ツートーンカラーのEVキャンピングカー外観(斜め前)
写真・編集=大森弘恵

ミニバンサイズのEVキャンピングカーが続々誕生! 防災やペット旅の本命になるか!?

東京キャンピングカーショー2026で人気ビルダー4社がKia「PV5」ベースのモデルを披露

7月に開催された「東京キャンピングカーショー2026」は過去最多238台を展示! その中でも話題を集めていたのが、日常使いしやすい“ミニバンサイズのEVキャンピングカー&車中泊カー”です。ショーでは人気ビルダー4社がKia「PV5」をベースにしたモデルを披露。それぞれの魅力や使い勝手、EVならではのメリットなどを紹介します。

目次

人気ビルダーが注目した韓国・Kiaの次世代EVミニバン「PV5」

ポップアップルーフ付きEVキャンピングカーの正面ショット

人気ビルダー4社がベース車に選んだのはKia「PV5」

「東京キャンピングカーショー2026」では、韓国の自動車メーカー・Kia(キア)の次世代モビリティ「PBV(Platform Beyond Vehicle)」正規ディーラーであるトイファクトリー、LACモービル、ホワイトハウスキャンパー、ダイレクトカーズら4社がEV車中泊カーを発表し、注目を集めていました。

EVキャンピングカーの運転席周り・ステアリングとインパネ

右側モニターの「ユーティリティモード」にすることで、エンジンを止めてもコンセントやエアコンを利用できる

ベースとなる「PV5」は約30分で10→80%の急速充電が可能で、バッテリー容量にもよりますが、いずれを選んでも1回の充電で走行できる距離は300km以上(WLTCモード)。

バックドアが観音開きの商用車「カーゴ」とハッチバックの乗用車「パッセンジャー」があり、どちらもボディサイズは全長4695×全幅1895×全高1925mmでトヨタのノア/ヴォクシー並みでありながら、低床設計による広々空間と乗り降りしやすさがウケて、欧州で高い評価を得ています。

いったいどんな車中泊カー&キャンピングカーになっているのでしょうか。

トイファクトリーが提案する日常使い重視のEV車中泊カー

展示会場に飾られたEVキャンピングカーのフロント全景

トイファクトリー「Kia PV5 パッセンジャー」(709万円〜/展示車両790万4410円)。5人乗車/2人就寝

トイファクトリーは、電動跳ね上げ式バックドアを備えた「Kia PV5 パッセンジャー」にオリジナルベッドキットや家具類を備えた車両を展示していました。

日常的に使えるようにと考え、ゴリゴリのキャンピング仕様ではなく、あえてライトな車中泊カーとなっています。

イエローのベッドマットが敷かれたEVキャンピングカーのフルフラット車内

マット生地は上質な尾州織とプレミアムスエードから選べる

専用ベッドキットで5枚のマットを敷き詰めると長さ1850×幅1400mm。大人2名が眠れるサイズになります。

前方マット3枚は2列目シートの幅に合わせているのも扱いやすさのポイントです。

なお、車中泊カーはベッドを展開したままにしがちで、友人を乗せるときに「ベッドを片付けてシートを作らなくちゃ」と慌ててしまいますが、こちらの専用ベッドキットであれば前方マットをはずし、2列目シートの背もたれを引き起こせば準備完了。しかも2列目シートのリクライニングを邪魔しないよう後部2枚のマットサイズを設計しているんだとか。さすがです。

もちろん専用ベッドキットは車内をゆとりのベッドルームに変えるだけではありません。ベッド下にゆとりのラゲッジスペースを確保しているのです。

車内収納スペースとベッド展開の様子

分割できるマットは軽く、扱いやすい

もともと「PV5 パッセンジャー」の荷室には床下収納(ラゲッジトレイ)が付いており、これを有効活用して扱いやすい大容量のラゲッジスペースとしたのです。

ベッドマットとの隙間はそれなりにあるので、後部のマットを1枚、持ち上げるだけで奥のギアに手が届きます。

トイファクトリー担当者は「カーテンなど目隠しは必須ですが、写真のようにポータブルトイレを設置して非常時に備えることができますよ」と提案してくれました。

車内シート生地やカラーサンプルの比較展示

サイドボードはカップホルダー付きテーブルの取り付け可能

車両後部の両サイドには専用サイドボードが取り付けられています。

このサイドボードのレールを利用すれば、カップホルダー付きのミニテーブルを取り付けられるというわけ。カップホルダーは飲み物を置くほか、鍵や眼鏡などなくすとやっかいな小物の置き場所としても重宝します。

EVキャンピングカーの充電コネクター差し込み口拡大

最大71.2kWhのバッテリーシステムを搭載できる

ベース車両の「PV5 パッセンジャー」は1回の充電で500kmほど走行できると言われています。

大容量のバッテリーシステムがあれば、車中泊旅をしながらエアコンで快適に過ごせるのでしょうか?

会場にいた広報担当者に尋ねたところ「バッテリーの持ちは、走行距離だけでなくエアコン使用や坂道など環境にも左右されます。そのため1回の充電で走行できる実際の距離はカタログに記載されている基準値の7〜8割が目安。つまり、一充電300~350kmが現実的なので、車中泊スポットでエアコンや家電を無理なく使うために、途中で一度充電するのがおすすめです」とのこと。

車中泊旅ではEV充電スタンドの位置をしっかり把握する必要があり、EV対応のRVパークを目指すのがベスト。また、高速道路のSA・PAや道の駅にもEV充電スタンドが設置されていることが多いので、休憩や仮眠の際に利用できます。

調べてみると全国のEV充電可能スポットは、数だけを比べればガソリンスタンドの店舗数とほぼ同等。急速充電器の有無なども含めしっかり計画を立てれば電気切れを予防できそうです。

それにこれほどの大容量バッテリーを搭載しているわけですから、備えとして優秀なことには変わりありません。

毎日の通勤や買い物から旅行にまでマルチに活躍するEV車中泊カーは、トイファクトリー流フェーズフリーな一台と言えそうです。

LACモービルはくつろぎ重視。家電も余裕で使える

展示会場のEVキャンピングカー正面ワイドショット

LAC「EVキャンパー P」(879万円〜/展示車両894万9000円)。5人乗車/2人就寝

アネックス、キャンピングカーランド、デルタリンクというキャンピングカービルダー3社による共通ブランド「LACモービル」は、大容量バッテリー(71.2kWh)を搭載するKia「PV5 パッセンジャー ロングレンジ」をベースにした「EVキャンパー P」を展示していました。

「PV5 パッセンジャー ロングレンジ」は満充電であればケトルやIHコンロ、電子レンジを余裕で使えます。

なにより駐車中でもクーラーをつけておけるので、温泉や買い物など立ち寄りスポットでのペットのお留守番も安心です。

対面ダイネットとテーブルが設置された車内レイアウト写真とベッドスペース写真

全面をベッドにするほか、ベッドマットの一部を外せばリビングにもなる

ベッドマットを取り外せばコの字でくつろげるリビングに変身。

コンセントは最大1500W対応で、欲しい家電を好きなように持ち込めるため基本装備はいたってシンプル。それに別途クーラーやヒーター、サブバッテリーなどを搭載しなくてもいいので、思った以上にゆとりを感じられます。

また、「PV5 パッセンジャー」の床下収納をなくして床を一段低くしているため高さも十分。ベンチ部分を丸ごと収納に使えるので、収納力はそのまま。

車内シート下の収納スペース

どちらのベンチも下が収納スペースになっている

運転席側のベンチ下収納は横から取り出せ、助手席側はマットを外して上からアクセスします。どちらも仕切りがないので長尺物が入るのも便利。

リアゲートに防虫ネットをセットした状態の車内居住空間(バックドア視点)

夏の車中泊を快適にする専用防虫ネットが登場

うれしいことにLAC RVセンターでは「PV5」専用のリアドア防虫ネットを発売しています。ドアを開けっぱなしにしても虫の侵入をおさえられるので、エアコンによる冷えすぎが気になる人も安心です。

ホワイトハウスキャンパーは電動ポップアップルーフでゆとりある車内空間を実現

ポップアップルーフを展開したEVキャンピングカーの展示ブース全景

ホワイトハウスキャンパーのコンセプトカー。カーゴは2人乗車/2人就寝。パッセンジャーは5人乗車/2人就寝

ホワイトハウスキャンパーはKia「PV5 カーゴ」「PV5 パッセンジャー」をベース車とするコンセプトカーを発表しました。

車内壁面に備え付けられた集中コントロールパネル・液晶モニター

ポップアップの操作ボタン。上のモニターでは電気の状態が一目でわかる

ジムニーやフリード、N-VANなどいろいろなクルマにポップアップルーフを装着してきたホワイトハウスキャンパーですから「PV5」のコンセプトモデルも水平昇降式ポップアップルーフ付き。しかも電動です。

「PV5 パッセンジャー」にはまだファニチャーが搭載されていませんでしたが、「Kia PV5 カーゴ」のほうはすでに家具や電子レンジなどを搭載済み。

バックドアから見るモダンな車内インテリア

楽に展開できるベンチシートを採用しており、自転車など遊び道具を無理なく収納できる

中をのぞいてみるとメゾネットのように寝室とリビングを分離するスタイル。遊び道具の多いカップルにはうれしい仕様です。

観音開きのバックドアを利用してテーブルを外にセットできるので、アウトドアらしい過ごし方も可能です。低床設計なのでバックドアからの行き来も楽々。

ポップアップルーフ内の就寝スペースと明るいインテリア

ポップアップルーフのおかげで圧迫感なし。立って着替えられるのもうれしい

シートの下には電子レンジや引き出して使う冷蔵庫が。上下2本のワンタッチレールを使ってカスタマイズもできそうです。

ヒョンデ「ST1 カーゴ」のキャンピングカーも!

ホワイトのEVキャブコン・キャンピングカー外観(サイド)

ヒョンデのEVカーを用いたコンセプトモデルも展示

ホワイトハウスキャンパーではもう一台、ヒョンデ「ST1」のキャンピングカーを参考出品していました。

会場にいたスタッフによると「ST1のほうがやや大きくゆったり(カーゴは全長5625×全幅2015×全高2230mm)。バッテリーも76kWhと十分で、アウトドアやリモートワークなどいろいろな用途で使える充実装備になる予定です」とのこと。

LEDライティングがおしゃれなキャンピングカーのリアゲートからの車内

スクエアなボディは多彩なレイアウトを実現できそう

マルチルーム・シンク・キッチンを備えた高級感ある車内

冷蔵庫、トイレ、シンク、電子レンジなど車内で過ごすのに必要な装備がすべて入っている

展示車両には床暖房のアピールも。EVはエンジンを止めてもエアコンを使えるのが魅力ですが、足もとが冷たいとツラい! 床暖房を選択できるなら幸せです。

ダイレクトカーズはシンプル装備で日常使いと旅を両立

ツートーンカラーEVモデルの展示ブース斜め前ショット

ダイレクトカーズ「DC EV LIFE」(869万円〜/展示車両907万8380円)。5人乗車/2人就寝

ダイレクトカーズはEVキャンピングカーシリーズ「DC EV LIFE」第1弾として、Kia「PV5 パッセンジャー」ベースの車中泊カーを展示していました。

木目調の家具とベッドが配置された車内後方からの室内空間

床下収納付きのフロアやキャビネットはシンプルだけど温かみがある

通勤や買い物から週末レジャー、長距離の旅までいろいろなシーンで利用しやすいよう、装備はキャビネットやベッドマットなど必要十分なものに厳選されていて、その分、圧迫感がなくのびのび過ごせそう。

キャビネット収納と跳ね上げ式テーブルの細部

19インチのスマートテレビとコンパクトIHコンロはオプション

EVなので当然、調理はIHコンロ。使わないときはキャビネットに収納できるのがステキです。

オリーブグリーンのEVキャンピングカー外観写真とリアゲートを開放した広い荷室・カーゴスペース展示

「PV5 カーゴ」をベースとした車中泊カーを開発中

また、ダイレクトカーズでは新たに「PV5 カーゴ」モデルの製作に取りかかっているとのこと。

現在はルーフラックを載せた外装でしか判断できませんが、無骨でギア感を高めた一台となるのか? 期待が高まります。

家族3人での車中泊はどうなる?

EVキャンピングカーの充電コネクター差し込み口拡大

充電だけでなく給電も可能

今回発表されたEV車中泊&キャンピングカーはいずれも2人就寝仕様ですが、サブバッテリーやエアコンなどを設置しなくてもいいため車内は広々。ベビーカーを置くスペースも十分確保できますし、低床で乗り降りしやすいので5人乗車モデルであればベビーのいる3人旅での使い勝手もよさそうです。ただし、幼児以上での3人就寝はやや窮屈な印象。

車中泊カー&キャンピングカー市場でのEV活用は始まったばかり。ファミリー対応が登場するか、今後に注目です。

大森弘恵

おおもり・ひろえ フリーランスのライター、編集者。主なテーマはアウトドアと旅で、ときどきキャンピングカーと料理の記事も。身軽なソロキャンプ歴は約40年、愛車はヤマハ・WR250R

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