2025年末のガソリン暫定税率廃止で私たちの負担はどれくらい変わる?
ガソリン補助金や暫定税率廃止後の軽油価格についても紹介
現在、ガソリン税の旧暫定税率(以下、暫定税率)の廃止論が注目されている。自動車ユーザーの要望を受け、JAFなど自動車関連団体も長年に渡り暫定税率の廃止を求めていていたが、この願いがようやく実を結びそうだ。今回、ファイナンシャルプランナーの宇野源一氏が、実際に暫定税率が廃止されたら私たち消費者の負担額はどれくらい変わるのか、未確定な部分が多いが現状を踏まえて解説する。
ガソリンの暫定税率は2025年内に廃止へ
ガソリンの暫定税率については、2024年12月に自民党、公明党、国民民主党の間で合意書が交わされたものの時期が決まっていなかったが、与野党6党の実務者が2025年10月31日に年内廃止で合意した。
ガソリン税の暫定税率が廃止されたらどれくらい負担が変わる?
暫定税率について簡単にまとめると
・ガソリン1あたりの本則税率は1Lあたり24.3円
・本則税率に上乗せされている暫定税率は、1Lあたり25.1円
・1974年から続いている制度で、当初は受益者負担という考え方に基づき、道路整備だけに限って使用する道路特定財源だったが、2009年から一般財源化され、道路整備以外にも使われている
これが完全に廃止されると仮定すると、レギュラーガソリン1Lあたり173.5円(2025年10月29日に資源エネルギー庁が公表した全国平均価格)が145.8円となり、大幅に負担が減ると感じるだろうが、単純な話ではないと思われる。(ガソリンにおいては「(本体+ガソリン税)×消費税」となるため、消費税分も安くなる計算となる)
その理由は、現在のガソリン価格には政府からの補助金がすでに含まれているからだ。この補助金は、コロナ禍から始まった原油価格の高騰に対する国民負担を軽減するために創設されたもので、10月29日現在はガソリン1Lあたり10円が補助されている。よって、実際のガソリン価格は183.5円ということになるだろう。
暫定税率の廃止に伴い、ガソリンへの補助金も一緒に廃止になると思われる。いち市民の考えからすれば暫定税率の撤廃とガソリン補助金は別物だと考えてもよさそうだが、自動車ユーザーが支払うガソリン代は補助金なしの価格から暫定税率分の25.1円と消費税を差し引いた155.8円となる。
| 現在のガソリン価格(補助金込み) | 173.5円 |
| (補助金なしだと) | (183.5円) |
| 暫定税率が廃止されると | 145.8円 |
| (補助金なしだと) | (155.8円) |
法改正が成立するまではガソリン補助金で対応か
高市首相が「年内には廃止」と述べてはいるものの、法改正をしなければならないため相当な時間を要する。その対応策として暫定税率が廃止されるまでの間、段階的にガソリン補助金を増額する方針となっている。
補助金は11月13日から12月11日までの間、2週間ごと(11月13日、11月27日、12月11日)に合計15円増額される見込みだ。これにより現状の補助金と合わせて合計25円となり、暫定税率分と同額の補助となる。
軽油引取税の暫定税率廃止や「Tax on Tax」に関する今後の動向にも注目
昨今議論されている暫定税率については、主にガソリン税に関するものだった。しかし、トラックやバスなどの大型車はガソリンではなく軽油を用いており、軽油には「軽油引取税」が課税されている。
軽油引取税にも暫定税率があり、こちらは1Lあたり17.1円(本則税率は1Lあたり15円)。こちらに関しては2026年4月1日に廃止することが合意されている。仮に軽油の補助金なしの価格が163.7円とすると、暫定税率が廃止された場合、補助金を考慮しなければ146.6円となる計算だ。物流業界にとってはコスト削減につながり、ひいては物価高対策にもつながるため注目すべきトピックスだろう。
ディーゼルエンジンを搭載した乗用車に乗っているユーザーも少なくない。軽油引取税の動向についても注目したい。また、ガソリン税に消費税が課税されているTax on Taxや、自動車重量税にも課せられている暫定税率は今のところ見直される気配がない。今後、例年12月に公表される税制改正大綱において、これらも見直されるかどうか注目すべきだ。

宇野源一
うの・げんいち 大学卒業後、大手メーカー系自動車ディーラーに就職。その後、金融業界の業務・教育支援を行う会社に転職し、法人営業に従事しながら、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格を取得。2018年よりライターとしても活動。FP視点でのカーライフを提案することが得意。
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