サービスエリアで散歩して休憩する人
文=萩原文博 / 監修=島崎 敢 / イラスト=沼田光太郎

長距離ドライブは「疲れる前に休む」が正解! SA・PAでの休憩術

長距離ドライブ休憩のコツ1 疲れをためない休憩術6選
島崎 敢

夏の帰省や旅行では、長時間の運転に加え、渋滞によって予想以上に疲労がたまりがちです。JAF会員に長距離ドライブの休憩頻度をアンケート調査したところ「2時間に1回」が最多の結果に。一方、疲れを感じても休憩を先延ばしにした経験がある人は6割を超えました。長距離ドライブでは、疲れてから休むのではなく、疲れる前に休むことが大切です。交通心理学の専門家である島崎敢教授の監修のもと、休憩を取るタイミングや、SA・PAで実践したい過ごし方を紹介します。

目次

長距離ドライブは「休憩時間込み」で計画しよう

長距離ドライブの計画を立てるときは、カーナビやスマートフォンの経路検索で表示される所要時間に、そのまま従わないよう注意が必要です。表示時間には、SA・PAでの休憩や食事、トイレにかかる時間が含まれていないことがあります。

到着時刻を優先して予定を詰め込みすぎると、遅れを取り戻そうとして休憩を先延ばしにしやすくなります。観光施設の予約時刻やフェリーの出発時刻など、変更しにくい予定がある場合は、特に余裕を持たせましょう。あらかじめ休憩時間を行程に組み込み、渋滞やSA・PAの混雑も見越して運転計画を立てることが、安全な長距離ドライブの第一歩です。

「2時間たったら休む」ではなく「2時間以内に休む」

長距離ドライブ休憩の頻度円グラフ

JAF会員アンケートでは、長距離ドライブ中の休憩頻度は「2時間に1回」が最も多い結果となりました。

ただし、「2時間ごと」は必ず守るべきルールではなく、連続運転の上限の目安と考えるのがよいでしょう。疲れ方は、運転経験や体調、睡眠不足の有無、渋滞状況などによって大きく異なります。

島崎先生は、「疲れを感じてから休むのではなく、疲れる前に休むことが大切」と話します。眠気や集中力の低下を感じる前にSA・PAへ立ち寄り、こまめに休憩を取ることが、安全で快適な長距離ドライブにつながります。

島崎先生のワンポイント

2時間は『ここまで運転していい』という時間ではありません。ドライバーの体調や道路状況によって疲れ方は変わるので、疲れを感じる前に休憩を取ることが重要です。

「あと少しだから」が休憩を遅らせる

休憩を先延ばしにした理由グラフ

JAF会員アンケートでは、「疲労を感じて休憩したほうがいいと思いながらも、休憩を先延ばしにした経験がある」と回答した人は6割を超えました。その理由としては、「目的地まであと少しだった」「早く到着したかった」「SA・PAが混雑していた」などが多くあがっています。

「あと少しだから」と無理をせず、疲れや眠気を感じたら、次のSA・PAで早めに休憩を取りましょう。10~15分でも体と脳をリフレッシュさせれば、その後の安全運転につながります。

島崎先生のワンポイント

疲労を感じた状態では、本人が思っている以上に集中力や判断力が低下していることがあります。「あと少し」と無理をせず、次のSA・PAで休憩することが事故予防につながります。

短時間でも「運転姿勢をリセット」する

休憩を取るときは、運転席に座ったままではなく、一度クルマを降りて体を動かしましょう。運転中は同じ姿勢が続くため、首や肩、腰、脚などに負担がかかりやすくなります。

島崎先生は、「10~15分程度の短い休憩でも、クルマを降りて歩いたり、背伸びをしたりして全身を動かすことが大切」と話します。体をほぐすことで筋肉の緊張が和らぐだけでなく、脳もリフレッシュされ、再び運転に集中しやすくなります。

ドライバーだけでなく、同乗者も一緒に歩いたりストレッチをしたりして、リフレッシュしてから再出発しましょう。短時間クルマを降りるだけで疲労回復につながります。

休憩中は目と脳も休ませる

長時間の運転では、目や脳は想像以上に疲れています。休憩時間もスマートフォンを見続けてしまうと、目や脳が十分に休まらず、疲労が残りやすくなります。休憩は、運転を中断するだけでなく、心身をリセットする時間です。次の運転に集中できるよう、目と脳も意識して休ませることを心がけましょう。

島崎先生のワンポイント

休憩中はできるだけスマートフォンを見る時間を減らし、目や脳を休ませることが大切。メールや交通情報の確認など必要な操作を済ませたら、画面から目を離し、遠くの景色を眺めたり、ベンチでひと息ついたりしてリラックスしましょう。

再出発前に渋滞・天気・燃料を確認

駐車場で旅行プランを考えるファミリー

休憩を終えて出発する前に、進行方向の交通情報や天気、燃料の残量を確認しておきましょう。高速道路では、SA・PAの案内板や情報端末、スマートフォンのアプリなどで、渋滞状況や通過にかかる時間を確認できます。最近では、渋滞が今後延びるのか、解消に向かうのかといった情報も提供されています。

また、ガソリンや電気自動車の充電残量もあわせて確認しておくと安心です。次の給油・充電場所を把握しておけば、「燃料が足りるだろうか」といった不安を抱えずに運転できます。

交通情報や燃料の状況を確認し、余裕を持って再出発することが、安全で快適な長距離ドライブにつながります。

再出発前のチェック

□ 渋滞・通行止め情報を確認した
□ 天気予報を確認した
□ ガソリン・充電残量を確認した
□ ドライバー・同乗者ともに疲れが残っていない

時間より安全を優先し、早めの休憩を

ドライバーだけでなく、同乗者も一緒に歩いたりストレッチをしたりして、リフレッシュしてから再出発しましょう。長距離ドライブでは、「休憩も運転の一部」です。目的地に早く着くことより、安全に到着することを第一に考え、無理のない休憩計画を立てましょう。

休憩時間にやるとよいこと4選

□ クルマを降りて5〜10分歩く
□ 背伸びや軽いストレッチをする
□ 水分補給をする
□ 同乗者も一緒に体を動かす

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島崎 敢

しまざき かん 1976年東京都生まれ。静岡県立大学卒業後、大型トラックドライバーなどで学費を貯め、早稲田大学大学院に進学し学位を取得(博士・人間科学)。同大助手、助教、防災科学技術研究所特別研究員、名古屋大学特任准教授、近畿大学准教授を経て、2026年より近畿大学教授。主幹総合交通心理士の他、全一種免許と大型二種免許、クレーンや重機など多くの資格を持つ。心理学による事故防止や災害リスク軽減を目指す研究者で、3人の娘の父。著書に『心配学〜「本当の確率」となぜずれる?〜』(光文社新書)等。「アベマプライム」、「首都圏情報ネタドリ!」、「ビートたけしのTVタックル」などメディア出演も多数。トラックドライバー応援Podcast「プロフェッショナルドライブ」を配信中。
島崎 敢公式サイト

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