ツーリングへ出発直前の朝、大型バイクに火が入らず……
大型バイクを車庫から出して革ジャンに着替え、ツーリングに出かけようとした徳渕利明さん。しかし、暖機運転のためにスタータースイッチを押すと、異音がするだけでエンジンがかからない。JAFに救援要請したところ、バッテリーが寿命とわかり、販売店へ搬送することに。書家であり古美術の知識もある徳渕さんは、バイクをまるで芸術品のように扱って積載・搬送するロードサービス隊員の仕事ぶりに感激したという。
バイクは車と違ってむき出しのパーツが多いので、取り回しや積載車への固定は慎重に行う必要があります。バイクの固定はハンドル付近やサスペンション取り付け部分、フレームなど4か所ほどに専用のベルトやロープをかけて行うのですが、その際に私がいつも心掛けているのは、「ここは硬いフレームなのでロープをかけさせていただきます」「ロープは布製で傷が付きにくい素材です」というように、手順や触る場所を細かく説明し、お客様とコミュニケーションを取りながら作業を進めていくことです。バイクは趣味性が高く、お客様の思い入れも強いもの。説明することで、傷が付かないだろうかと心配されているお客様にも安心していただけます。
特に徳渕様のバイクは塗装面やメッキパーツなどデリケートな箇所が多かったので、車体とベルトの間にタオルを挟んだり、柔らかい補助ベルトを使うなどして、傷を防ぐように配慮しました。
また、バイク搬送中の運転にも注意が必要です。丁寧な加速や優しいブレーキングはもちろん、車体の横揺れを極力抑えるために目的地までの道選びから、旋回時の速度、段差通過時の角度などにも気を配り、お客様の大事なバイクを搬送しています。(城戸隊員)
JAF Mate 2021年1月号掲載
JAF RESCUE TRIVIA
バイクを積みやすい「多目的車」って何?
今回の救援は車用の積載車でしたが、バイクを搬送しやすい「多目的積載車」も用意。小さな荷台のあるトラックや、車内にバイクを積載できるワンボックス車タイプがあり、バイク搬送のほかにも、四輪車のバッテリー上がりやタイヤのパンクなどさまざまな作業に対応します。