高原でクマスプレーを噴射している写真
文=大森弘恵/編集=後藤ちり

車中泊旅の「まさか!?」に備える! クルマ旅に持っていきたいエマージェンシーグッズ5選

車内閉じ込め、水没、火災、立ち往生、クマ…5つのトラブルに対応する頼れるアイテムを厳選

車中泊の旅ではクルマのトラブルや事故をはじめ、水辺でのアクシデント、野生動物との遭遇、ときには旅先で災害に見舞われることも。普段の生活では考えにくい旅先での「まさか」に備えるための5つのアイテムを厳選。コンパクトなレスキューツールからクッションにもなるライフジャケット、消火アイテム、テレビ付きポタ電、ベアスプレーまで、車中泊旅の安心につながるアイテムを紹介します。

目次

人里離れた場所ほど、トラブルへの備えが重要

雪山でのレスキューツール使用シーン

車中泊の旅では電車やバスでは行きづらい場所にも立ち寄れるのが魅力です。半面、訪れる人が少ない場所で万一トラブルに遭遇した場合、すぐには助けを求められません。それにだれかに相談したくても、地形やエリアによってはスマートフォンが電波を捉えられないことも。

だからこそ、エマージェンシーグッズを積み込んで旅に出れば、丸腰ではどうにもならない危機から命を守ることができるのです。

ただし、トラブルは多種多様。ひとつでなんでもまかなうことはできません。

今回はニュースで取り上げられる機会が多い「車内閉じ込め」「立ち往生」「水没」「火災」「熊害(ゆうがい)」に対応するプロダクトを集めたので参考にしてください。

ビクトリノックス「レスキューツール」

黄色のマルチツール(ビクトリノックス レスキューツール)

サイズ:約12.2(ハンドル長さ11.1)×幅3.4×高さ2.2cm/重量:約167g/価格:1万5400円

スイス消防隊が厳選した人命救助に必要な機能

水没や津波、事故などで車内に閉じ込められてしまった場合に用意しておきたいのが、シートベルトカッターとクルマの強化ガラスを割るハンマーです。

ビクトリノックスの拠点、スイスの消防隊のアドバイスを反映し、人命救助に必要な機能を搭載した「レスキューツール」はラージブレードやのこぎり、ドライバー、栓抜きなどを備えたビクトリノックスらしいマルチツール。ラージブレードは片手で開閉し、ロックはオートマチック。解除も簡単です。

マルチツールのウインドウブレーカー部拡大画像と全体写真

ウインドーブレーカー(左写真先端部)は力を一極集中できる形。変形した場合は簡単に取り替えられる。ハンドル部は11.1cmで、有事の際はしっかり握ってサイドウインドー、リアガラスの角近くを叩き割ろう

よく見るとのこぎりは合わせガラス用ですし、スモールブレードではなくシートベルトカッター、そしてハンドルの端にはウインドーブレーカー(窓ガラスハンマー)が装備されています。

ウインドーブレーカーがあればガラス用のこぎりはいらないような気がしますが、フロントガラスは合わせガラスなのでひびが入るだけ。救出の際はフロントガラスをのこぎりで切り取ることで、素早く安全に救出できるというわけ。

シートベルトを切断する緊急脱出ツールの使用イメージ

シートベルトカッターはベルトを切るのにちょうどいい長さ。丸い先端は衣類を切る作業などにも便利

また、シートベルトカッターは湾曲した波刃で、先端が丸くなっています。ラージブレードよりも刃が滑らずがっちりベルトにくい込む一方、体を傷つけることがないデザインなのです。

暗闇で発光するレスキューツール

暗い場所でも見つけやすいよう蓄光ハンドルを採用している

シートベルトカッターを備えた脱出用ハンマーのほうが安価ですが、のこぎり付きなのがミソ。また、マイナスドライバーはフロントガラスの持ち上げなどにも使えるので、他の人の救助にも活躍します。

各種ツールとライトがセットになったエマージェンシーツール

「エマージェンシーツール ハントマンライト」は「ハントマンライト」をベースに、居場所を知らせるホイッスルや、火起こしに役立つ火口(ほくち)とファイヤースティックを搭載した23機能のマルチツール。停電時や夜道での行き来にうれしいライト付き

「レスキューツール」のほかに、キャンプや釣りなどでも使いやすく多機能な「エマージェンシーツール ハントマンライト」を備えておけば避難にも役立ちます。

※ナイフは常時車内に保管したり身に着けたりするのではなく、ケースに入れて自宅で保管。車中泊旅のときにエマージェンシーツールとして持ち出しましょう。

ビクトリノックスウェブサイト

TCL「ファイヤーショーカスティック」

スティック型の非常用ライト

サイズ:約直径4×33cm/重量:約365g/価格:1万9800円 ※写真のチャコールグレーの製品は「ファイヤーショーカスティック カラーセレクション」(2万2000円)

マッチみたいにすって火元に向けるだけ! 気負わず使える消火器具

万が一の車両火災に備えたいのが消火器です。

一口に消火器といっても、普通火災と油火災、電気火災では対応が異なるのですが、「ファイヤーショーカスティック」はこれらすべてとガス火災にまで対応する消火アイテム。フランス警察やイギリスの消防車や警察車両に備えられているという実力派です。

消火具の噴射使用イメージ

使用時間は100秒。一般的な消火器が15秒程度なのでかなり長く消火活動できる

使い方は簡単。ハンドル端のパーツで、本体先端をマッチをするようにこすりつけると白い蒸気(不活性ガスとカリウム粒子)が吹き出します。この蒸気が火元と周囲の酸素を枯渇させ、炎の勢いを弱めるというわけ。噴射距離は4〜7mで100秒にわたって蒸気が吹き出すため、初期火災であれば消火できます。

一般的な住宅用消火器よりも割高に感じられますが、耐用年数は消火器の約3倍の15年と長く、ほぼ同等だと考えられます。

室内での消火具使用イメージ

消火器のように重くないので片手で操作できる。重い本体を抱えてホースで狙う消火器よりも狙いを定めやすいのもポイント

しかも、水や泡、粉末を使わないので廃車のリスクを大幅に低減できるのは頼もしい! スマホやモバイルバッテリーの発火でシートを焦がしただけなら、近くの整備工場まで自走できる可能性大。そう考えればかなりお得と言えるでしょう。

簡易消火具の使い方イラスト

気負わず使え、使用時間も長い

「ファイヤーショーカスティック」は車載専用とうたっているわけではありませんが、一般的な消火器とは違った非加圧式構造で、振動に強いのが特徴です。

また、−50〜80℃の耐熱性を備えているので観光地に立ち寄る場合も、座席下など直射日光のあたらない場所に保管しておけば大丈夫。ここら辺も安心ポイントです。

ファイヤーショーカスティックウェブサイト

モンベル「浮くっしょん」

ライフジャケットとクッションカバーに入った収納状態

サイズ:大人用フリーサイズ(胸囲72~113cm)/収納サイズ:約39×39×厚み5.5cm/重量:約620g/浮力約7.5kg/価格:9,350円 ※写真右は「浮くっしょん カバー(大人用)」(1,200円)

水没時の避難に頼りになる変化形ライジャケ! 家族分をそろえておこう

あっという間に水位が上がってしまう集中豪雨。いざ水没したクルマから逃げ出したとしても、水位が膝上まであれば歩くのもままなりませんし、川のそばでは命の危険も! そんなときに身に着けたいのが浮力体です。

ライフジャケットの着用イメージと収納状態

腹部に濡れに強い合成紙のIDカードを収められるので事前に記載しておこう

「浮くっしょん」はいざというときは浮力体にできるクッション。東日本大震災の津波被害を知ったモンベルが、常に身近に備えられる浮力体を……と開発したものです。

国土交通省の桜マーク付きではありませんが、カヌー用品を扱うモンベルが開発しただけあって浮力は救命胴衣同等の約7.5kg。ウエストベルトや股ベルト付きでズレることなく、しっかりボディを浮かせられる設計です。

クッションカバーのカラーバリエーションと畳んだ状態

専用カバーの色柄は9種類ある。IDカードに記入したら、色違いのカバーをかけて識別しやすくしておこう

サイズは大人用のほか、子供用が2サイズあり全3種類。

家族分をクルマに常備しておきましょう。柄違いの専用カバーをかけておくと誰のものか素早く見分けられますよ。

プールで水に浮くライフジャケットの着用イメージ

下流に足を向けるのが基本姿勢。水中の障害物に引っかけて姿勢をくずさないよう、足は浮かしておこう

もちろん持っているだけではダメで、安全に浮くための基本姿勢を知っておく必要があります。「浮くっしょん」は一回だけの使い捨てではないので、水遊びで姿勢を練習しておくこともお忘れなく。

モンベルウェブサイト

キャプテンスタッグ「CS Portable Battery 500 TV(ベージュ)」

キャプテンスタッグのテレビ付きポータブル電源

外寸サイズ:約幅32×奥行19.6×高さ26.1cm/液晶ディスプレイサイズ:10.1インチ/重量:約7.1kg(バッテリー含む)/バッテリー容量:140,000mAh(518Wh)/価格:オープン(オンラインストア9万8000円)

車中泊避難の情報収集に重宝する多機能ポータブル電源

災害時の車中泊避難、通行止めによる立ち往生では情報がないことには落ち着いて過ごせません。クルマにもラジオはありますし、アクセサリーソケットでスマホの充電ができますが、終わりが見えないなかでエンジンをかけっぱなしにするのはガス欠の危険があるわけです。

ポタ電の操作パネルとアウトドアシーンでポータブルラジオを使用する様子

操作パネルやUSBポートは側面のLEDライト下。もちろんmini B-CASカードが付属しているので購入後すぐにテレビ視聴できる

「CS Portable Battery 500 TV(ベージュ)」はその名の通り、テレビ付きのポータブル電源で、地デジとFM、AMを受信できます。これならエンジンを切っても情報をキャッチOK。

ポータブルラジオの側面・インターフェース、リモコン

付属の地デジ用ロッドアンテナのほか、ワイドFM方式のアンテナ差し込み口を備えている。リモコンでテレビ操作できるほか、FMやHDMI、USBへの切り替えも可能

冬になると大雪のため、国道や高速道路で数千台のクルマが24時間以上立ち往生することがありますが、「CS Portable Battery 500 TV(ベージュ)」があればエンジンを切っても電気毛布(40W前後)や電気ひざ掛け(10W前後)で暖を取れます。

いつの間にかマフラーまわりに雪が積もって排ガスが逆流することもなく安全。容量518Whなのでラジオと電気毛布を常時オンにするのは心許ないのですが、暖房メインでちょこちょこ情報収集するという使い方なら一晩はもつでしょう。

雨のアウトドアシーンでポータブルラジオを使用する様子

国際規格のIP44防塵・防水性能をもち、あらゆる方向から水しぶきがかかっても大丈夫

うれしいことに防水・防塵仕様。ドアを開けたときに雨が降り込んでも慌てずにすむのもいいですね。

キャプテンスタッグウェブサイト

セイバー「フロンティアーズマン マックス ベアスプレー234mL」

熊よけスプレー本体

サイズ:約直径5.3×高さ22cm/重量:約304g/価格:1万2100円

今や必携のクマ撃退スプレーは信頼ブランドを選択しよう

冬眠前の10月から11月にかけて目撃情報が増えるクマ。近年は食べ物が手に入ると学習し、人里へ降りてくるクマもいるため該当しそうなエリアを旅する場合はハイキングやペットとの散歩はもちろん、RVパークやキャンプ場であってもクマ撃退スプレーを備えておきたいところ。

腰のホルスターに収納した熊よけスプレー

「フロンティアーズマン マックス ベアスプレー」はトリガーに人差し指をかければ、自然に噴射口がクマのほうを向く

環境省で発表されたクマ撃退スプレーの推奨要件は、「刺激成分の濃度1.0〜2.0%程度」「噴射距離7.5m以上、噴射時間6秒以上」「円錐状に広がるミスト噴射」「手探りで取り出して噴射方向を判別できる構造、安全装置付き」「使用期限表示」「性能、使用方法、使用・保管・廃棄の注意事項明記」です。

熊よけスプレーの噴射イメージ

黄色みがかった高濃度の刺激成分入りミスト。できるだけ風上から狙い、10m以内に近づいたところで吹き付けよう

「フロンティアーズマン マックス ベアスプレー」は基準をすべてクリアしたお墨付きアイテム。刺激成分は唐辛子から抽出するためバラツキがあるのですが、セイバー社では高速液体クロマトグラフィーという手法で分析し、品質を管理しています。だから製造後4年以内ならどの缶も同じ威力を発揮! さすがです。

熊よけスプレー練習用の本体と噴射イメージ

別売の練習用スプレー「フロンティアーズマン プラクティススプレー 234mL」(4,800円)で操作方法を予習しておこう

容量は2タイプあり、234mLは噴射距離12mで噴射時間6〜7秒。刺激成分を嫌っても、何度も向かってくるクマもいるのでグループに1本ではなく、ひとり1本の携帯がベスト。そしてスムーズにロック解除できるよう、別売の練習用スプレーで練習しておきましょう。

もちろん、キャンプ場などではゴミや食品を車外に放置せず、クーラーボックスなどに入れてにおいをなるべく漏らさないようにしてクマを近づけないことも重要ですよ。


※使用期限があります。期限切れの製品はメーカー推奨の手順で破棄してください。
※ガス缶と同じように高圧ガスが封入されているので、高温(40℃以上)・多湿での保管NG。クルマで持ち運ぶ場合は燃料とともに断熱性の高いケースに入れ、シート下など直射日光があたらない場所に置くなど十分に注意を。保冷剤入りクーラーボックスは高温になりませんが、湿度が高く金属部分の腐食のおそれがあります。
※公共交通機関には原則持ち込み禁止。飛行機移動でキャンピングカーを借りる場合はこうしたクマ撃退スプレーレンタルサービスを検討しましょう。発売元のモンベルのウェブサイトやモンベルストアでもレンタル受付中です。

モンベルウェブサイト

明日かもしれない「まさか」に備えよう

災害や事故のニュースに胸を痛めても、どこか他人事で“自分は大丈夫”と思ってしまいます。けれども「まさか」は明日降りかかるかもしれません。

車中泊旅を楽しい思い出にするためにも、「まさか」をイメージして備えておきましょう。使い方・正しい保管&持ち運び方法の確認もお忘れなく!

大森弘恵

おおもり・ひろえ フリーランスのライター、編集者。主なテーマはアウトドアと旅で、ときどきキャンピングカーと料理の記事も。身軽なソロキャンプ歴は約40年、愛車はヤマハ・WR250R

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