やってはいけない休憩をして眠気まなこで運転する人
文=萩原文博 / 監修=島崎 敢 / イラスト=沼田光太郎

休んだつもりが逆効果? 長距離ドライブでやってはいけない休憩4選

長距離ドライブ休憩のコツ2 やってはいけない休憩4選
島崎 敢

長距離ドライブでは、休憩したつもりでも、かえって疲れをためてしまうことがあります。JAF会員アンケートでは、「食べすぎて眠くなった」「スマホを見続けて疲れが取れなかった」など、休憩中の行動が原因で疲労を感じたという声が多く寄せられました。交通心理学の専門家である島崎敢・近畿大学教授監修のもと、長距離ドライブで避けたいNG休憩と、疲れを残さないコツを紹介します。

目次

休憩中にスマホを見続けない

休憩中に休めない理由グラフ

休憩中に渋滞情報を確認したり、家族へ連絡したりするためにスマートフォンを使うことはあります。しかし、SNSや動画、ゲームを見続けていると、運転で疲れた目や脳をさらに使うことになり、十分な休憩になりません。

必要な確認や連絡を済ませたら、スマートフォンから目を離しましょう。遠くの景色を眺めたり、目を閉じてひと息ついたりするだけでも、目や脳を休ませやすくなります。休憩時間は「運転しない時間」ではなく、次の運転に備えて心身を回復させる時間と考えることが大切です。

島崎先生のワンポイント

休憩中もスマートフォンを見続けると、目や脳は休まりません。必要な確認を済ませたら画面から目を離し、遠くの景色を眺めたり、目を閉じたりしてリラックスすることが、疲労回復につながります。

食事や仮眠のあと、すぐに発進しない

車内で仮眠を取る男性

長距離ドライブでは、SA・PAのご当地グルメを楽しみにしている人も多いでしょう。しかし、満腹になるまで食べると眠気を感じやすくなり、そのまま運転を再開するのは危険です。運転前の食事は、腹八分目より少し控えめを意識しましょう。

食後に眠気を感じたときは、無理に出発せず、15分程度の短い仮眠を取るのも有効です。ただし、目が覚めてすぐは体や脳が十分に覚醒しておらず、反応が鈍いことがあります。クルマを降りて歩いたり、背伸びやストレッチをしたりして、心身を目覚めさせてから運転を再開しましょう。

コーヒーなどのカフェイン飲料は、眠気を抑える助けになりますが、飲んですぐに効果が現れるわけではありません。カフェインだけに頼らず、仮眠や運動と組み合わせることが大切です。

島崎先生のワンポイント

食後に眠くなるのは自然な体の反応です。眠気を感じたら無理に運転を続けず、15分程度の仮眠を取りましょう。ただし、目が覚めた直後は体だけでなく脳も十分に目覚めていません。タクシードライバーを対象とした調査では、仮眠後に体を動かさず運転を再開すると、ウインカーの出し忘れなどのヒューマンエラーが増えることがわかっています。歩いたりストレッチをしたりして体を目覚めさせてから出発しましょう。

仮眠後のおすすめルーティン

1. クルマを降りる
2. 5分ほど歩く・ストレッチをする
3. 水分補給をする

混雑したSA・PAで無理に休まない

満車の駐車場

人気のSA・PAは休日や連休には駐車場が満車になることも少なくありません。休憩のために立ち寄ったつもりが、駐車スペースを探したり空きを待ったりして、かえって疲れてしまうことがあります。高速道路の満空情報などで混雑していることがわかったら、手前や次のSA・PAで休憩することも選択肢の一つです。

島崎先生のワンポイント

目的地だけでなく、「休憩は必ずこのSA・PAで取ろう」と決めてしまうことがあります。しかし、安全運転のためには、その計画にこだわり過ぎないことも大切です。混雑していると感じたら、「次のSA・PAで休もう」と柔軟に判断できるドライバーのほうが、結果的に疲労をためにくく、安全に運転できます。

冷房や窓開けだけで眠気をごまかさない

窓を開けて換気したクルマ、エアコンの風向きを調整する様子

運転中に眠気を感じると、エアコンの冷房を強くしたり、窓を開けたりして眠気を追い払おうとする人もいます。窓開けは、車内を換気して二酸化炭素(CO₂)濃度を下げる点では効果があります。しかし、冷たい風や外の空気で一時的に眠気が和らいだように感じても、疲労や眠気そのものが解消されたわけではありません。

眠気を感じたら、無理に運転を続けず、最寄りのSA・PAなど安全な場所で休憩を取りましょう。冷房や換気はあくまでも補助的な対策です。眠気を根本的に解消するには、仮眠や体を動かすことが大切です。

島崎先生のワンポイント

「まだ運転できそう」と思える状態でも、眠気を感じた時点で注意力は低下しています。窓開けや冷房で一時的に眠気が紛れても、そのまま運転を続けるのは危険です。我慢せず、安全な場所で休憩や仮眠を取りましょう。

休憩は「疲労回復の時間」と考えよう

短時間でも体を休めることを優先すると、その後の運転の安全性が高まります。「観光」「買い物」「グルメ」を楽しみながら、休憩は休憩として確保することが長距離ドライブ成功のポイントです。長距離ドライブでは、目的地に早く着くことより、安全に到着することが何より大切です。休憩を「時間のロス」と考えず、安全運転のための準備時間として上手に取り入れましょう。

NG休憩チェックリスト

□ スマホを見続けない
□ 食後や仮眠後はすぐ出発しない
□ 混雑したSA・PAは避ける
□ 冷房や窓開けだけで眠気をごまかさない

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島崎 敢

しまざき かん 1976年東京都生まれ。静岡県立大学卒業後、大型トラックドライバーなどで学費を貯め、早稲田大学大学院に進学し学位を取得(博士・人間科学)。同大助手、助教、防災科学技術研究所特別研究員、名古屋大学特任准教授、近畿大学准教授を経て、2026年より近畿大学教授。主幹総合交通心理士の他、全一種免許と大型二種免許、クレーンや重機など多くの資格を持つ。心理学による事故防止や災害リスク軽減を目指す研究者で、3人の娘の父。著書に『心配学〜「本当の確率」となぜずれる?〜』(光文社新書)等。「アベマプライム」、「首都圏情報ネタドリ!」、「ビートたけしのTVタックル」などメディア出演も多数。トラックドライバー応援Podcast「プロフェッショナルドライブ」を配信中。
島崎 敢公式サイト

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