重機女子Kaoriさんもびっくり! 想像を絶する超巨大建機、日立建機のショベルカー&ダンプ
【特車図鑑】世の中を支える唯一無二の特殊な乗り物たち
建設現場や災害現場、あるいは輸送などさまざまな分野で人知れず活躍している特殊な車両たち。特別な作業のために開発されているだけに、その機能や形状も見たことないものばかり。「特車図鑑」ではそんな世の中をひっそり支えている車両たちを紹介。今回は採掘現場などで活躍する建設機械(建機)、日立建機の超巨大ショベルカーとダンプの2台を紹介しよう。
アームを伸ばすと全長はなんと24m超え!
採掘現場で作業している日立建機の超巨大ショベルカーEX5600-7
まずは「長い腕」を持つマンモスのような姿の建機、超巨大ショベルカー「EX5600-7」だ。こちらはとても街中で作業できないサイズとスケールの機材で、本体だけで全長12.5m×全幅10.3m×全高8.68mという大きさ。作業を行うバケット(主にショベル)付きのブーム+アームを伸ばすと、全長は約2倍に!
ショベルカーという建機は、崩して、掘って、持ち上げる作業を行うもの。掘った地面の土砂や石をトラックに積み込んだり、別の場所に積み上げたりする。このEX5600-7は、写真に写る人間のサイズを見てわかるように、同社のカタログモデルでは2番目に大きい。ショベルひとすくいで最大34.0m3をすくい上げる能力を持つ。
重機女子オペレーター Kaoriさんが語るEX5600-7の魅力
- 20tショベルとはケタ違い! EX5600-7の“巨大っぷり”にびっくり
普段私が操るのは20tクラスのショベルカーですが、日立建機のEX5600-7はその約25倍の500tクラス。3階建てマンションほどの巨体を、人がレバー操作だけで自在に操れるなんて驚きじゃないですか。間近で見ると圧倒されること間違いなしです。ちなみに「7」は最新モデルを示しています。私が乗る20tの7型も操作性抜群で、車内は快適そのもの。飲み物はエアコン連動で冷温調整でき、Bluetooth接続による楽曲などの音質も上々。最高な気分で仕事ができます!
EX5600-7の特徴はここ!
【クローラー】足回りにはクローラー(キャタピラーとも呼ばれる)が採用され、不整地でも高い安定性と小回り性能を発揮する。特に原野や鉱山など過酷な現場では不可欠な仕様。地形や路面に応じてクローラーの爪やコマの形状を変えるなど、現場に最適化して使われる
【エンジン】走行機能もオペレーション機能も油圧で動作させる構造を持つ。そのため、エンジン自体の構造は自動車と大きくは変わらないが、加圧ポンプの駆動に特化したカミンズ製のエンジンを搭載。排気量は50L×2機で、1機あたり1500馬力を発生するモンスターだ
【運転席】両手両足をフルに使って操作する。しかも、それぞれが複数の役割を担っており、オペレーターシートを囲むレバーやペダル類の多さに、思わず圧倒される。乗り心地の良いエアサスシートやアームレストを装備。さらにエアコン完備の快適空間となっている
【バケット】バケットには大きく分けて2種類あり、ひとつは「バックホウ」で、遠くにある資材を奥から手前、上から下に引き寄せてすくい上げるタイプ。もうひとつは「ローディングショベル」で、この写真のように、手前から奥へ、下から上に持ち上げるようにしてすくい上げるタイプ
●EX5600-7の仕様&スペック
【全長×全幅×全高(mm)】 12,535(計算値)×10,300×8,680
【運転質量※(kg)】 545,000(バックホウ)/541,000(ローディングショベル)
【標準バケット容量(m3)】 34.0(バックホウ)/29.0(ローディングショベル)
【走行速度 高/低(km/h)】 2.3/1.6
【エンジン】 カミンズQSKTA50-CE
【定格出力(HP/rpm)】 2×1,500/1,800
【排気量(L)】 2×50.0
【燃料】 軽油
【燃料タンク容量(L)】 11,300
- ※運転質量とは、機械の運転時に必要なすべての要素(燃料、潤滑油、作動油、乗員など)を含む総重量のこと。
車両総重量322t! 通常の大型トラックの約13倍のEH3500AC-3
写真では小さく見えるトラックだが、実は車両総重量322tの超巨大サイズ
上の写真でEX5600-7とのコンビネーション作業を行っているのは、ダンプトラックEH3500AC-3という建機で、種別はリジッドダンプトラックという。運転席に座るまでに地面からステップを上がり、前部の階段を上って乗り込むという大掛かりなもの。
EH3500AC-3は土砂や石などの“資材”を運搬するのがその目的だ。巨大なタイヤで車両全体を支えているが、車両総重量はなんと322t。内訳は車両が141tで積載量が181tとなる。一般的な大型トラックの車両総重量は特別なものを除いて25tなので、約13倍の重さということになる。EX5600-7のような超巨大ショベルカーがすくった土砂などの資材を効率よく移送し、移送先の地点でベッセル(荷台)を立ち上げて排土する。
巨大な容量が特徴だが走行能力も問われ、建機の中では移動距離も長い。今回紹介したいずれの建機もその巨大さゆえに一般道を走行することは不可で、作業は採石場や鉱山など隔離された現場に限られる。
重機女子オペレーター Kaoriさんが語るEH3500AC-3の魅力
- 高さ13m!? EH3500AC-3の実物はトミカの100倍スゴかった
鉱山で活躍する超大型リジッドダンプEH3500AC-3は、高さ7m、ダンプアップ時は13.08mにも達し、まさに3階建てマンション級の巨体です。トミカで見た人もいるかもしれないですが、実物は迫力が段違いです(笑)。最大速度は56km/hで、走行も驚くほど安定しています。タイヤのサイズも人が2人縦に並ぶほど。一度でも間近で見れば、そのスケールと存在感に圧倒され、大型重機の世界に魅了されること間違いなしです。
EH3500AC-3の特徴はここ!
【ベッセル(荷台)】最大で181tもの資材を積載する能力を持つ。街で見かける大型ダンプカーでも積載量はせいぜい10t程度。ベッセルは走行時、底面がやや前傾するよう設計されており、走行中の資材の安定性を高め、ダンプ時には適度な速さで資材を排出できるようになっている
【運転席】キャブには助手席も用意され、各シートにアームレストが付き、さらにハイバックの背もたれという、なかなかの豪華仕様。長時間の作業に対する必要な装備だ。AT車なので2ペダルでセンターのシフトセレクターは前進のF、ニュートラルのN、後退のRの3ポジション
【タイヤ】タイヤ幅は何と1m以上ある。そして直径は3.438mと人間2人分の高さの大きさだ(写真はKaoriさんとの比較)。これを前に2本、後ろに4本装着する。採石場や大規模造成地など、走行条件の悪いオフロードを181tもの資材を載せて走行するには必要なサイズとのこと
●EH3500AC-3の仕様&スペック
【全長×全幅×全高(mm)】 13,560×9,130×7,000
【ホイールベース(mm)】 5,620
【運転質量(kg)】 141,000
【駆動システム】 日立ACドライブシステム
【最小旋回半径(m)】 14.7
【最高走行速度(km/h)】 56.0
【エンジン】 MTU 12V4000 C21
【排気量(L)】 50.3
【定格出力(PS/rpm)】 2,027/1,900
【平積容量(m3)】80.4
【ダンプ時間(s)】 17.5
【燃料】 軽油
【燃料タンク容量(L)】 2,040
【タイヤサイズ】 37.00R57
重機女子オペレーター Kaoriさん(株式会社KSK 代表)
親方として現場で作業を行うKaoriさんは、重機が好きすぎて自ら会社を設立。「ユンボの楽しさを伝えたい!」という思いから、テレビ出演やイベントでの講演のほか、建設業界で働く女性たちが集まるコミュニティサイトなども運営している。
Instagram:@kao.ksk
公式LINE(建設業に関わる女性限定):@925dxxzs
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