文= tofubeats / 編集=赤井大祐・神保勇揮(FINDERS編集部)/ イラスト=若林萌

首都高からの風景に慣れたtofubeatsが聴いた「東京」〈Pizzicato Five/東京は夜の七時 〉

音楽プロデューサーtofubeatsさんが、とっておきのドライブソング4曲を厳選して紹介!
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音楽好きの著名人たちが、月替わりで自動車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを紹介します。 今月の選曲を担当するのは、6枚のアルバムリリースに加え、数多くの楽曲提供や、森高千里、KREVA、藤井隆ら人気アーティストとのコラボも行う、国内ポップミュージックシーンを代表する音楽プロデューサー / DJのtofubeats(トーフビーツ)さんです。

2曲目
Pizzicato Five/東京は夜の七時

ボルボV40とともに神戸から東京へ

もともと神戸で生活しており、音楽活動も関西圏が中心だった自分がまさか東京に引っ越すとは思っていなかったが、さらに神戸で乗っていた車を持ってきたことも予想外だった。

上京の数年前、本当は新車を買うつもりでいろんなディーラーを回っていたのだが、そんなときにいろいろあってわずか数年落ちの実家のボルボV40を中古で買い取ることになった。この車はおそらく父が生まれて初めて買った外国車で、これまで実家にあった車とはカラーリングから一線を画すシャレた一台であった(ちなみにこのボルボを自分に売って父はさらに大きいボルボを買った)。

1台目の車はディーラーで買ってみたかった自分にとっては少々不本意な取引で得た人生初の愛車だった。しかし、このV40というのは本当に良い車ですぐ好きになった。こんな良い車を手放すのは噂に聞く都内の混雑や駐車場代といった交通事情を考えても惜しかったのだ。

引っ越し当初は、駐車場が見つからずめちゃくちゃ大変だったが、なんとか売らずに持ってきてよかったと今なら言える。そしてそんなこんなで東京に出てきた30代の自分は首都高を結構走っているし、東京タワーを見慣れつつある……。20代の頃の自分に言えば驚くことばかりだ。

しかしまあ、新しい土地に慣れるという現象は不思議である。高すぎる駐車場代にも驚かなくなってきた。東京の街を生活者として見るようになると、これまで神戸から通って見ていたそれとは少し違った姿が見えるようになってきた。

これまでだって十分すぎるほど東京に通っていたし、「東京」と冠した曲を都内で聴いて悦に入ったりすることもあった。Pizzicato Five「東京は夜の七時」、角松敏生「Tokyo Tower」、Hi-Fi Set「中央フリーウェイ」に、G.RINA「東京(みやこ)のジプシー」など、思えばいろいろな角度から東京を歌った曲を聴いてきた。実際にこの街で音楽を作る人間になった今、さらにこれらの音楽がリアリティを持って自分に語りかけてくるような気がする。

そして自分も今やその一人なのだ。今後「東京」と冠する曲を自分が作るのかはわからないが、昔よりもう一歩これらの楽曲を作ったアーティストたちに近づいた。

tofubeats

トーフビーツ 神戸出身の音楽プロデューサー/DJ。学生時代からさまざまなアーティストのプロデュースや楽曲提供、楽曲のリミックスを行う。2013年4月に「水星 feat.オノマトペ大臣」を収録した自主制作アルバム『lost decade』を発売。同年11月には森高千里をゲストボーカルに迎えた「Don't Stop The Music」でワーナーミュージック・ジャパン内のレーベルunBORDEからメジャーデビュー。2014年10月にメジャー1stアルバム『First Album』をリリースし、以降もコンスタントに作品を発表している。2022年5月には約4年ぶりとなるニューアルバム『REFLECTION』と、初の書籍『トーフビーツの難聴日記』を同時に発表した。2022年11月3日に『REFLECTION』のLP盤及び『REFLECTION REMIXES』を配信リリース。2023年1月にはUKのDJ QとのコラボEP『A440』もリリースし、国内外でも注目を集めている。 HP: https://www.tofubeats.com Tw: @tofubeats IG: @tofubeats YouTube: https://www.youtube.com/tofubeats WMJ ARTIST HP: https://wmg.jp/tofubeats/ HIHATT HP: https://hihatt.com/

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