スパイス、カレー料理5品の写真
監修=伊藤一城(SPiCE Cafe / HOPPERS)/ 撮影=新山貴一

夏キャンプで一目置かれること確実!? 名店店主が教える至高のカレー&スパイス料理

手軽な材料で作る本格スパイスコースメニュー
伊藤一城

キャンプ飯はワイルドで適当な料理でいい? そんな人にこそ作ってほしいのがスパイスを使ったカレー&スパイス料理。シンプルな調理法で素材のうまみを最大に引き出すスパイスは、実はアウトドアと相性抜群です。香り高いスパイス料理は非日常を演出し、アウトドアの食事時間をより充実したものにするでしょう。簡単にプロの味が作れたらキャンプで一目置かれること間違いなし。さっそくチャレンジ!

目次

アウトドアで料理をする男性

キャンプブームの昨今、いろいろな野外料理がありますが、簡単で早く作れていつもとは違うキャンプ料理、野外で作るカレーとスパイスを使った料理をご紹介します。スパイスは野外料理ととっても相性がいいんです。火口(ひぐち)が1つの場合がほとんど、工程がシンプル、微妙な火加減が必要ない、スパイスを加えることによって簡単に非日常を演出できること、そしてなんといっても野外で感じるスパイスの刺激は何ものにも代え難いものです。たき火ならではの火力や薪が燃える香り、火で直接炙ることができるなどの環境がより料理をおいしくさせるのでしょう。

誰もが好きな定番
「チキンカレー」

チキンカレー

スパイス使いの基本がわかるベーシックなカレーです。玉ねぎを十分に揚げ焼きして甘みを引き出すことがポイント。鶏肉のうまみとスパイスの風味がバランスよく調和した味をお楽しみください。

【材料】2~3人前

唐揚げ用鶏モモ肉 400g
玉ねぎ 粗みじん切り 250g
トマト ザク切り 250g
サラダ油 大さじ3 
お湯 600mL

〈ホールスパイスA〉
シナモンスティック 2㎝×2個
クローブ 8個
カルダモン 4個
G&G 大さじ2(ジンジャー&ガーリックのこと。1対1でペーストにしたもの。インド料理では頻繁に使われるものです。自家製かスーパーで売っているチューブ入りを使ってもOK)

〈パウダースパイスB〉
コリアンダー 大さじ2
ターメリック 小さじ1
カイエンペッパー 小さじ1/2
塩 小さじ1
ガラムマサラ 小さじ1/2

【作り方】

1. G&Gを作る。にんにくとしょうがを同量すりおろす。水を少し足してペーストにする。

2. 鍋にサラダ油とホールスパイスAを入れて強火にかける。

鍋に油を入れ、スパイスを熱する

3. 油が温まり、ホールスパイスが膨らんできて香りが立ってきたら、玉ねぎを入れる。始めはよくかき混ぜて油で玉ねぎをコーティングするようになったら、強火にしてあまりかき混ぜないようにする。ここで玉ねぎを焦がすことがポイント!

油で玉ねぎを揚げ焼きする

4. 5分くらいして色付いてきたら、焦げに注意しながらよく混ぜ、水分が飛ぶように炒める。

5. 黄金色になったら火を中火に戻し、さらによくかき混ぜる。

黄金色になった玉ねぎ

6. 焦げ茶色になったら、G&Gを入れる。

7. G&Gの香りが立ったら火を強めてトマトを加える。

火を強めてトマトを入れる

8. トマトをつぶしながら水分を飛ばす。

9. 弱火(たき火の場合は、鍋を火の弱い端に寄せて火力を調整する)にして、パウダースパイスBを入れる。

弱火にしてパウダースパイスを入れる

10. よくかき混ぜなじませる。香りが立ったら、強火にして湯を3回に分けて入れる。その都度、煮立たせ最後に鶏肉を加える。

香りが立ったら鶏肉を入れる

11. 再度、煮立ったら中火にして表面がフツフツしている状態を保ちながら蓋をして15〜20分ほど煮る。時々、かき混ぜる。

煮立ったら20分ほど煮込む

12. 汁気がとろりとしたら煮込み完了。水分が飛びすぎたら、水を足し、多過ぎたら蓋を取り煮詰めるようにする。

13. ガラムマサラを足してかき混ぜ、ひと煮立ちしたら火を止め、蓋をして5分くらい蒸らす。

14. 塩味、水加減を調整する。

彩りよく甘酸っぱい味付けが◎
「焼きパプリカマリネ」

焼きパプリカマリネ

夏に旬を迎えるパプリカは、彩りがよくメニューに加えると一気に映える効果が。生でも食べられますが、焼くことで甘みとジューシーさが感じられます。コリアンダーとビネガーでマリネするとさわやかな味わいで箸休めにもぴったり。

【材料】2~3人前

パプリカ 4個
玉ねぎ 1/2個 スライス
コリアンダーシード 小さじ1/2
オリーブオイル 大さじ1
ビネガー 大さじ1
はちみつ 小さじ1/2
塩・こしょう 少々

【作り方】

1. パプリカにオリーブオイルを塗って網焼きにする。 

パプリカを焼く

2. 鍋にオリーブオイルとコリアンダーシードを入れ火にかける。

コリアンシードを油で熱する

3. 香りが立ったら玉ねぎを加えて塩・こしょうする。

4. はちみつ、ビネガーを加えてひと煮立ちさせて1をマリネする。

はちみつ、ビネガーとマリネする

漬け込み焼くだけのメイン料理
「スペアリブ」

ズッキーニのグリルとスペアリブ

豪快で映える肉料理といえばスペアリブ! 前日に仕込んで当日焼くだけの簡単さもポイント。ヨーグルトで肉がよりいっそう柔らかくジューシーに仕上がります。肉の脂が落ちる網焼きはヘルシーさも◎。焼けるまでの香ばしい香りまで味わって。

【材料】2~3人前

スペアリブ 2本
ヨーグルト 50g
G&G 大さじ1/2
はちみつ 大さじ1
塩 小さじ1/2
ガラムマサラ 小さじ1/2
ターメリック、こしょう 少々

【作り方】

1. すべてを混ぜてマリネ(調味液の中に漬ける)する。前日に仕込んで一晩漬け込むとよりおいしくなる。

2. 網焼きにする。

マリネしたスペアリブを網焼きにする

ミント×フェンネル使いでさわやかに
「ズッキーニのグリル」

夏野菜の代表格、ズッキーニは油との相性抜群。網焼きすると歯ざわりがよく、うまみが凝縮されて病みつきになるほどです。塩をふり、出てきた水気をしっかりと拭き取ると苦み、えぐみが取れます。清涼感のあるミントとフェンネルでさわやかに召し上がれ!

【材料】2~3人前

ズッキーニ 3本
オリーブオイル 大さじ1
フェンネルシード 1つまみ
ミント 適量
レモン 1/8個
塩 適量

【作り方】

1. ズッキーニを1cm厚さにカットし、塩をふる。

2. 水気が出てきたら拭き、オリーブオイルを塗る。

3. 網焼きする。

ズッキーニを焼く

4. 空煎(からい)りしたフェンネルシード、ミント、レモン汁を加えて調味する。

フェンネルシード、ミント、レモン汁を加えて調味する

人気のインドの炊き込みご飯をアウトドアで
「チキンビリヤニ」

できたてのビリヤニをよそう

米をスパイスで炊き込んだビリヤニは、手作りキットが販売されるほど人気のあるスパイス料理です。鍋を2つ用意し、ゆでて半炊きにした米をスパイスと合わせた鍋に入れ、一緒に炊けば本格派ビリヤニの出来上がり。立ち上がるスパイスの豊かな香りもごちそうです。

【材料】2~3人前

バスマティライスを30分浸水後、スパイスCと3分ゆでたもの 250g
サラダ油 50mL
玉ねぎ 粗みじん切り 1/2個
G&G(ジンジャー&ガーリックを1対1でペーストにしたもの)大さじ1/2
トマト ざく切り 1/4個
鶏モモ肉 一口大 250g
クミンシード 小さじ1/2
ヨーグルト 無糖 50g
青唐辛子 小口切り 1本
赤玉ねぎ 粗みじん切り 適量
香菜 粗みじん切り 適量
しょうが 千切り 適量
スパイスA:クローブ2個、シナモンスティック2本、カルダモン2個
スパイスB : ガラムマサラ 小さじ1、カイエンペッパー 小さじ1/2、ターメリック 少々
スパイスC : クローブ2個、シナモンスティック2本、カルダモン2個

【作り方】

1. 鍋を強火にかけてサラダ油、スパイスA、クミンシード、玉ねぎ、青唐辛子の順に入れる。

スパイス、クミン、玉ねぎを強火で炒める

2. 茶色になったらトマトを入れて水分を飛ばす。

トマトを入れて水分を飛ばす

3. スパイスBを入れて香りが立ったらヨーグルト、鶏肉を加える。

スパイスBと鶏肉を入れる

4. ゆでたバスマティライスを加えて蓋をして弱火で15分炊く。

バスマティライスを弱火で炊く

5. 火を止めて15分蒸らす。

6. ミント、しょうが、香菜をトッピングする。

皿に盛りつけミント、香菜をトッピングする

車を走らせて地方のキャンプ場に行くなら、ぜひ、旬の食材、地元の食材に触れてください。その土地の空気を感じたほうがよりおいしいし、初めて見る食材に出会えるかもしれない。
キャンプは、サイトの環境が整うまではとっても忙しいものです。テントを立てて、寝床を作って、火を起こして料理もする。時間の制約、野外という制約がある中でも簡単に早く作れるレシピを選びました。たき火を見ながら自然の音や香りを感じ、自然と一体化したお食事をお楽しみください。

伊藤一城

いとう・かずしろ  会社員生活を経て、20代後半で食をテーマに3年半をかけて世界48か国を巡る。あらゆる料理のなかでいちばん興味をひかれたスパイスをテーマに、自分の店を持つことを決意。2003年東京・墨田区押上エリアにカレーとカフェの店「SPiCE Cafe」をオープン。『ミシュランガイド2022』でビブグルマンに選出される。2021年には2号店となるスリランカ料理店「HOPPERS by SPiCE Cafe」を日本橋兜町にオープン。キャンプ歴40年の経験から、スパイス料理×アウトドア調理のレシピ本『スパイスキャンプ 薫る至福のスパイス料理』(文化出版局)を出版する。

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