車の諸元表イメージ
文=八百山ゆーすけ

数字で読み解くクルマのスペック「新発見! 諸元表クイズ」

あなたのクルマは止められる? 駐車場にまつわる数字を解説

クルマの排気量にボディのサイズ、重さなどなど、普段はあまり気にしない“クルマにまつわる数字”が書かれている「諸元表」をご存じですか。諸元表の数字を比べることで、駐車場に止められる車のサイズや、自宅前の道路にどのくらい道幅があればいいのかわかるなど、改めて自分のクルマとクルマを取り巻く関係が見えてきます。

最近は自動車メーカーの車種を紹介したページでも、かなり奥の階層にあったりして、あまり目にすることがないクルマの「諸元表」。“諸元”とは、いわゆるクルマのスペック(仕様)で、長さ、幅、高さ、同じく室内の寸法、車重をはじめ、エンジンの排気量、出力、燃費といった数値を表しています。

クルマ愛好家の間では、エンジン形式や出力、トランスミッションやサスペンションの形式、タイヤサイズといったスペックが話題に上ります。一方、クルマに実用性を求めるドライバーにとっては、燃費や室内の長さ、幅、高さといった空間の広さ、さらには最小回転半径からわかる小回りの良さといった数値が気になるところでしょう。

また、クルマ選びというだけでなく、普段の運転でも自分が乗っているクルマのスペックを知っておくことが大事です。たとえばお出かけ先で最寄りの駐車場に止めたいと思ったときに、そこが立体駐車場だと、意外と高さや幅、重さといったクルマのサイズの関係で止められなかったりすることが多いものです。特に立体式駐車場の中でも、クルマをパレット(台)に載せる機械式駐車場では、パレットのサイズによってかなり制限があるようです。

では、突然ですがここでクイズです。

次に挙げるクルマのうち、一般的な機械式駐車場に止めることができるものをすべて選んでください。

車のシルエットクイズ画像

1. 全長4180mm/全幅1765mm/全高1590mm/車両重量1110kgのSUV
2. 全長4330mm/全幅1790mm/全高1580mm/車両重量1250kgのSUV
3. 全長4395mm/全幅1795mm/全高1540mm/車両重量1420kgのSUV

3のSUV

この3モデルはSUVの中でも、比較的小型のモデルです。ここに挙げた各車の車高は、1のSUVが1590mm、2のSUVが1580mm、3のSUVは1540mmとなっています。実は一般的な機械式駐車場の受け入れ可能な車高は1550mmだといわれています。そのため、この場合、止められるのは3のみとなってしまいます。

昔は乗用車の中心がセダンタイプであり、そんなセダンを収容することを前提に設計されていたとされる機械式駐車場。そのため、多くの機械式駐車場の車高制限が1550mmとなっているようです。ただし、近年はSUVタイプが増えてきたこともあり、その制限を1650mmや1700mmとした設備も登場しています。

次に挙げるセダン/ワゴンタイプで、一般的な機械式駐車場に止めることができるものはどれでしょうか。

車のシルエットクイズ画像

1. 全長5030mm/全幅1890mm/全高1475mm/車両重量2020kgのセダン
2. 全長4810mm/全幅1820mm/全高1440mm/車両重量1700kgのセダン
3. 全長4755mm/全幅1780mm/全高1490mm/車両重量1600kgのワゴン

2と3のセダン

車高は1のセダンが1475mm、2のセダンが1440mm、3のワゴンが1490mmと、いずれも制限をクリアしています。ただし、ここで問題となるのは車幅です。1が1890mm、2が1820mm、3が1780mmとなっています。一般的な機械式駐車場の車幅の制限は1850mmとされていて、そうすると2のセダンと3のワゴンが駐車可能となります。

なお、車幅に関しては設備によって狭いものは1750mmとなっていて、この場合は3台とも駐車することができません。これは昔主流だった5ナンバー枠の全幅が最大で1700mmであったから、1750mmという設定になっているようです。また、逆に近年は車幅が1800mmを超えるモデルも増えてきていることもあり、制限を1950mmとした設備も登場しているようです。

大規模なマンションの駐車場などでは、パレットが上下左右に移動する昇降横行式の駐車装置が設置されていることも多いようです。こうした設備では1階や最上階では車高が高いミニバンのようなクルマでも駐車することが可能です。

次に挙げたミニバンの中で、昇降横行式の駐車場に駐車可能なクルマを選んでください。

車のシルエットクイズ画像

1. 全長4995mm/全幅1850mm/全高1935mm/車両重量2060kgのミニバン
2. 全長4965mm/全幅1850mm/全高1805mm/車両重量1930kgのミニバン
3. 全長4800mm/全幅1750mm/全高1840mm/車両重量1710kgのミニバン

2と3のミニバン

SUVと並んで乗用車の主流となっているミニバン。車高が高いこともあって、機械式駐車場に限らず自走式も含めて、立体式駐車場に駐車する際には特に高さに気を使います。今回の3モデルは、すべて高さが2m以下のため、そこはクリアしています。ただ、ここでハードルとなるのが車重です。1のミニバンの車重は2060kg、2のミニバンは1930kg、3のミニバンは1710kgとなっています。実は機械式駐車場に限らず、自走式の立体式駐車場でも、2階以上に収容できるのは2t、つまり2000kgまでとしている駐車場がほとんどです。そのため、この3モデルでは2と3が駐車可能となります。

近年、クルマのサイズは大型化する傾向にあります。車幅は1800mmを超えるものが増え、さらにSUVブームもあって車高の高いクルマが増えています。また、車重もサイズの大型化に伴って重くなる傾向にあり、セダンやSUVタイプでも2トンを超えるものもでてきています。その一方で、機械式駐車場は更新されずに古い設備がそのまま使われていることも多く、設置当時の平均的なクルマに合わせて作られた設備では、今のクルマのサイズの現状に合わなくなってきているともいえます。

機械式駐車場に駐車できない場合、自走式の立体駐車場や地上の駐車場に駐車するといいでしょう。特に都市部の有料駐車場では機械式を採用しているケースが多く、あらかじめ駐車場検索サイトなどを活用して、自分のクルマが止められるか確認すると同時に、近隣の自走式駐車場も探しておくと、現地に着いてから駐車場を探して右往左往することもないでしょう。

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八百山ゆーすけ

やおやま・ゆーすけ クルマとモーターサイクルを中心に、高速道路料金やETC、渋滞解消のような交通問題まで、乗り物に関するテーマの記事を、雑誌や書籍、ウェブに寄稿。愛車は車齢27年、35万kmのミニバン。乗り物以外にもドローンやカメラといったガジェットなど、マニアックな視点の記事を執筆している。

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