広大な畑と山並みを見渡す高台のRVパークに、カヌーを積んだ車やキャンピングトレーラーなど複数台が駐車している様子
文=大森弘恵 / 編集=後藤ちり / 協力=くるま旅クラブ

【車中泊】RVパークが満車でもあきらめない!「くるま旅パーク」で車中泊旅の選択肢が広がる!

RVパークとの違いやメリット、利用前に知っておきたいポイントを解説

RVパークが満車だったり、近くに車中泊スポットが見つからなかったり……そんなときに知っておきたいのが「くるま旅パーク」です。観光施設や温浴施設、飲食店などの駐車スペースを活用した車中泊スポットで、旅の選択肢を広げてくれる存在として注目されています。本記事では、くるま旅パークの特徴やRVパークとの違い、利用するメリットや注意点を解説。さらに、くるま旅クラブ事務局長・山縣麻人さんおすすめの施設も紹介します。

目次

車中泊旅で「くるま旅パーク」に注目したい理由

クルマのラゲッジから見える外の風景

※画像はイメージです

自由度の高い車中泊の旅ですが、必ずしもどこでも好きな場所に宿泊できるとは限りません。車中泊を許可された道の駅もありますが、確実なのは車中泊施設「RVパーク」やクルマを横付けできる「オートキャンプ場」を利用すること。

ただ、連休など混雑する時期や人気観光スポットに近い場所ではどちらも予約が取れないことがままありますし、車中泊禁止のオートキャンプ場もあり、そうなると行動範囲が制限されてしまいます。

そんなときに候補に加えたいのが「くるま旅パーク」です。

RVパークほど知名度は高くありませんが、くるま旅パークも全国に点在する車中泊スポットで、くるま旅クラブ会員でなくても利用可能。車中泊スポットの選択肢が増え、旅をあきらめずにすむのです。

そもそも「くるま旅パーク」とは? RVパークと何が違う?

くるま旅パークのロゴマーク

RVパークは、全国のキャンピングカーの製造、販売事業者などが加盟する「一般社団法人日本RV協会」が認定する車中泊専用施設。

一方、くるま旅パークは、キャンピングカーのオーナーズクラブ「くるま旅クラブ」とパートナー契約を結んだ施設が運営する車中泊スポット。

いったいどんな違いがあるのでしょう?

「くるま旅パークは、パートナー施設が既存の駐車場や空きスペースを活用し、キャンピングカーユーザーが安心して車中泊できるようにした車中泊スポットです。そしてRVパークは日本RV協会が認定する車中泊専用の施設で、一定の設備や運用条件を満たしています。


つまり、くるま旅パークはRVパークとは別の仕組みとして、施設ごとの状況や運用方針に合わせてより柔軟に車中泊の受け入れができる点が特徴です」と教えてくれたのは、くるま旅クラブ事務局長の山縣麻人さん。

くるま旅パーク併設の居酒屋食堂の外観

居酒屋食堂の駐車場を活用している「くるま旅パーク 雫食堂」(長野県)。車外でのサイドオーニングやテーブル&チェア展開はOKだが、トイレは15時~23時までと時間制限あり

RVパークは24時間利用できるトイレ、電源設備、入浴施設、ゴミ処理など8つの条件を満たした車中泊施設。

一方、くるま旅パークは、既存施設の駐車場や空きスペースを活用し、施設ごとの設備条件や運用方針に合わせて、車中泊ユーザーを受け入れるスポットです。電源設備や入浴施設の有無、トイレの利用時間などは施設によって異なりますが、RVパークの条件をすべて満たしていなくても、立地がよく、安全に車中泊ができる場所を提供してくれるのです。

RVパークとは仕組みや設備条件が異なりますが、くるま旅パークには既存施設の個性を活かした魅力があるのです。

「設備や施設環境は良好でも、施設側の運用方針や立地条件、設備条件などの関係でRVパークではなく、くるま旅パークとして車中泊ユーザーを受け入れている施設もあるんです。既存施設の個性を生かしながら、無理のない形でキャンピングカーユーザーを受け入れるための仕組みと考えていただければいいと思います」(山縣さん)

つまり、RVパークより充実した設備やユニークなサービスを展開する施設もあれば、ただの駐車場で夜間はトイレを利用できないところもあり、設備の充実度は施設によってさまざま。柔軟に車中泊旅を応援してくれるのです。

くるま旅パークを選ぶメリットは?

RVパークよりも、設備や立地など自由度が高い傾向にあるくるま旅パークですが、いったいどんな施設が登録されているのでしょうか。

「車中泊専用につくられた施設だけではありません。観光施設や温浴施設、体験施設、地域交流施設などさまざまな既存施設が登録されています」(山縣さん)

山縣さんに、くるま旅パークを選ぶメリットを2つ教えてもらいました。

その1 旅の自由度が上がる

住宅街の中にあるコンクリート敷きの駐車場。区画番号が白線で描かれており、奥にミニバンが1台停まっている様子

東京都北区の「くるま旅パーク東京オートキャンパー王子神谷」は地下鉄やJRの駅が徒歩圏内で、新宿や池袋、北千住方面へ向かうバス停もすぐそば。貴重な都内車中泊スポットのひとつだ

RVパークのように一定の設備をそろえるとなると、それなりの広さを確保しなくてはなりません。都市や人気観光地で新しくRVパークを開設しようとすれば、スペースだけを考えてもかなり大変なのですが、くるま旅パークであればハードルはぐっと下がります。

そのためでしょう、東京都内や京都市内のような世界中から観光客が集まる都市部や観光地にアプローチしやすい場所、フェリー港の近くなど、車中泊場所を探しにくいエリアにも点在しているのです。

車中泊旅では、駐車場探しが大変な都市部や観光地での滞在などをあきらめがちですが、くるま旅パークなら実現できるかも。

その2 施設・地域の魅力をより楽しめる

温泉旅館の駐車場に停まるキャンピングカーと温泉内湯全景

群馬県のくるま旅パーク「利根川源流・せせらぎパーク(なかや旅館)」は温泉入浴(大人1,000円)のほか、谷川岳の天然水コーヒーの無料サービスやオプションで夕食弁当と朝食バイキングを提供

山縣さんは、「RVパークやキャンプ場が少ないエリアでも、くるま旅パークがあることで観光地の近くや施設利用と組み合わせた車中泊をしやすくなるんですよ」とも教えてくれました。

運営している施設が温浴施設なら温泉に入ってそのまま車内でくつろげるし、レストランの駐車場なら地元の名物グルメを楽しんでから車内で眠れます。温泉地なら共同浴場をはしごするのも悪くありません。

地域の人たちと交流しやすい環境のため、思いがけないお得情報を手に入れることも。

宿泊のためだけに利用するのもいいですが、地域に根ざした施設や観光資源と組み合わせたとっておき体験ができるのは、くるま旅パークだからこそ。地域を知る・楽しむ拠点として大いに利用できる車中泊スポットなのです。

利用前に確認しておきたい注意点

北海道のRIJIN HILLS BASEの全景

広大な景色の中で車中泊ができる「RIJIN HILLS BASE」(北海道)。オーニングやカーサイドタープなどの設営ができ、カセットコンロ、七輪(1~6番サイトのみ)の使用はOKだが焚き火は禁止

いろいろな施設がくるま旅パークという形で車中泊旅を応援していますが、基本的にくるま旅クラブ会員でなくても利用できます。

ただし、利用できる設備やルールは施設ごとに異なります。そのため「思っていたのとは違う」こともあるかもしれません。

予約前に、各施設のウェブサイトを確認したり、問い合わせをすることが気持ちよく利用するポイントです。

なかでもトラブル防止のためにも明確にしておくべきなのが次の10項目。

1.予約方法
2.チェックイン・チェックアウト時間
3.トイレの利用可否(夜間は利用できない施設があるので、公衆トイレの場所も確認)
4.電源、水道の有無
5.ゴミ処理の可否(長旅、連泊では重要)
6.車外に椅子・テーブル・タープやオーニングを出せるか(キャンプ場ではないので車外を利用できない施設があります)
7.火気使用の可否(焚き火だけでなくガスコンロ使用がダメな場合も)
8.ペット同伴可否
9.夜間の出入り可否(安全のため施錠される施設があります)
10.周辺環境(静かな住宅地ではとくに声の大きさやドアの開閉音、アイドリングに注意)

宿泊施設の場合、レストランやロビーといったメイン施設の利用ができるのかも聞いておきたいところ。

「実際に利用する際は、夜間の音だけでなく光にも注意。車内灯やライトが周囲の迷惑になる場合があります。また、貴重品の管理や施錠も徹底してください。なお、くるま旅パークはあくまで旅の途中の宿泊場所。長期滞在を前提とした施設ではないことをお忘れなく」(山縣さん)

くるま旅クラブ事務局長・山縣さんのおすすめ3選

高原の中で木の椅子に座る男性

くるま旅クラブ事務局長の山縣さんは、車中泊歴27年、そのうちキャンピングカー歴は7年。日本全国を旅している

くるま旅パークを展開する、くるま旅クラブ・事務局長の山縣さんも筋金入りの車中泊愛好家。車中泊をしながら日本全国を旅しています。

そんな山縣さんが利用して「ここはまた来たい」と思ったくるま旅パークとは? 「1.都市部・観光地近接型」「2.海や自然を楽しめるロケーション型」「3.温浴・飲食・体験型」の3カテゴリ別に、とっておきの施設をピックアップしてもらいました。

【1.都市部・観光地近接型】
旅する車 宇津貫BASE(東京都)

くるま旅パークサイトに駐車するジムニーと横に設営したテント

スタンダードプラン(8×8m)は、サイト内でサイド-オーニングの展開やBBQのほか、焚き火やテント設営もOKだ

八王子の自然を堪能できるのはもちろん、東京観光の拠点にも。プライベートBBQ、焚き火可能なプランなど「都市近郊×体験」を実感できる車中泊スポットです。キャンピングカーの製造・販売を行う施設が運営しており、過ごしやすさも定評あり。

住所:東京都八王子市宇津貫町1554-1
電話:042-629-9980(10時~18時)
旅する車 宇津貫BASEウェブサイト

【2.海や自然を楽しめるロケーション型】
ガーデンカフェ リバージュ(山口県)

花畑の奥に見える木造の建物

1日1台限定なので絶景を独り占めできる

「海と花による癒やし」がコンセプトのカフェが運営。駐車場の複数区画をつなげ、横向きに使う設計でゆったり。海からのぼる太陽は絶景です。事前予約でカフェ終了後に特別なメニューを利用できるのも楽しみ。

住所:山口県大島郡周防大島町平野10308-1
電話:0820-80-4155
ガーデンカフェ リバージュウェブサイト

【3.温浴・飲食・体験型】
花おりの湯(宮城県)

露天風呂の写真

植物性由来の「モール泉」が楽しめる

源泉掛け流しの日帰り温泉施設に併設されており、施設利用料金を支払えば一日中自由に出入りできます。温泉は20時閉館ですが、24時間利用可能な屋外トイレ、電源、ドッグランなどがあり宿泊時の不便もありません。

住所:宮城県大崎市三本木坂本青山31-1
電話:0229-52-5505(11時~20時・土日祝は10時~)
花おりの湯ウェブサイト

車中泊旅のルート作りが楽しくなる

現在、くるま旅パークに登録されている施設は74施設(2026年6月末現在)。RVパークを含めると全国で700か所以上の車中泊スポットを利用できるわけで車中泊旅の自由度が上がります。利用時に注意すべきポイントはありますが、その地域ならではの思い出深い体験ができるかも。夏旅の行程に組み込むのも一興です。

「くるま旅クラブ」とは

一般社団法人日本RV協会の子会社・くるま旅クラブ株式会社が運営する有料の会員制クラブ。キャンピングカーオーナーや車中泊旅を楽しむユーザーに向け、車中泊ができる提携施設や割引特典などを提供。2026年1月現在の会員は約2万1000人。
くるま旅クラブウェブサイト

大森弘恵

おおもり・ひろえ フリーランスのライター、編集者。主なテーマはアウトドアと旅で、ときどきキャンピングカーと料理の記事も。身軽なソロキャンプ歴は約40年、愛車はヤマハ・WR250R

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