旧車イベントへ向かう途中、高速道路上でまさかの立ち往生……
小林義明さんの愛車は88年製の国産2ドアクーペ。簡単なメンテナンスは自ら行い、自宅に駐車する際はきちんとカバーをかけるほど大切にしている。毎年行われる旧車イベントへ向かうため、早朝から愛車を走らせていた小林さん。しかし、高速道路に乗ってほどなくして愛車に違和感が……。アクセルを踏んでも2,000回転以上吹けず、やむなく路肩へ停車。エンジンを再始動しても症状は改善しなかった……。
高速道路での救援はお客様の安全を第一に考え、車の応急処置よりも、高速道路からの速やかな退避を優先します。現場で見た小林様の車は、ボディがピカピカで、愛車への思い入れがとても強く感じられました。「丁寧に扱わせていただきます」とお伝えし、早速レッカー移動の準備を始めました。
まずはサービスカーを車の前に移動させ、レッカー装置で前輪を持ち上げます。今回は後輪駆動の車だったので、ドリーという専用の台車に後輪を載せ、最後にハンドルが動かないように固定します。車に傷が付かないよう細心の注意を払いながら、作業だけに没頭せず、お客様の体調や安全にも気を配り、時折、お声掛けをさせていただきながら作業を完了。スムーズに搬送でき、小林様に喜んでいただけました(故障は後に吸気系の不具合と判明)。搬送先である小林様の懇意の旧車専門店が、現場から比較的近かったのは不幸中の幸いでした。
私たちロードサービス隊員はお客様がトラブルに遭われているときに伺うことが多いので、落ち込んでいたり、不安にかられていたりする場合がほとんどです。そんなお客様に、接客や救援作業で笑顔になっていただくことを、私はいつも心掛けています。(庄司隊員)
JAF Mate 2021年8・9月号掲載
JAF RESCUE TRIVIA
簡単そうに見えるレッカー車でのけん引は技術の集積!!
レッカー車でのけん引には高い技術やノウハウが必要です。たとえば、車両の駆動方式や道路の形状に応じてけん引方法を調整しますし、狭い道路の通過や、けん引状態での後退には高度な運転技術が求められます。JAFでは隊員がさまざまな技術を競う大会を実施し、日々技術の向上に努めています。