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文=高橋陽介 / 制作協力=ダズ

あなたはデジタル派? アナログ派? 昭和から平成、令和へ。メーターパネルの移り変わり

マツダ・RX-7、ホンダ・ビート、トヨタ・ソアラ、いすゞ・ピアッツァ、日産・フィガロ…

運転中、常に視野の中に存在するメーターパネル。近年ではオーソドックスなアナログ式は減少傾向で、航続可能距離や車間/車線維持など運転支援に関する情報、カーナビと連動したマップなど、さまざまな情報が表示可能なマルチディスプレイ式、液晶式が増えつつあります。その背景にはデザイン的な流行の移り変わりだけでなく、ハイブリッドや電動化といった技術面の変革も影響しているようです。 そこで今回は筆者の独断と偏見も交えつつ、国産車の歴史の中で印象に残ったメーターパネルにスポットを当ててみました。

<王道アナログ部門>

3世代にわたりタコメーターのセンター配置を堅守

マツダ・RX-7
SA22C型(1978年発売モデル)〜FD3S型(1991年発売モデル)

3代目RX-7のメーターパネル

3代目RX-7。ステアリングセンターのマークは1991年に開設された新ブランド名、アンフィニのもので、97年からは現行のMマークへと変更されています

スポーツカー作りにおいて、傑出したセンスを見せるマツダ。その手腕はRX-7の美しいスタイルや走りの洗練度に加え、メーターパネルのレイアウトにも見ることができます。RX-7のメーターパネルは初代SA22C型から3代目のFD3S型まで、ドライバーの正面にスピードメーターよりひと回り大きなタコメーターを据えた、スポーツカーの王道的な手法を採用。装飾的な演出を避け、機能に徹したデザインは流行に左右されることなく、独特な存在感を放っています。

こちらは初代モデルのメーターパネル。タコメーター内には電圧計も組み込まれていました。ブラウンの内装は最上級グレード「リミテッド」の専用色でした

こちらは初代モデル。タコメーター内には電圧計も組み込まれていました。ブラウンの内装は最上級グレード「リミテッド」の専用色でした

2代目は3眼式デザインが変更され、サブメーター群が独立。メーターのみならず、センターコンソールの空調やオーディオの文字や絵柄も黒地にオレンジで統一されていました

2代目は3眼式デザインが変更され、サブメーター群が独立。メーターのみならず、センターコンソールの空調やオーディオの文字や絵柄も黒地にオレンジで統一されていました

Car Check!

1978年発売の初代モデル。トヨタ・2000GT以来、国産量産車として2例目のリトラクタブルライトを採用。写真のグリーンは当時のイメージカラーでした

1978年発売の初代モデル。トヨタ・2000GT以来、国産量産車として2例目のリトラクタブルライトを採用。写真のグリーンは当時のイメージカラーでした

1985年発売の2代目モデル。フロントバンパーのウインカー上部にはパッシング用レンズを追加。エンジンは全車ターボ付きとなりました

1985年発売の2代目モデル。フロントバンパーのウインカー上部にはパッシング用レンズを追加。エンジンは全車ターボ付きとなりました

車名からサバンナの呼称が消滅した1991年発売の3代目。ボディは3ナンバー化され、最上級グレードは400万円を超える価格設定になるなど、高級スポーツカーへと生まれ変わりました

車名からサバンナの呼称が消滅した1991年発売の3代目。ボディは3ナンバー化され、最上級グレードは400万円を超える価格設定になるなど、高級スポーツカーへと生まれ変わりました

すがすがしいほどのシンプルさ。だから見飽きない

マツダ・ロードスター
NA6CE型(1989年発売モデル)〜ND5RC型(2015年発売モデル)/NDERC型(2016年発売モデル)

1989年に発売された初代モデルのメーターパネル。飾り気のないシンプルさが魅力的。MOMO製のステアリングは当時、純正オプションとして設定されていたものです

1989年に発売された初代モデル。飾り気のないシンプルさが魅力的。MOMO製のステアリングは当時、純正オプションとして設定されていたものです

油圧計をセンターに、丸型のスピード/タコメーターをシンメトリーに配置した初代NA型(ユーノス・ロードスター)のデザインは誕生から30年以上を経た今見ても秀逸。温かみを感じる曲面フォルムの外観とも相まって、このクルマの大きな魅力となっています。5連式レイアウトは以後2代目のNB型、3代目のNC型にも踏襲された後、現行のND型では中央にタコメーターを配置した3連メーターに変更。水温、燃料計はその左側に位置するマルチインフォメーションディスプレイ内に集約されました。

すっきりとした色使いや書体など、機能美という言葉が似合う、現行ND型ロードスター(同RF)のメーターパネル

すっきりとした色使いや書体など、機能美という言葉が似合う、現行ND型ロードスター(同RF)のメーターパネル

こちらはファストバック/セダンのMAZDA3。スポーツカーではないためセンターにはスピードメーターが配置されていますが、上質なデザインはロードスターにも通じる雰囲気を感じさせます

こちらはファストバック/セダンのMAZDA3。スポーツカーではないためセンターにはスピードメーターが配置されていますが、上質なデザインはロードスターにも通じる雰囲気を感じさせます

Car Check!

軽快なオープン2シーターならではの楽しさを、多くの人々に伝えた初代モデル。海外でも大ヒットとなり、同様のコンセプトを持ったライバルが多数登場しました

軽快なオープン2シーターならではの楽しさを、多くの人々に伝えた初代モデル。海外でも大ヒットとなり、同様のコンセプトを持ったライバルが多数登場しました

4代目の現行型は歴代最小排気量となる1.5Lエンジンを搭載。リトラクタブルハードトップという電動開閉機構を備えたファストバックスタイルのRFには2Lエンジンが搭載されています

4代目の現行型は歴代最小排気量となる1.5Lエンジンを搭載。リトラクタブルハードトップという電動開閉機構を備えたファストバックスタイルのRFには2Lエンジンが搭載されています

ファッション性と機能性を絶妙なバランスで融合

スズキ・スイフトスポーツ
ZC33S型(2017年発売モデル)

スズキ・スイフトスポーツのメーターパネル

一見、複雑そうにも思えますが、各情報が簡潔に整理されているだけでなく、ホットモデルらしい刺激やワクワク感が表現されています

スピードメーターをダークシルバー、タコメーターをレッドで色分け。カラフルな遊びゴコロの中にも視認性をしっかり踏まえたデザインはクルマ好きの中高年世代のみならず、TVゲーム世代にも好まれるモノ。センターのマルチインフォメーションディスプレイ部にはブースト計、油温計の他、平均燃費や航続可能距離などを表示。スイフトスポーツに先行してフルモデルチェンジが行われた5代目スイフトは2つの立体的なメーターケースがなくなりましたが、オーソドックスなアナログ式は継承されています。

Car Check!

2017年に発売された4代目スイフトスポーツ。イエローのボディカラーは歴代モデルにおいても同車を象徴する人気色となっています

2017年に発売された4代目スイフトスポーツ。イエローのボディーカラーは歴代モデルにおいても同車を象徴する人気色となっています

先代、先々代と2世代にわたり使用されてきた自然吸気の1.6L 4気筒から1.4Lのターボ付きエンジンに変更。排気量ダウンが行われながらも、パワー/トルクともに大幅に強化。車体サイズは歴代初の3ナンバーとなったが、各部の軽量化により車重は1トン切りを実現している。


<アレンジいろいろ。アイデア部門>

クルマのキャラクターを見事に表現

ホンダ・ビート
(1991年発売モデル)

ホンダ・ビートのメーターパネル

ライバル勢がターボエンジンを搭載するなか、自然吸気にこだわったビート。アクセル操作に敏感に反応するタコメーターの動きは、まさに痛快そのものでした

本来は重視されるべきインパネとの一体感を完全に無視したデザインが痛快。バイクのようなメータークラスター形状を特徴としていたビート。センターには1万回転スケールのタコメーターを配置。3連スロットルや燃料噴射制御マップの切り替え機構を備えた自然吸気の3気筒MTRECエンジンは高回転まで一気に吹け上がるシャープなレスポンスを発揮。その一方、軽自動車として初めて運転席SRSエアバッグをオプション設定した他、4輪ディスクブレーキを標準装備するなど高い安全性能が追求されていました。

Car Check!

ホンダ・ビート

現代の視点から改めて見直してもスタイリッシュなフォルム。タイヤ・ホイールサイズはフロント13インチ、リア14インチという異径仕様となっていました

軽自動車の枠内でミッドシップ+オープンという、極めて特殊なパッケージングを実現したビート。発売当時のキャッチコピーは「ミッドシップ・アミューズメント」というもので、旧来のスポーツカーとは異なった立ち位置にあるクルマであることを意図していた。オートザム(マツダ)・AZ-1、スズキ・カプチーノと並ぶABC(各車の頭文字)トリオの一台として、現在でも多くのファンに愛されている。

アナログメーターでもココまで遊べる!

トヨタ・アルテッツァ
(1998年発売モデル)

 トヨタ・アルテッツァのメーターパネル

スポーツセダンとしてのイメージを大いに盛り上げたクロノグラフメーター。写真は1G-FEエンジン搭載車のもので、よりスポーティな3S-GEエンジン搭載車はスピードメーター内、最下段部の瞬間燃費計が油圧計となっていました

メーカー資料ではクロノグラフメーターと呼ばれるこちらのメーターパネル。一見、奇抜さを狙ったビジュアル志向のようにも思えますが、じっくり眺めると視線の移動量が少なく、スポーツセダンというコンセプトにふさわしいデザインだということがわかります。センターのスピードメーター内には電圧、水温、油圧計(1G-FEエンジン車は瞬間燃費計)を集約。タコメーターが端に追いやられた形となっているのが少々残念ですが、盤面を左方向に傾けて高回転の領域を視認しやすくするなど、走りを意識させる演出が行われていました。

Car Check!

トヨタ・アルテッツァ

前後のオーバーハングを切り詰めた、張りのあるデザインが特徴。アルテッツァの名称は一代限りで、後継モデルからは海外同様レクサス・ISとして統一されました

斬新? 攻め過ぎ? 上下2段式メーター

ホンダ・シビック タイプR
(2007年発売モデル)

ホンダ・シビック タイプRのメーターパネル

8代目シビック、FD型は2005年に発売。その2年後に登場したシビックタイプR。赤と黒で統一された内装色もスポーティーでした

ドライバーの正面にアナログ式のタコメーターが鎮座。スピードメーターはその上段にデジタル式で配置、という一風変わったレイアウトが採用されていたのがFD型シビック。メーカーでの呼称はマルチプレックスメーター。2007年に追加された高性能モデル、「タイプR」は標準グレードでは水温計が収まるスピードメーターの左側部分にi-VTECインジケーターを装備。VTEC機構が作動した際(カム作用角が高回転用に移行)にインジケーターが点灯し、レッドゾーンまでの目安がLEDバーで表示される、という極めてマニアックなものでした。この2段重ねのメーターは、2015年に750台限定で発売されたFK2型タイプRにも採用されていました。

Car Check!

ホンダ・シビック タイプRのメーターパネル

バンパーだけでなく18インチタイヤを収めるためのフロントフェンダーやボンネットもタイプR専用のデザインが採用されていました

シビックタイプRの歴代シリーズの中で初めて4ドア車がベースとなったFD2型。ドライブバイワイア化されたK20AエンジンはNSX譲りの技術を用いたヘッドポートを採用。その他、専用設計の18インチタイヤ、ブレンボ製ブレーキなどハイスペックなアイテムが装備されていた。

ワクワク感を高めるレーシーなデザイン

トヨタ・86/スバル・BRZ
ZN6/ZC6(2012年発売モデル)〜ZN8/ZD8(2021年発売モデル)

トヨタ・86/スバル・BRZのメーターパネル

白い文字盤のタコメーターはGTリミテッドとGTグレードの専用装備。写真は前期モデルで、後期モデルは右側の燃料、水温計の部分がマルチインフォメーションディスプレイに変更されました

初代86/BRZのメーターパネルは基本的にはアナログベースですが、センターに配置されたタコメーター内には液晶表示のスピードメーターも備えられていました(GTリミテッド、GTグレード)。左側のスピードメーターはタコメーターより一回り小径にもかかわらず260km/hスケールを採用。「0」状態における針の角度がタコメーターとは異なる他、メーター面の数字のサイズもひと回り小さくなっています。

2021年に登場した現行のZN8/ZD8型からは液晶式に変更。デザインは正面から見た水平対向エンジン(別名、ボクサーエンジン)をモチーフとしたもので、「BOXERメーター」と名付けられています。ノーマルモードではクランクシャフト部分に相当するタコメーターの内部に速度を表示。左側のシリンダーにあたる部分には車体にかかるGの方向を図式化したGモニターやストップウォッチなどを表示することもできます

2021年に登場した現行のZN8/ZD8型からは液晶式に変更。デザインは正面から見た水平対向エンジン(別名、ボクサーエンジン)をモチーフとしたもので、「BOXERメーター」と名付けられています。ノーマルモードではクランクシャフト部分に相当するタコメーターの内部に速度を表示。左側のシリンダーにあたる部分には車体にかかるGの方向を図式化したGモニターやストップウォッチなどを表示することもできます

トラックモードに切り替えるとバーグラフ式タコメーターがセンターに大きく表示。スピードメーターは下段に移動されています

トラックモードに切り替えるとバーグラフ式タコメーターがセンターに大きく表示。スピードメーターは下段に移動されています

Car Check!

2012年発売の初代モデル。4代目カローラレビン/スプリンタートレノの型式名であるAE86の俗称、ハチロクを車名に用いたことも話題となりました

2012年発売の初代モデル。4代目カローラレビン/スプリンタートレノの型式名であるAE86の俗称、ハチロクを車名に用いたことも話題となりました

エンジンや車体関連の多くの部分を共有するスバル・BRZに対し3か月遅れ、2021年10月に発売された2代目86(GR86)

エンジンや車体関連の多くの部分を共有するスバル・BRZに対し3か月遅れ、2021年10月に発売された2代目86(GR86)

今や世界的に稀少となった、ミドルサイズのFRスポーツカー。2012年に発売された初代モデルは2Lの水平対向エンジンを搭載。2021年登場の現行型では2.4Lに排気量を拡大。BRZはスバル・BRZだが、86はトヨタ・86からGR86へと名称が変更されている。

メーターリングがスライド!

レクサス・LC
(2017年発売モデル)

表示項目を切り替える際に、メーターリングが右方向にスライド。落ち着いた色使いにも高級車らしさが漂っています

表示項目を切り替える際に、メーターリングが右方向にスライド。落ち着いた色使いにも高級車らしさが漂っています

表示項目の切り替えを行う際に、TFT液晶の画面上をメーターリングがスライドする画期的な構造を採用。単眼式のデザインはそのシンプルさ故に一歩間違えるとチープな印象にも陥りがちですが、LCは別格。反射を抑え奥行き感が表現された盤面や、タコメーターの針の動き方ひとつを取っても、高級パーソナルクーペの内装にふさわしい仕上がりを見せています。
ちなみに、駆動部分にステッピングモーターを用いた技術は究極のレクサススポーツとして500台が限定販売されたLFAと基本的に同様のものです。

Car Check!

レクサス・LC

発売は2017年と、すでに7年が経過していますが、優雅なスタイルから受ける印象はいまだに新鮮です

レクサスのフラッグシップクーペであるとともに、国産車全体を見渡してもライバル不在の圧倒的存在感を放つラグジュアリーモデル。477馬力の最高出力を誇る5L・V8エンジン搭載のLC500と、V6ハイブリッドのLC500hの2車種をラインナップ。このうちLC500にはコンバーチブルモデルも設定されている。

80年代初頭はデジタルメーターが大流行!

後述の通り、ソアラの登場以降、各社ともこぞって採用したデジタルメーター。その勢いは、高級車クラスはもとよりファミリーカー、軽自動車にまで及び、中には「視認性」というメーター本来の目的を外れ、過度に複雑なものやイメージ重視とも思えるデザインも見受けられた。

マンガの主人公の愛車にも起用され、世代を超えた人気を誇るAE86型スプリンタートレノのデジタルメーター仕様

マンガの主人公の愛車にも起用され、世代を超えた人気を誇るAE86型スプリンタートレノのデジタルメーター仕様


<古き良き時代バラエティ部門>

スピード/タコメーターが同軸で回転

ホンダ・プレリュード
(1978年発売モデル)

タコメーターは盤面をグレーに、針もグリーンとして、外側のスピードメーターと差別化が図られていました

タコメーターは盤面をグレーに、針もグリーンとして、外側のスピードメーターと差別化が図られていました

初代プレリュードに採用されていたのが集中ターゲットメーター。これはスピード/タコメーターを同軸上に配置したもので、デザイン的な目新しさに加え視線移動を少なくすることによる運転操作の負担軽減も考慮されていました。中心部にはエンジンオイルやバッテリーなどの警告灯もコンパクトに集約。同軸のスピード/タコメーター機能をそのままに、周囲のレイアウトに若干の変更を加えたものが翌年発売の2代目シビックにも採用されました。

Car Check!

1978年に発売された初代プレリュード。車体サイズに対し、小さく、低くまとめたキャビン部分が特徴的でした

1978年に発売された初代プレリュード。車体サイズに対し、小さく、低くまとめたキャビン部分が特徴的でした

ホンダとしては1974年に生産を終えた145クーペ以来、4年ぶりの2ドアスポーツモデルとなったプレリュード。キャビンは4人乗りで、国産車で初めて電動サンルーフを標準装備(上級グレード)したことも当時話題となった。

大人も子供も驚いた! 国産車初のデジタルメーター

トヨタ・ソアラ
(1981年発売モデル)

令和の視点から見ると地味にさえ思えてしまう初代ソアラのデジタルメーターですが、当時の衝撃度は文字通り「強烈」でした

令和の視点から見ると地味にさえ思えてしまう初代ソアラのデジタルメーターですが、当時の衝撃度は文字通り「強烈」でした

『インパネから針が消えた』と、当時の広告に誇らしげに記されていたのが、初代ソアラのエレクトロニックディスプレイメーター。スピードは蛍光管を使ったデジタル式、タコメーターは発光ダイオードによるバーグラフ表示で、トルクカーブをモチーフとした曲線デザインも不思議な未来感を漂わせていました。そのビジュアル的なインパクトは極めて強力で、トヨタの他モデルにも続々と採用されたのはもちろん、ライバル各社にも影響を与えました。ソアラはその後3度のモデルチェンジが行われますが、最終型となった4代目(途中でレクサスSCへと移行)はアナログメーターが用いられていました。

Car Check!

1981年2月に発売が開始された初代ソアラ。ネーミングは英語のsoarer(最上級グライダー)に由来していました

1981年2月に発売が開始された初代ソアラ。ネーミングは英語のsoarer(最上級グライダー)に由来していました

国産車屈指の高級GTカーとして誕生したソアラ。端正なノッチバックスタイルの長いノーズ部分に搭載された2800cc直列6気筒・5M-GEUエンジンは、それまで最強だった日産のL28エンジン(145馬力)をしのぐ170馬力を発生。国産初のソフトタッチパネル式オートエアコンも採用されていた。

未来感はソアラを超えていたかも?

いすゞ・ピアッツァ
(1981年発売モデル)

コンセプトカーそのもの、というピアッツァのスタイルの魅力を引き立てていたデジタルメーター

コンセプトカーそのもの、というピアッツァのスタイルの魅力を引き立てていたデジタルメーター

ソアラから3か月遅れて発売されたのが、いすゞ・ピアッツァ。デジタルメーターはDOHCエンジンを搭載した最上級グレードのXEに標準装備。スピード表示下側に斜めに立ち上がるバーグラフは30〜60km/hまでの間で任意に設定可能なスピードアラーム用。タコメーターは縦型のバーグラフ式で、左側の小窓には回転数を数字で表示(トリップメーターと切り替え式)することもできました。さらにメータークラスターの左右には、ステアリングを握ったままエアコンやデフロスター、ハザードなどさまざまな機能を操作できる「サテライトスイッチ」を採用。SF的なデザインのデジタルメーターとも相まって、ソアラ以上の未来感が表現されていました。

Car Check!

1981年の最初期モデル。後期モデルではターボエンジンが追加された他、フロントバンパーの大型化など外観にも変更を受けました

1981年の最初期モデル。後期モデルではターボエンジンが追加された他、フロントバンパーの大型化など外観にも変更を受けました

イグニッションONで暗闇からメーターパネルが出現!

トヨタ・セルシオ
(1989年発売モデル)

イグニッションONで真っ暗なスモークレンズの中から白い針が出現

イグニッションONで真っ暗なスモークレンズの中から白い針が出現

その後、メーターパネルが登場。数字指針自体が発光しているため、自発光式メーターとも呼ばれました

その後、メーターパネルが登場。数字指針自体が発光しているため、自発光式メーターとも呼ばれました

エンジンOFFの状態ではスモークレンズに覆われた真っ暗なメーターパネルが、ONにすると針がフワッと浮かび上がり、わずかな時間差をおいて奥からパネル面が現れるというドラマチックな動きで注目を集めたのがセルシオに採用されたオプティトロンメーター。それまでのメーターパネルといえばエンジンのON/OFFに関係なくメーター面が視認でき、夜間は周囲から照明を当てるという形でしたが、オプティトロンメーターは昼夜を問わずバックライトによりメーター面そのものが発光(針には直径2.4mmの蛍光管が用いられていました)するため、視認性はもちろん、見た目の美しさという点でも目新しさを感じさせました。

Car Check!

「いつかはクラウン」のさらに上を行く車格で1989年10月に登場したセルシオ

「いつかはクラウン」のさらに上を行く車格で1989年10月に登場したセルシオ

味わい深いデザインはアナログならでは

日産・フィガロ
(1991年発売モデル)

過去のパイクカー各車も専用のメーターパネルが与えられていましたが、精緻な作り込みという点でフィガロは別格でした

過去のパイクカー各車も専用のメーターパネルが与えられていましたが、精緻な作り込みという点でフィガロは別格でした

「パイクカー」と名付けられた日産の限定生産車シリーズの中で、ひときわクラシカルなスタイルが採用されていたのがフィガロ。クロームの縁取りが添えられた丸型メーターはアンティークウォッチのようなデザインが施され、針の造形やパネルに記された書体も非常に手の込んだものとなっていました。その他、クローム仕上げのトグルスイッチ類やダイヤル調整式ラジオなど、徹底したイメージの統一化が図られていました。

Car Check!

メーカーによるコンセプトは「東京ヌーベルバーグ」。開閉式のオープントップも標準装備されていました

メーカーによるコンセプトは「東京ヌーベルバーグ」。開閉式のオープントップも標準装備されていました

昭和アタマのクルマ馬鹿・担当ライターの独り言

受け入れ難い存在だったデジタルメーター…

S2000のデジタルメーター。1999年当時のF1マシンをモチーフとしていた

S2000のデジタルメーター。1999年当時のF1マシンをモチーフとしていた

筆者のような度を越したクルマ好きにとって、メーターパネルのデザインは外観スタイルと同じくらい重要。これまでも見た目や走りに惚れ込みながら、メーターのデザインが受け入れられず泣く泣く購入を諦めたクルマも。中でも忘れられない一台がホンダS2000。1999年の発売当時、各専門誌は「世界の名だたるスポーツモデルを凌駕する動力性能!」と大絶賛。もちろん私も全面的に同意見で、クルマを買い替える際に何度も候補に挙がるも、『メーターは絶対、アナログ』というコダワリを捨てることができず、購入を断念。86/BRZもデジタル式へと移行するなど、真性アナログ派にとって今後のクルマ選びはますます難しいものとなりそうだ(S2000、86/BRZオーナーの皆さま。偏ったクルマ馬鹿の勝手な屁理屈なので、どうかお許しを)。


メーターパネル企画、いかがでしたでしょうか? デザイン面のみならず、各メーターの配置方法を見ても、メーカー各社の個性やこだわりが表れていることがおわかりいただけたかと思います。日頃、何げなく目にしている部分ですが、速度や燃料の残量といった点を気にかけるだけでなく表示レイアウトや色使い、質感などにも目を向けることで、これから先のクルマの選び方も変わってくるかもしれません。

高橋陽介

たかはし・ようすけ 雑誌・Webを中心に執筆をしている自動車専門のフリーライター。子供の頃からの車好きが高じ、九州ローカルのカー雑誌出版社の編集を経て、フリーに。新車情報はもちろん、カスタムやチューニング、レース、旧車などあらゆるジャンルに興味を寄せる。自身の愛車遍歴はスポーツカーに偏りがち。現愛車は98年式の996型ポルシェ911カレラ。

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