軽油を給油するイメージ

ガソリンだけじゃない! 軽油の暫定税率も2025年度を最後に廃止決定、その効果とは?

物流業界から家計にも影響を与える“軽油引取税”とは
宇野源一

ガソリン税の旧暫定税率(以下、暫定税率)の2025年中の撤廃が決定し、11月13日から段階的に暫定税率相当の“つなぎ補助金”が石油元売り各社へ支給され始めた。暫定税率と聞くと一般的にガソリンにかかるものとイメージしがちだが、トラックやバスなどディーゼルエンジン車の燃料となる軽油に対しても暫定税率が適用されている。今回、ファイナンシャルプランナーの宇野源一氏が、軽油に関する税金の話を解説する。

目次

そもそも軽油引取税とは?

ガソリン税と同様に、軽油についても税金が課せられている。軽油に関しては「軽油引取税」という名目で、国に納税するガソリン税とは違い、都道府県によって課税される普通税だ。

現状の軽油引取税は1KL(1,000L)あたり3万2,100円課税されている。クルマに給油する場合は1Lあたり32.1円を納税しているということになる。

軽油の「暫定税率」とは?

この軽油引取税は2009年の一般財源化後も「当分の間税率(暫定税率)」として17.1円の上乗せ課税が続いている。つまり本来であれば本則税率の15円を収めればいいのだが、ディーゼル車のユーザーもガソリンと同様に本則税率より高い税金を納めているのだ。

この軽油引取税の暫定税率についても、2026年4月1日に廃止されることが決定した。

軽油にも補助金は出ている?

ガソリンと同様に、これまで軽油についても10円の補助金が支給されていたが、11月13日から段階的につなぎ補助金が支給されている。軽油のつなぎ補助金のスケジュールは以下の通りだ。

11月13日:15円(すでに支給されている10円に5円増額)
11月27日:17.1円(すでに支給されている15円に2.1円増額)

この補助を軽油引取税の暫定税率が廃止される2026年4月1日まで行うことで、2025年内に暫定税率分の負担が事実上解消されることになる。

つなぎ補助金の支給後、暫定税率廃止までの軽油価格をシミュレーション

つなぎ補助金が支給され軽油引取税の暫定税率が撤廃されることで、軽油を購入するユーザーの負担がどうなるのかシミュレーションしてみよう。

11月10日時点の軽油小売価格の全国平均は1リットルあたり153.7円(うち10円は補助金)。この単価が変わらないと仮定し、段階的につなぎ補助金が支給されるとどうなるのかシミュレーションする。

11月13日〜11月26日(補助金5円増額):148.7円
11月27日以降(補助金2.1円増額):146.1円

80Lの燃料タンクを装備している大型SUVでは、空の状態から満タンにした場合400円(11月26日まで)または568円(11月27日以降)のコスト減が見込まれる。物流で使用されている大型トラックなどは300〜400Lも入る大型の燃料タンクを装備しているので、燃料が空の状態で満タン給油すると2,100〜2,800円ほど経費が抑えられる計算になる。

燃料費の低下は物流コストを下げることにつながり、物価を抑えることにもつながる。ガソリン車のユーザーにとって、軽油の暫定税率撤廃は直接家計には影響なさそうにも感じるが、間接的に物流コストの削減をもたらし、最終的には購入する商品価格に影響してくるので、実は重要な問題と言えるだろう。

宇野源一

うの・げんいち 大学卒業後、大手メーカー系自動車ディーラーに就職。その後、金融業界の業務・教育支援を行う会社に転職し、法人営業に従事しながら、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格を取得。2018年よりライターとしても活動。FP視点でのカーライフを提案することが得意。

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