高速道路の有料期間が最長2115年まで延長!
“ドラえもん”が生まれるその先まで料金徴収は続く…高速道路の料金徴収期間がさらに50年延長
高速道路の有料期間を最長で2115年まで延長することを盛り込んだ道路整備特別措置法と日本高速道路保有・債務返済機構法の一部を改正する法律が、2023年5月31日に国会で可決・成立し、6月7日に公布された。
今では当たり前のように徴収されている高速道路の通行料金だが、実は無料とすることが原則。ただし、借り入れた建設費用を賄うために通行料を徴収することができ、償還が終わった路線から無料開放するというルールがある。そのため、1960年から70年代に整備された東名・名神高速や中央自動車道といった都市部の路線ではすでに償還が終わっており、無料化されなければならないハズだ。
しかし、国は全国に高速道路網を拡大するために、1972年から日本道路公団(当時)の高速道路をひとつの高速道路として、全国の高速道路網が完成してその費用の償還が終わるまで料金を徴収するという、いわゆる“料金プール制”が維持されている。
料金プール制は東名・名神高速をはじめとした採算のいい路線で得た利益を、不採算が見込まれてもその公共性から建設を進める地方の路線の建設費や、維持管理の費用に充てるという仕組みだ。
さらに2005年には同公団が民営化された際に、それまでの高速道路建設にかかった借り入れを2050年までに返済して無料化するという計画が立てられた。
ただ、2012年に中央自動車道笹子トンネルで9人が亡くなるトンネル天井板崩落事故が発生。この事故を契機に、高速道路をはじめとしたインフラの老朽化対策が叫ばれるようになり、国は2014年、高速道路のトンネルや橋などの更新・維持管理費用を調達するために、有料期間を15年延長して2065年としたのである。
維持管理だけでなく老朽化対策や地方路線の拡幅の費用に
このように料金プール制の導入の導入に始まり、有料期間が終わるのが45年先、さらに15年先と先送りされてきた高速道路の料金。その一方で、高度経済成長期に作られた高速道路は、50年以上が経過して老朽化が進み、その維持管理や更新にますます費用がかかるという問題を抱えている。
今回の改正法の公布によって高速道路の有料期間をさらに50年延長し、最長で2115年までとすることとなった。この有料期間の延長で得られる料金から、トンネルや橋といった老朽化したインフラの更新や、地方の路線に多い2車線の区間を4車線に拡幅すること、さらには近年増えている電気自動車の充電設備の整備を進めるとしている。
無料化は「ドラえもん」の誕生後!?
2115年といえば今から90年以上先のことであり、今回の決定は、もはや高速道路の料金は半永久的に徴収されることになったといっても過言ではない。こうした有料期間延長に対して、SNSの声の中には「高速道路が無料になるのはドラえもんの誕生日(2112年)よりも先のこと」という、もはや諦めともいえる声も上がっている。