EVと太陽光発電を活用した家庭の電力供給の流れ(V2H)イラスト

電気代節約に意外とコスパがいい「太陽光発電+EV」

2026年度補助金スタート! エネルギー価格高騰対策としての活用も
宇野源一

不安定な中東情勢の影響でエネルギー情勢が不安定化している。この状態が続けば先々電気代が上昇する可能性も否定できないだろう。近年では戸建て住宅に太陽光発電を導入する例も増えているが、そこに電気自動車(EV)も組合せることで、さらに光熱費を削減できる可能性がある。今回、ファイナンシャル・プランナー(FP)の宇野源一氏が、EVの活用事例や導入時の補助金なども含め、家庭用蓄電池との費用面を比較した。

目次

クルマで家の電気を補える「V2H」とは?

EVやプラグインハイブリッド車(PHEV)は外部給電機能を有しているものが多い。住宅に電気を供給するためにはV2H(Vehicle to Home)機器を設置する必要がある。導入費用は実勢価格で100万円〜160万円ほどと高額ではあるが、クルマを日常生活で必要な電力を蓄えておく手段にすることができる。

さらに、住居に太陽光発電設備を設置していれば、EVの充電費用の多くをカバーすることができるだろう。

太陽光発電=売電というイメージが強いが、作り出した電気を売却せずにEVに充電するほうがトータルで費用を抑えられる。現在は、売電価格よりも買電価格の方が高いので、売るよりも自家消費した方がコストパフォーマンスが高いという理由からだ。

1kWhあたりの購入費用はEVの方が安くなり、蓄電池として考えると高コスパ

V2H機器を100万円以上出して設置することを考えたら家庭用蓄電池を設置した方がいいのでは、と思われるかもしれない。だが、EVのバッテリーで用いられるリチウムイオン電池の単価を計算してみると、意外とアリかもと思われるかもしれない。

EVの中でも小型な日産サクラを例に計算してみよう。サクラに搭載されているリチウムイオン電池の容量は20kWh。これを搭載したXグレードの車両本体価格は259万9300円、乗り出し価格はキリのいい数字で300万円と仮定する。蓄電池1kWhあたりの購入費用を算出してみると、300万円÷20kWh=15万円となる。もし150万円のV2H機器をサクラの購入と同時に設置したなら、450万円÷20kWh=22.5万円となる。

これがはたして高いのか安いのか、比較対象として家庭用蓄電池の購入費用を例として挙げる。東京電力エナジーパートナーによると、家庭用蓄電池の導入コストは1kWhあたり約22万円。筆者が2023年春に自宅に設置した7.4 kWhの蓄電池の導入コストが約140万円だった。昨今の物価上昇を加味しても妥当な数字といえる。

補助金を考慮しない定価ベースで比較しても、蓄電池の購入費用と考えるとV2H機器の初期コストを加味しても1kWhあたり導入コストは家庭用蓄電池とほぼ変わらないため、据え置きの専用機器よりも、「クルマ」として活用方法が多岐にわたるEVの方がお得だといえるだろう。

また、家庭用蓄電池は太陽光発電とセットで設置するのが一般的だ。太陽光発電の設備一式(太陽光パネル+パワーコンディショナー)の設置費用は規模によって異なるが、3kW級なら概ね80〜100万円かかる。このコストも考慮しておいた方がいいだろう。

EVを蓄電池として使ったらどれくらい電気代を抑えられる?

太陽光発電設備を導入し、あわせてEVを蓄電池代わりに購入した場合、どれくらい電気代を節約できるのかシミュレーションしてみよう。まず参考までに、下の表は2025年の1年間、筆者の自宅の太陽光発電量と東京都の「家庭の省エネハンドブック2025」の数値を合わせ、どのくらい電気使用量を自給できたかというものだ(赤字の月は発電量が使用量を上回っている)。

  発電量(kWh) 電気使用量(kWh)
(4人家族の目安)
使用量ー発電量
1月 368 563 195
2月 493 563 70
3月 516 417 -99
4月 625 417 -208
5月 610 316 -294
6月 657 316 -341
7月 752 560 -192
8月 670 560 -110
9月 511 403 -108
10月 319 403 84
11月 336 419 83
12月 294 419 125
  • 4人家族の電気使用量は省エネハンドブックより引用し、これには奇数月のみ記載があったので2か月間同じ電気を使ったと仮定

さて、ここで発電した電気を100%使用する場合、1年のうち7か月間は「発電量>使用量」となる。余った電気をEVに蓄電し、夜間や早朝などに使うことで、電力会社から電気を買うことなく生活できる可能性が高い。家庭(4人世帯)における1日の電気使用量は15kWh以内で収まるケースが多いと言われているので、日産サクラのバッテリー容量の20kWhであれば十分賄い切れるシミュレーションだ。

つまり、太陽光発電+大容量の蓄電能力を持つEV(あるいは家庭用蓄電池)を導入することで、時期によっては電気料金を半分程度に抑えることができるだろう。余った電気は売ることができるので、売電収入(2026年4月現在、4年目まで24円/kWh、5〜10年目は8.3円/kWh。2027年度も同単価の予定)も期待できる。認定時期により単価は異なるため、導入時に最新条件を確認したい。

もちろん設備の設置とEV購入にはそれなりのコストが発生するので、電力自給と売電だけですぐに100%回収できるとは限らないのでご留意願いたい。

補助金の活用で導入コストを抑えよう

EVや蓄電池は、新品を買うと国や地方自治体からの補助金を受け取れる。参考として前年の2025年度に、東京都でEVや蓄電池を導入した場合の補助金額を参考に紹介する。

・日産サクラ購入の補助金額(CEV補助金)58万円
・自治体の補助金(例: 江東区民がEVを購入した場合の補助金は10万円)
・東京都の蓄電池補助金12万円/1kWh
・国のV2H機器設置補助金約50万円+工事費分15万円(メーカー、機種によって変動)
・東京都のV2H補助金100万円(クルマと同時購入の場合の上限、V2H単体は50万円が上限)

上記のように、補助金は国以外にも都道府県・市区町村で実施されているところもある。皆さんのお住まいの地域でどのような補助金が展開されているのか調べてみることをおすすめする。

また2026年度の補助金額はおおむねゴールデンウィーク前後から順次公表されることが多い。また、申請には実施要項が公表された後の契約が必須となるケースも多々見受けられるので、これからEVなどの購入を検討している人はあらかじめ対象期間などの助成要件を確認しておこう。

宇野源一

うの・げんいち 大学卒業後、大手メーカー系自動車ディーラーに就職。その後、金融業界の業務・教育支援を行う会社に転職し、法人営業に従事しながら、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格を取得。2018年よりライターとしても活動。FP視点でのカーライフを提案することが得意。

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