車のパーツの摩耗や劣化は、ドライバーが気づかないうちに進んでいます。
いつまでも快適なカーライフを楽しむために欠かせない点検・整備【第2回】自動車の部品はユーザーの多くが気づかないうちに、摩耗や劣化が進んでいます。 そのまま乗り続けていると、重大な故障につながって修理が必要になり、費用がかかるうえ、最悪の場合は交通事故を引き起こすなど、さまざまなリスクがあります。 ここでは故障や事故につながりやすい部品の摩耗や劣化を、具体的に紹介していきます。リスクを回避するためにも、日頃からマイカーの点検・整備を心がけるようにしましょう。
知らないうちに進んでいる部品の摩耗や劣化
最近の自動車は、昔と比べて故障しにくく信頼性が格段に上がっているので、日常使いであれば壊れることはないと思っている人がいるかもしれません。
しかしながら、すべての機械に言えることですが、稼働を繰り返しているうちに少しずつ磨耗していきます。
タイヤやブレーキなど、摩擦力によって機能を発揮する部品も、摩擦によって少しずつ表面が削れていきます。
さらにタイヤのほか、燃料や冷却水などが流れるパイプなどに使われるゴム類も、使っていくにつれ劣化が進んでいきます。
マフラーなど自動車の下廻りに配置されている部品は、雨や潮風、雪道における融雪剤の影響により、サビが発生して腐食が進み、穴が開いてしまう可能性もあります。
灯火類に使っている電球は、家庭用同様に、使っているうちに玉切れを起こすことも…。
自動車には冷却水、エンジンオイル、ブレーキ液などの液体も使われていますが、これらも、使っていくにつれ劣化が進んでいき、また、量が減っていることもあります。
フィルターによりエンジンオイルの汚れなどを取り除き汚れの進行をある程度抑えてはいますが、性能を維持するためには、掃除機と同様、フィルターの交換も定期的に行う必要があります。
タイヤにまつわるトラブルが、
一般道、高速道路問わず、JAF出動理由の上位に常にきております。
出勤理由 | 一般道 | 一般道 |
---|---|---|
タイヤのパンク・バースト・エアー圧不足 (JAFロードサービス全体出動理由第2位) |
389,634件 | 23,986件 |
2022年度JAFロードサービス出動理由より 2022年4月~2023年3月累計
車両火災の原因にもなりかねない「小さな亀裂」
こうした部品の交換を怠っていると、最悪の場合、生命の危険に関わることがあります。
運転者や同乗者などの命に関わるリスクとしては、燃料漏れによる車両火災があります。
燃料ホースなどに亀裂が生じることで燃料漏れを引き起こし、漏れた燃料がエンジンの排気系など高温の部分にかかって着火してしまうという可能性があります。
エンジンを始動して、燃料のにおいが気になる場合は、燃料ホースなどに亀裂が発生しているかもしれません。
ユーザー自身で修理をする事は難しいので、自動車整備工場などに連絡して点検・整備をしてもらうのがよいでしょう。
走り方がいつもと違うと感じたら要注意
ブレーキの不調によって、運転者や同乗者に限らず、周辺の人の命にも危険が及ぶ場合もあります。
ブレーキパッドやライニングの偏摩耗等により効きが悪くなる場合や、ブレーキ液が漏れて減っているという原因もあります。
自動車のメーターにあるブレーキの警告灯について、パーキングブレーキの作動を示すランプと思っている人がいるかもしれませんが、それだけを知らせるものではありません。パーキングブレーキを解除しても、警告灯が消えなかったら、ブレーキに関係するどこかに異常があるかもしれませんので、整備工場で点検をしてもらいましょう。
タイヤを支えているサスペンションや、ステアリングなどの装置が破損することによって、ハンドル操作が効かなくなったりするケースもあります。
なんらかの原因でタイヤの側面などを傷つけてしまった場合や、空気圧の低下によりタイヤへの負荷が高まり、異常発熱を起こした場合等、タイヤがバースト(破裂)してしまうこともあります。
さらに空気圧が低下すると、走行時の安定性が低下し、燃費も悪くなりますので、常に規定の空気圧を保つようにしましょう。
ランプの球切れが大事故につながることも
小さなトラブルが大きな事故を誘発する可能性もあります。
ランプの球切れが原因でウインカーが点灯せず、左折時の自転車や二輪車の巻き込みが発生したり、テールランプやブレーキランプの点灯がないことによって追突事故などの原因になってしまいます。
テールランプなどは、車体後方にあるため、自分では確認しにくいこともあり、気がつかない理由になっています。同乗者等に見てもらうなどにより確認しておきましょう。
仮に人命に関わらなくても、エンジンの故障による立ち往生が発生することもあります。
大事な予定に支障をきたしたり、交通渋滞を引き起こして他人にも迷惑をかけてしまいます。
現在販売されている自動車がオーバーヒートになることは稀だと思いますが、パイプの亀裂による冷却水の減少、パイプ詰まりによる水温上昇、エンジンオイルの量が足りないことによる過熱、電気系統のトラブルによる冷却ファンの不動など、エンジン不具合やオーバーヒートを誘発する原因はいくつもあるので、注意は必要です。
点検整備を行っていれば避けられる事故も
今回取り上げた部品の劣化や故障の多くは、点検整備をしっかりと行うことで、気が付くことや回避することができます。ユーザー自身が行う日常点検でも、冷却水やブレーキ液、エンジンオイルの量、灯火類の点灯点滅、タイヤの亀裂や損傷の有無、空気圧と溝の深さ、ブレーキの効き具合など確認できる項目は多くそれだけでも故障や事故の回避につながります。
ただ、ユーザー自身では適切に確認・修理する事が難しい項目も多くありますので、日常点検に加え、自動車整備工場など、プロに依頼する定期点検整備も欠かせません。
是非、日常点検の習慣付けと、定期点検を行うようにしてください。
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