横山剣の愛車と名曲。メルセデス・ベンツ 560SECで聴いた〈BOBBY BROWN／Roni〉

クレイジーケンバンドの横山剣さんが選ぶ4曲目は、勢いで買ったベンツの560SECでよく聴いていたボビー・ブラウンのバラード曲。エレガントなセダンに相応しいセクシーなサウンドに浸っていたとか。横山剣さんによるプレイリストもご紹介します。

音楽好きの著名人たちが、月替わりで自動車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを紹介します。

28歳のときでしたが、その頃なんか調子よくってですね。バブルの恩恵を受けたわけでもなかったのに、なんでもできる、どうにかなるって、攻め攻めの気分だったんですね。それで、結構な値段のするクルマなんですが、勢いでベンツの560SECを買ったんです。560SECは、その当時でいちばんエレガントなクーペだったんですけど、 これに乗ってニュージャックスウィング的な、跳ねのビートを聴くのが最高で、ボビー・ブラウンの「Every Little Step」とか、テディ・ライリーのガイというR＆Bバンドの曲とかね。自分がやってたバンドで、そういう曲はまったくやってないのに、聴くのはそういうのを聴いてたんですけど、ボビー・ブラウンのなかでもあまり跳ねてない「Roni」っていうバラードは、こんな曲作りたいなって思わせる素敵な曲でしたね。

あと、560SECでよく聴いていたのは、ウィスパーズとかテンプテーションズとか、結構長いキャリアのあるグループの最新盤。テンプテーションズの『Special』ってアルバムがとくに好きで、アリ・オリー・ウッドソンっていうその時のヴォーカルがね、ガラガラ声から綺麗なファルセットからなんでも出る、すごい素晴らしい声の持ち主で。そういったものとかボビー・ブラウンとか、その当時のブラックコンテンポラリーっていうか、ブラックミュージックの、キラキラでカチカチしたサウンドを聴くのが好きでした。

当時のベンツはセダンだと御一統様な感じがありましたけど、クーペになるとイメージは違って。ステータスでベンツに乗るというよりは、アメリカナイズした乗り方がカッコイイと思ってたので、『マイアミ・バイス（※）』に出てくるような、サンセットな感じと言いますか、改造とかあまりせず、あえてノーマルで乗って、それもラフに乗って悦に入ってました。

当時、新山下に大箱のクラブができて、そういうところにもよく乗って行ったんですが、ボディの色がガンメタでして、まぁ、地味な色なんだけど、ちゃんとワックスかけてると、夜の景色に映えてものすごくセクシーに見えるんですよ。これまでいろいろなクルマを乗り継いできましたけど、過去の栄光って言っていいぐらい、560SECはいちばんいいクルマ。しばらくして、ZAZOUって新しいバンドを始めるんですけど、 これにちょっとお金かかりそうだなと思ってサヨナラしましたけど。

横山剣

よこやま・けん クレイジーケンバンドのリーダー、作曲・編曲・作詞・Keyboards・Vocal。
小学校低学年の頃より脳内にメロディーが鳴り出し独学で作曲を始める。小学校5年生の時、中古レコード屋の野外サウンド・システムにてマイク片手に実演販売を行う。以来音楽の世界にのめり込み中学2年よりバンド活動を開始、地元横浜を中心に数多くのバンドで活動。1981年クールスRCのヴォーカル兼コンポーザーとしてデビュー。以後、紆余曲折を経て1997年春、地元本牧にてクレイジーケンバンドを発足。翌1998年アルバム『PUNCH! PUNCH! PUNCH!』でデビュー。2005年に『タイガー＆ドラゴン』が同名ドラマの主題歌として大ヒットした。数多くのアーティストとのコラボ、楽曲提供も行う。2023年クレイジーケンバンドはデビュー25周年のアニヴァーサリーイヤー、9月6日に23枚目の最新アルバム『世界』をリリース。
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