自動車保険料値上げのイメージ

2026年10月に自動車保険が再値上げ! 値上げ前の乗り換えはお得か?

等級や事故あり…様々な状況からシミュレーション
宇野源一

自動車保険の値上がりが止まらない。昨年秋から今年初めにかけて大手保険会社が自動車保険料を値上げしたことが記憶に新しいが、さらなる保険料の改定(値上げ)が報道されている。今回は、元自動車販売店の営業マンで、現在ファイナンシャルプランナーの宇野源一氏が、自動車保険の値上げ前に駆け込みで保険の見直しや乗り換えをすることは効果的なのか解説する。

目次

2026年10月以降、自動車保険料はいくら上がる?

2026年10月から東京海上日動の自動車保険が約6.5%引き上げられる。本稿の執筆時点では東京海上日動だけだが、業界内の事情を鑑みると大手損害会社も追随して値上げに踏み切るだろう。

今回の値上げの背景については、以前執筆した記事『2026年は自動車保険料の値上げラッシュ! 「やってはいけない」保険料節約とは?』で説明した通りだが、これに伴い、次回の契約更新以降にわれわれ自動車ユーザーの負担増加が想定される。

ユーザーが支払う自動車保険料は、車種、補償内容や範囲など、さまざまな条件が加味されて決まるため、十人十色だ。今回のように約6.5%引き上げというのは条件によって異なると理解していいだろう。

単純に6.5%値上がりしたと仮定すると、年間10万円の保険料が10万6,500円になる。昨今の諸物価の上昇で負担が増えている中なので、厳しいと感じてしまう。

自動車保険の値上がり前に乗り換えてもいい場合・ダメな場合

負担額が増えてしまうのなら、値上がり前に保険を乗り換えようと考える人もいるだろう。ただ、条件とタイミングによっては乗り換えてしまうと結果的に失敗してしまうケースもある。

自動車保険を決める重要な要素の一つに等級がある。ご存じのとおり、契約期間中に無事故だと等級が上がり翌年以降の保険料が安くなる。保険料の割引が最大の20等級の場合、値上げ前の保険乗り換えは有効な手段だが、それ以外の場合は契約途中で解約してしまうと等級の進行が新たな保険の契約日の1年後の更新時まで後ろ倒しになってしまうので注意が必要だ。

参考までに、複数のケースでシミュレーションした。

ケース1: 7等級の自動車保険を契約している
8等級に上がると参考純率ベースで割引率が27%から38%へと大幅に上がるため、値上げよりも割引率のほうが高い。よって乗り換えないほうが翌年の保険料が安くなる可能性が高い。

ケース2: 17等級の自動車保険を契約している
18等級に上げると割引率55%から56%に上がるが、割引率の上昇よりも保険料の値上げが大きい。よって乗り換えたほうが向こう1年間は保険料が安くなる可能性がある

ケース3: 事故あり係数がある
もし契約期間中に事故などで保険を使った場合、次回の契約更新時もしくは保険乗り換え時に3等級あるいは1等級ダウンとなり、ダウンした分の事故あり係数が加算される。特に低い等級だと事故あり係数の有無によって割引率が大きく変わるので、保険を乗り換えないで等級を進行させたほうがお得になる可能性が高い(例1)。

(例1)12等級事故あり係数1(割引率22%)※事故あり係数0だった場合の割引率は50%→13等級事故あり係数0(事故有係数適用期間終了後)の割引率(51%)

保険会社を乗り換えたとしても、ダウンした等級と事故あり係数は引き継がれる(例2)。

(例2)10等級事故あり係数0(割引率46%)の契約期間中に3等級ダウン事故で保険を使った場合→乗り換え先では7等級事故あり係数3(割引率14%)

自動車保険は解約のタイミングに要注意! 乗り換える前に知っておきたいこと

前段の等級に加えて、自動車保険の乗り換えで考慮しておきたいことがある。それは現在の保険契約の支払い方法が「年払い」か「月払い」かによって支払った保険料の取り扱いが変わる、という点だ。

まず年払いで保険料を払っている人は、解約時期によって保険料が返戻される。下の表は保険契約の経過日数によって返戻金額が決まる、「短期率」を表にしたものだ。

始期日からの経過日数 〜7日 〜15日 〜1か月 〜2か月 〜3か月 〜4か月 〜5か月
短期率(%) 10 15 25 35 45 55 65
始期日からの経過日数 〜6か月 〜7か月 〜8か月 〜9か月 〜10か月 〜11か月 〜12か月
短期率(%) 70 75 80 85 90 95 100
  • 筆者作成

もし年間9万円の保険料を払っている人が中途解約した場合、解約返戻金はどうなるのかをシミュレーションしたのが以下の表だ。

始期日からの経過日数 〜7日 〜15日 〜1か月 〜2か月 〜3か月 〜4か月 〜5か月
短期率(%) 10 15 25 35 45 55 65
解約返戻金(目安) 81,000 76,500 67,500 58,500 49,500 40,500 31,500
始期日からの経過日数 〜6か月 〜7か月 〜8か月 〜9か月 〜10か月 〜11か月 〜12か月
短期率(%) 70 75 80 85 90 95 100
解約返戻金(目安) 27,000 22,500 18,000 13,500 9,000 4,500 0
  • 筆者作成

例えば、2025年12月1日に保険を契約し、2026年6月28日に解約した場合は始期日から7か月までの短期率のテーブルで計算されるので、解約返戻金は22,500円となる。残期間分の支払済保険料が丸ごと戻ってこない点には注意だ。この金額はあくまでも目安なので、解約を検討している際は加入している保険会社に確認しよう。

次に月払いで契約している場合は、年払いのような返戻金はないが注意すべき点がある。それは「1か月間の保険料を支払うタイミング」だ。年払いと同じ2025年12月1日に保険契約が開始されている場合、前日となる前月末日ではなく毎月1日が1か月分の保険料が発生するポイントとなる。

これは保険業界の慣例で、保険始期日の16時から契約が開始されることに由来している。そのため、現契約の保険を7月2日に解約するとなると、1日しか経っていないのに1か月分まるまる保険料を支払うことになる。

これについては日割りで保険料が返ってくるということは原則ないので、結果的に損をしてしまう。月払いで保険料を支払っている場合は「契約日と同日付」で解約することが最善の方法となる。

自動車保険乗り換えにかかる“見えないコスト”にも注目

自動車保険の乗り換えは実際に支払うお金以外にも、時間を大きく使うことにも留意したい。乗り換え先の保険会社の検討、見積もり請求、契約手続きに加え、現契約の解約手続きもしなければならない。ネット型からネット型の乗り換えなら自宅にいながら手続きができるが、代理店型の場合は対面での手続きが必要となる。

筆者が満期に伴いネット型自動車保険の乗り換えを検討したとき、一連の流れが完了するまでに少なくとも4〜5時間はかかった。目先の費用の節約も大切だが時間を有効に使うことも考えたほうがいいかもしれない。

宇野源一

うの・げんいち 大学卒業後、大手メーカー系自動車ディーラーに就職。その後、金融業界の業務・教育支援を行う会社に転職し、法人営業に従事しながら、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格を取得。2018年よりライターとしても活動。FP視点でのカーライフを提案することが得意。

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