安東弘樹の運転履歴書

安東弘樹が日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員に選ばれた理由とは?

安東弘樹
2023.05.17
2023.05.17
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2023年4月から連載を開始した、フリーアナウンサー安東弘樹さんのクルマにまつわるエッセー。今月は、当時安東さんは現役の社員アナウンサーだったにもかかわらず、なぜ日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員に選ばれたのか、その理由に迫ります。

1回目のコラムで自己紹介させていただきましたが、私は日本カー・オブ・ザ・イヤー(以下COTY)の選考委員を拝命しております。読者の皆様も、この仕事に関して、漠然とイメージはできるかと思いますが、具体的にどんな仕事なのかわからないと思いますので、今回と次回で少し詳しく、この仕事? 立場? についてお話しさせていただきます。

まず、そもそもCOTYとは何か? 「市販を前提として日本国内で発表される乗用車の中から、年間を通じて最も優秀なクルマを選定し、そのクルマにCOTYのタイトルを与え、その開発・製造事業者を称(たた)えることにより、一層の性能・品質・安全の向上を促すと共に業界発展と地球環境保護、交通安全に寄与する」という賞典で、そのクルマを選ぶのが60人の選考委員です。では、その選考委員はどのように「選ばれるのか」ということから説明いたしましょう。これは、あくまで私の場合ですので、他の選考委員の方は、それぞれ違うプロセスだと思いますので、ご了承ください。

スペックモンスター安東誕生!

私はTBSの社員時代、当時担当していたラジオ番組などでときどきクルママニアぶりを語っていました。それをたまたま聴いてくださっていた、ある雑誌の編集の方から、取材の依頼がTBS経由で私の元に届きました。詳細は割愛しますが、日本人の車離れについての持論をラジオで話すことがあり、その内容が、その編集の方に響いたそうで、ぜひ話を直接聞きたい、と取材のご依頼をいただいたのです。

取材が行われたTBSアナウンス部の会議室で私は気づいたら3時間にわたって思いの丈をぶつけていました(笑)。その記事は何とカラーで4ページにわたって掲載され、その雑誌の権威のおかげもあり、車業界で、ちょっとした話題になったそうです。確かに専門家でもない局アナが日本の車離れに関して熱く語っているわけですから、本当の専門家は、驚きますよね。しかも当時、私がクルマ好きだということは一部のラジオリスナーくらいにしか知られていなかったと思います。それを読んでくださったジャーナリストの方が、フェイスブックにメッセージをくださったりもして、何となくクルマ業界の間で私の事を知ってくださる方が増えた、という訳です。

そんな中、ある女性ジャーナリストの方が、某輸入車ブランドの東海地区における旗艦販売店のオープニングイベントのトークショーに私を「ゲスト」として呼んで下さったのです。そう、アナウンサーなのにMCではなく「ゲスト」として、です(笑)。もちろん初めての経験ですが、そのトークショーの場でマニアックぶりを遺憾なく発揮し、お客様も、そのジャーナリストの方も唖然(あぜん)とさせたことを覚えています(苦笑)。そこで、付けていただいた称号が「スペックモンスター」。そのブランドのモデルのスペックをすべて覚えていたからです。

現役アナウンサーがCOTY選考委員に!

そのトークショーのしばらく後に、女性ジャーナリストの方から連絡があり、「COTY選考委員になる意志はありますか?」と聞かれました。しかし私は現役のTBS社員であって、クルマは好きですがジャーナリストではありません。恐れ多いと思いましたが、「先日のトークショーで垣間見(かいまみ)た安東さんの情熱や知識や経験は、改革が求められる新しいCOTYに必要だと思います」とあまりにうれしいお言葉をいただき、意を決しました。

しかし会社の許可は必要です。当時のアナウンス部長に相談したところ、あまりピンと来ていなかったようで(クルマに興味のない方でしたので)、「それは業務に差し障りがある可能性はあるか?」と聞かれ、即座に「ないと思います」と答えてしまいました。実際にやってみないとわからない、というのが本音でしたが、すっかり、やる気になっていましたので、即答です(笑)。「じゃあ、いいんじゃないの」ということで、その女性ジャーナリストの方が懇意にしている雑誌に推薦していただけることになりました。

ちなみに選考委員は基本的に雑誌媒体(クルマに関する記事を定期的に載せているのが前提)に推薦してもらい、毎年COTYの実行委員からの賛同を投票によって得られれば選考委員になることができます。60人が上限で、毎年、入れ替わりがあるわけではありませんが、全員が毎回投票によって信任し直されます。そこで落選ということになる可能性もないわけではありません。

そして選考委員になったら、各メーカーやインポーターから新しいクルマが発売になったり、既存のクルマがフルモデルチェンジしたりするたびに、さまざまな場所を拠点にして、ジャーナリストやメディアを対象に開催される「試乗会」に参加します。では、その試乗会というものはどんなものか? それは次回、ご紹介します!

安東弘樹

あんどう・ひろき 1967年神奈川県生まれ。フリーアナウンサー。1991年にTBSテレビに入社後、さまざまなテレビ、ラジオの報道やバラエティなどの番組を担当。19歳の免許取得から現在までに、45台以上のクルマを乗り継ぐ経験と知識を生かし、活躍の場を広げている。現在はTBSラジオ「UP GARAGE presents GARAGE HERO’s~愛車のこだわり~」、TOKYO MX「バラいろダンディ」、テレビ東京 「ミライの歩き方」、bayfm78 「MOTIVE!!」など多くのテレビ、ラジオ番組で活躍。2017年より「日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)」選考委員。

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