文=ヒャダイン / イラスト=大山功一

マレーシア・クアラルンプールで駅名ガチャ! 超レアな珍スポットを引き当て心躍る体験を

訪れたメガモールがまさかの廃虚でテンション爆上がり!
ヒャダイン

音楽クリエイター・ヒャダインさんが自身の「適当旅」を綴るエッセー。5回目は2023年の年明けに訪れたマレーシア・クアラルンプールの様子をお届けします。有名観光スポットをひと通り巡ったあと、いよいよ適当旅の本領発揮。直感で目についた駅を行き先に決める「駅名ガチャ」で降りた先には、巨大ショッピングモールがありましたが……。

目次

再びの駅名ガチャ旅 in クアラルンプール

2023年の年始に友人とマレーシアのクアラルンプールへと行ってまいりました。いろんなセレブが移住したり、あとご飯がおいしいという噂を聞いていた、それだけの理由ですが。フィリピン・マニラへの適当旅があまりにも楽しかったのであの感動を再び! ではないですがASEANへ旅することに。あらかじめ「バトゥ洞窟に行きたい! 」とか「ピンクモスクに行きたい! 」とかは決めておりまして、それは予定通り遂行。大変楽しい経験でした。

ヒャダインさんと黄金の神像

バトゥ洞窟にて。神像と同じポーズのつもり。

展望デッキに立つヒャダインさん

展望台から。高所恐怖症の人にはきついやつ。

で、肝心なのは適当旅! 何の予定も立てずにぶらつくのが醍醐味なのです。それは友達がいても同様。そういう気心の知れた友達がいるのは財産ですよね、感謝。クアラルンプールの中心地である「ブキッ・ビンタン」で散策開始。早々にして電車を発見! ほう。クアラルンプールは公共交通機関が発達しているのか。これは行かざるを得ない。早速駅へ。路線図と駅名だけで行き先を決める、通称「駅名ガチャ!」。まったく知らない土地でこれをやるのはなかなかリスキーではあります。治安の問題もありますし、ただの住宅地の可能性もありますし。貴重な時間を何に使っているんだ、と思われるかもしれませんが、これがしたいのです。

現地の人との偶然の交流もまたよし

路線図眺めてあーだこーだ言っていると、学生さんらしき男性に「やあ、僕は日本が大好きなんだ、君たちは何歳? 」といきなり質問される。「42」だよ、と正直に返答すると相手も「お、おう……(結構イってるやん)」と微妙な雰囲気に。何だったんだろう。なんかいたたまれなくなったので逃げるように「この駅!」と決めたのが Taman Connaught 駅。読み方もわからぬまま電車に揺られて20分。ドキワクが止まりませんな。あっという間に着いて道なりに進むと看板が。ほうほう。「シェラスセントラル」というショッピングセンターが併設されているのか。これはまあまあ当たりかな。

ショッピングモールの看板

「ワクワクするお買い物経験が待ってます」とのこと。

巨大なショッピングモールでお買い物のつもりが…

若干ショッピングセンターに胃もたれしてた部分はあるのですが、まあいいかと進んでいったら、おや? これは裏口かい? という飾りっ気のない扉が。スーパーでトイレを借りたときのようなバックヤード感。え、大丈夫かなと恐る恐る入っていったらメガモールがドーン。

クアラルンプールの閑散としたメガモール

お昼です、念のため。

うおおお。きたーー!!! シャッター祭りや! 廃虚好きにはたまらん。7階建てくらいなんですが全然店が入っていない。一気にテンション爆上がり。早速探索へと。定休日とかそういうのじゃなくて本当に閉まっている。シャッターも閉めていなくて空き店舗になっているところも多数。数少ない営業店は謎の宝石店と中華料理店、あと1階を占める家具屋さんのみ。うわあ、おっかねえ。家具屋も謎でどれが売り物でどれが置物なのかがまったくわからない。当然客もいないし店員すらいない。もはやここはT-ウイルスに汚染されたバイオハザードの世界かと思うレベル。心の中に拳銃を忍ばせ、いつでもヘッドショットできるように緊張感 MAX です。しばらく歩いていると1階の片隅から陽気な音楽が。ゾンビが宴会でもしているのかな、と覗いてみると小学生5人くらいと先生2人による体操教室でした。すげえとこで練習してんな、ここからスーパースター輩出したらやべえ、なんて茶化しながら歩いていくと「駐車場」の文字が。本能的に身震いして「この辺で引き返したほうがいい」と感じ、駅へ戻ることに。後に調べたところ、やはりこの駐車場は若干危険で「こしょうスプレーを持っていったほうがいいでしょう」とのこと。え、めっちゃ危ないじゃん。ガチでバイオじゃねえか。情報は大変少なかったのですが、どうやら最初華々しく地方都市に作られたショッピングモールだけど、リニューアルで経営者が代わりそこからどんどん落ちぶれていった、とか。

メガショッピングモールの外観

外から見ても禍々(まがまが)しいですね。

他にもグルメや夜市、カジノや展望台などクアラルンプールを堪能しきったのですが、一番の思い出はやはり廃虚。予定調和では起きない適当旅の醍醐味が詰まった喜びテリマカシーでございました。さて次回は適当東北、喫茶店ときりたんぽのお話です、お楽しみに! 

ヒャダイン

音楽クリエイター。1980年大阪府生まれ。本名 前山田健一。3歳でピアノを始め、音楽キャリアをスタート。京都大学卒業後、本格的な作家活動を開始。さまざまなアーティストに楽曲提供を行い、自身もタレントとして活動。「musicるTV」「久保みねヒャダこじらせナイト」「サウナを愛でたい」「おはよう朝日です」などテレビのレギュラー多数。

この記事はいかがでしたか?
この記事のキーワード
あなたのSNSでこの記事をシェア!