり興味を持っていただければ嬉しいです。

道路を身近に感じてもらうため、愛称が付いた道路

日本には田んぼのあぜ道から市道、県道、国道、高速道路などさまざまな規模、タイプの道が縦横無尽に走り、我々の生活を支えています。その中でも国や地方自治体が「道路法」に基づいて指定や認定を行い、維持管理している道路を「認定道路」といいます。認定道路にはそれぞれに行政が管理する正式な名前が付けられていますが、沿線住民には少々馴染みにくいお堅い名前も少なくありません。

そこでもっと道路を身近に感じてもらおうとニックネームが付けられた道路がたくさんあります。中でも公式に認められたニックネームは「道路愛称名(または道路通称名)」と言います。たとえば国道246号。東京・千代田区の起点から明治通りとの交差点までは「青山通り」、その先都県境までが「玉川通り」と、1本の道でありながら都内の区間は2つの名前が付けられています。どちらも東京都が定めた道路通称名です。

また、大阪の「御堂筋(みどうすじ)」は梅田と難波を結ぶ約4.2kmの大阪市が定めた道路愛称です。こちらは国道176号と国道25号、国道26号、国道165号の重用区間が連なった1本の道路という少々ややこしい構造ですが「御堂筋」といえばどの通りなのか一言で特定できるとても便利な道路愛称名です。

このように道路愛称名や通称名にはいろいろなパターンがあります。中でも今回紹介する路線は、道路という公共のインフラでありながら、その愛称に特定の企業名が含まれた比較的珍しいパターンの道路名です。

カメラメーカー「ニコン」社員の通勤路「光学通り」

大井町駅前、光学通りの入り口を示す看板

大井町駅前、光学通りの入り口を示す看板

行政の定める正式名称は特別区道 準幹線32号。ざっくり言うと大井町駅(JR/東急/東京臨海高速鉄道)前から西大井駅(JR)までをほぼ一直線で結ぶ1,290mの道路です。かつてこの通り沿いには日本光学工業(現ニコン)の主力工場があり、大勢の社員が通勤に利用していたことから、いつの頃からか「光学通り」と呼ばれていたそうです。その後1995年12月に東京都品川区の公式な道路愛称名として「光学通り」と命名されました。

光学通り沿いの商店街「大井光学通り商店街」

光学通り沿いの商店街「大井光学通り商店街」

現在港区に本社を置くニコンは2024年夏に、このゆかりの地への本社移転を発表していますので、光学通りは再び大勢のニコン社員の通勤路となり、この地から世界に誇るカメラを発表していくことになるのでしょう。

光学通り沿いに建設中のニコン本社

光学通り沿いに建設中のニコン本社

ブリヂストンの生産拠点にある「BS中央通り」

「BS中央通り」の案内標識

「BS中央通り」の案内標識

正式名称は小平市道 第A-56号線。「BS中央通り」も小平市が定めた正式な道路愛称名です。ブリヂストンは創業時からシンボルマークに「BS」と表記するなど「BS(ビーエス)=ブリヂストン」というのは自動車業界だけにとどまらず広く知られている略称です。東京都小平市内にある同社の技術開発部門や航空機タイヤの製造所のあるエリアを通っているので、ブリヂストンの敷地内を通行しているような感覚がありますが、れっきとした市道です。

まるでブリヂストンの敷地内を通行しているような風景

まるでブリヂストンの敷地内を通行しているような風景

通り沿いには企業博物館「Bridgestone Innovation Gallery」もあります。ちなみにブリヂストン創業の地、福岡県久留米市には「ブリヂストン通り」があるそうです。

大きなゲートが掲げられた「リコー通り」

「リコー通り」の大きなゲート

「リコー通り」の大きなゲート

静岡県沼津市にあるのが「リコー通り」。正式名称は静岡県道沼津停車場東沢田線。OA機器やデジタルカメラなどの分野で知られるリコーの前身、理化学研究所が1960年、1962年と矢継ぎ早にこの地に工場を建設したことに由来します。その頃、この地域の振興のため舗装道路への寄付金などで地元に貢献してきた理化学研究所へのお礼の意味も込め1963年にリコーへの社名変更を機に「リコー通り」が誕生したそうです。調べてみると、この名前は正式な道路愛称名ではなく、あくまで地域住民の付けた愛称だそうですが、大きなゲートやアーケードに記された看板などに地域密着度の大きさを感じます。

リコー通り商店街のアーケード

リコー通り商店街のアーケード

今回紹介した3路線の名前のルーツは半世紀以上の歴史を持つ地域との関係性から生まれた名前です。これからもその関係と名前が永く続くことを期待したいものです。

高橋 学

たかはし・まなぶ 1966年北海道生まれ。下積み時代は毎日スタジオにこもり商品撮影のカメラアシスタントとして過ごすも、独立後はなぜか太陽の下でレーシングカーをはじめとするさまざまな自動車の撮影を中心に活動。ウェブ等でカメラマン目線での執筆も行いながら現在に至る。

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