わたしのドライブミュージック

ちょっと浮ついた週末、湖畔ドライブにぴったりな「乙女おじさんの純情」〈一十三十一/Galanterie〉

ミュージシャンの一十三十一さんが、とっておきのドライブソング4曲を厳選して紹介!

一十三十一
2023.05.26

文= 一十三十一 / 編集=赤井大祐・神保勇揮(FINDERS編集部)/ イラスト=若林萌

2023.05.26

文= 一十三十一 / 編集=赤井大祐・神保勇揮(FINDERS編集部)/ イラスト=若林萌

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1年点検を受けると、だれにでもチャンス

音楽好きの著名人たちが、月代わりで自動車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを紹介します。

今月お届けする4曲の選曲を担当するのは「現代シティポップの女王」として数多(あまた)の名作をリリースしてきたシンガーソングライターの一十三十一(ひとみとい)さんです。

4曲目
一十三十一/Galanterie『ECSTASY』

フランスの湖畔へトリップ! 大人の男女のための恋愛ソング

ちょっとそこまで食事に行くなら、いっそ横浜まで車を走らせるのが週末のユージュアルな過ごし方のため、『CITY DIVE』に代表される私の楽曲はおのずと東京-横浜間のドライブがモチーフになっているものが多い。

首都高に乗り、わざわざ行きたいお気に入りのお店は、単なるおいしさ以上の、なおかつ単なる居心地の良さ以上の、凛とした説得力でもてなしてくれることをいつだって約束してくれるから心強い。食後に根岸森林公園で漂うことも、さらにはそのまま三浦の海岸まで成り行きに任せることも、そんなうっかりまで見込めてしまうから横浜は心憎い。

あるいは中央フリーウェイを富士山方面へ、湖畔の素敵なレストランを求めてドライブする週末も多々あるけれど、今のところ胃も心も満たしてくれるちょうど良いそれにまだ巡り合うための余白は残されているみたい(どなたか教えて!)。兎にも角にも富士五湖の、それぞれのその美しさに見とれるだけでありがたい。

あたかも違う星に降り立ってしまったような、ひとけのない本栖湖(もとすこ)の幻想的なほとりに佇み、浮かんだままの黄色いサブマリンをぼんやり眺めるだけでポエティック。霧立つ山中湖をただぐるりゆっくり走るだけでポエティック。たまにはスワンなボートに乗ってしまうのもポエティック。私の楽曲で湖をモチーフにした「Galanterie」(アルバム『Ecstasy』収録)というのがあるけれど、こちらはサヴォアの宝石と称されるフランスのアヌシー湖が舞台。

エリック・ロメールの映画『クレールの膝』から着想を得て制作したこの曲は、違うタイプの二人の狭間で揺れる乙女おじさんの純情を描いたもの。初夏のちょっと浮ついた富士五湖ドライブにはぴったりだと思う。ちなみに「Galanterie(ギャラントリー)」とは、フランス語で中世騎士道から受け継がれる女性に対する紳士のマナー、優雅な趣味的恋愛のこと。

一十三十一さんのプレイリスト

一十三十一

ひとみとい 2002年デビュー。“媚薬系”とも評されるエアリーでコケティッシュなヴォーカルでアーバンなポップスを展開。国内外問わずラブコール多くコラボレーションも多数。劇伴制作や、小沢健二氏のコーラス、Negiccoのプロデュース、ネオ・ドゥーワップバンド「JINTANA & EMERALDS」ではリードヴォーカルを担当するなど、さまざまなフィールドで活躍中。
Y2K前夜のようなフレンチハウストラックとシティポップなメロディが邂逅した『Love Groovin’』DÉ DÉ MOUSE & 一十三十一を5/31に配信リリース!
hitomitoi fanclub “toi toi toi”

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