バッテリー2個搭載の愛車が、短時間停車している間にバッテリー上がり!?
クルマのトラブルがきっかけで生まれる、お客様とJAFロードサービス隊員との間の「ストーリー」。 JAF Mate Online編集部に寄せられたエピソードを毎月ご紹介しています。今月は、バッテリーを2個搭載している愛車で短時間停車している間にバッテリーが上がったケース。
楽しみにしていた合唱コンクールに行く前に…
コロナ禍でずっと開催中止になっていた中学校の合唱コンクール。我が子が3年生となる最後の年に開催されると聞いて楽しみにしていた千葉県の木村さんは、所用を済ませてからコンクール会場に向かおうと計画。朝の9時ごろ自宅を出て愛車でお友達の家に寄り、お届け物をしてから「じゃあね」と別れた。コンクール会場へは電車で行く予定だったので、最寄りの駅まで移動するために愛車に乗り込み、エンジンをかけようとしたら……かからない! 「嘘だ」と何回かかけ直してみたが、やはりエンジンはうんともすんとも言わない!! お友達の家の駐車場を塞(ふさ)ぐように止めてしまっていたので、迷惑をかけては申し訳ないという気持ちとコンクールに向かう電車の時間が気になって焦る気持ちを抑えつつ、すぐにJAFへ電話して救援を要請した。
- 応急始動はできたものの、バッテリーは2個とも交換が必要な状態
木村様のクルマは、バッテリーが2個で1セットの役割をするタイプでした。お友達の家まで運転するためにさっきまで動いていたことや、荷物を渡す短時間の間にバッテリーが上がったという状況を伺ううちに、この後お子様の合唱コンクールに行く予定があって急いでいることがわかりました。
早速ひと通り点検を行い、バッテリー上がりに伴うリスクをご説明してからバッテリーに流れる電圧を測定すると、低い数値を示しました。バッテリーが2個ということで、ブースターケーブルをつなぐ際にどちらのバッテリーに接続するかなど、少々コツが必要なのですが、クルマの取扱説明書も確認しながら、慎重かつ迅速に作業を進めました。
比較的すんなりとエンジンは始動したのですが、流れている電流の値は低く、バッテリー自体が劣化しているようでしたので、2個とも早めに交換したほうがよい状態でした。その場で交換できればよかったのですが、サービスカーに積載している交換用バッテリーではサイズが適合せず、その場での交換が難しい状況でした。この後、木村様は駅まで移動して電車に乗り換える予定ということで、そうすると十分に充電されないうちにエンジンを切ってしまうことになり、次にエンジンをかけようとしたときに再度バッテリーが上がっている可能性がありました。
そのことを木村様にお伝えし、その場で自動車販売店に連絡をすると、バッテリー交換と代車の手配ができたので、そのまま自動車販売店へ移動することになりました。自動車販売店までは約20分かかり、その間にまたバッテリーが上がってしまう危険性もあったため、伴走して自動車販売店へ向かいました。途中でトラブルはなく無事に到着し、クルマの引き渡しを見届けて作業完了としました。楽しみにしていたお子様の合唱コンクールに行くことができたと知り、嬉しく思います。(羽部開斗隊員●千葉支部)
JAF RESCUE TRIVIA
バッテリー上がりの際に自分でできる処置はある?
バッテリーが上がってしまうと、自力での復旧は困難です。ジャンピングケーブルなどを使用して救援を受けないとエンジンを始動できません。しかしコンピューターを多く使用している昨今のクルマは、安易にジャンピングを行うと、コンピューターを破損してしまう危険性があります。JAFではサージプロテクターを使用してコンピューターの保護を行います。バッテリー上がりの際にはJAFへ救援要請をしてください。
JAFへの救援要請で「バッテリー上がり」はどれくらいある?
「バッテリー上がり」は、JAFへの救援要請の中で最も多く、2022年度の件数は約90万件で全体の約41%を占めています。次に多い「タイヤのパンク・バースト・エアー圧不足」は約20%で、割合が倍以上であることからも、その件数の多さがわかるかと思います。
クルマは技術の向上とともに故障しにくくなっています。しかし、カーナビやセキュリティをはじめ電気を使用する部品は多くなっており、バッテリーにかかる負担は大きくなってきています。そのため、知らず知らずのうちに劣化が進み、エンジンがかからなくなってしまうことがあります。こうしたことを防ぐためにも定期的なバッテリーチェックは欠かせません。