油断が生んだハプニング!? 車がまさかの真っ逆さま!
星野洋子さん夫妻は「車は絶対MT!」というこだわりを持つベテランドライバー。そんな愛車を、洋子さんが自宅の立体駐車場に止めたときのこと。昇降機のスイッチを押し、駐車台が1mほど上昇したそのとき、なんと車が少しずつ前進! さらに駐車台が上昇すると、自宅の前で車が真っ逆さまの状態に……。
今までの経験を基に考えたのが、駐車台を下げて車両を水平に戻す方法です。ただし、そのまま下げると車両が不安定になって危険ですので、レッカー車で車両を引っ張る必要がありました。そこで、基地にいたもう1台のレッカー車に応援要請をしました。
まず、車両がひっくり返らないよう、車の下方と立体駐車場の柱を固定。そして、車の脇に2台のレッカー車を配置し、それぞれリアタイヤにワイヤーをかけて上に引っ張りました。問題だったのは、駐車台の端がボディの裏側に挟まっており、そのままだと駐車台を下げることができません。そこで、車両を1度動かして引っかかりを外し、台をゆっくり下ろしながら、同時に2台のレッカー車のワイヤーを緩めるという作業を慎重に行いました。作業するふたりの呼吸が重要でしたが、無事に車両を水平に戻すことができました。救援車両のホイールが丈夫でワイヤーのバンドがかけやすかったこと、レッカー装置の周辺に電線がなかったことも、作業上、幸運でした。
今回のトラブルは、サイドブレーキの引きの甘さが原因でした。傾斜があるなど、車両が動く可能性がある場所にMT車を止める際は、しっかりサイドブレーキを引くことが大切です。さらに、ギアを逆方向に入れたり、輪留めを使用するなどして、万全を期していただければと思います。(岩田隊員)
JAF Mate 2019年12月号掲載
JAF RESCUE TRIVIA
JAF隊員が使いやすいよう考えられた、特注のレッカー車
JAFで使用するレッカー車は、ベースとなるトラックとレッカー装置を別々に購入して製作しています。専門業者と入念に打ち合わせて、数多くの操作スイッチやエアータンク、赤色灯など救援に必要な独自装備を架装。さらに使いやすくなるように、日々、改善も重ねています。