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ドライブの大敵、車酔いを克服するための13か条

車酔いは、対策を知り、成功体験を積めば必ず克服できます。

2023.06.18

監修=石井正則(JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長)/イラスト=古村耀子

2023.06.18

監修=石井正則(JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長)/イラスト=古村耀子

1年点検を受けると、だれにでもチャンス

※JAF Mate 2021年10月号「何とかしたい! 車酔いの原因と対策」を再構成して掲載しています。

せっかくの楽しいドライブが、車酔いのせいで台無しに……。
克服する方法を専門家の石井正則先生にうかがった。

車酔いと年齢・性別との関係

まず、どんな人が車酔いになりやすいのだろうか?
「年齢で見ると小学校高学年ぐらいから酔う人が増えてきて、中学・高校生でピークに達します」
車酔いの症状はすべて自律神経の異常な興奮によって引き起こされるため、自律神経が不安定になる思春期は酔いやすい傾向にある。大人になっても酔う人は、精神的ストレスで自律神経が乱れている可能性もあるという。
また、比較的男性よりも女性のほうが酔いやすいとされ、読者アンケートでも同様の結果となった(グラフ参照)。
「血圧の変動は自律神経と関連することが研究でわかっています。女性は血圧が下がりやすく、その結果男性よりも車酔いしやすいといえます」

「車酔いに勝つための13か条」を守り、不安を取り除こう

どうすれば車酔いを防ぐことができるのか? 石井先生が教えてくれたのが、「車酔いに勝つための13か条」。
「車酔いは病気ではなく、体が未知の動きに適応しようとして起こるもの。成功体験を積めば必ず克服できるので、決して後ろ向きに考える必要はありません。怖がらず、不安がらずに、慣れていってください」

ここに気をつけよう! 車酔いの注意点

「車酔いに勝つための13か条」の中でも特に注意したいポイントを解説しよう。

薬の服用

市販の酔い止め薬を積極的に活用しよう。大半の酔い止め薬には、脳内のずれを感知する機能を鈍らせ、自律神経の興奮を抑える成分が入っている。薬を飲んだという安心感が、車酔いへの不安を取り除くことにもつながる。
乗車30分前に服用するのが最も効果的。酔い始めてから効く薬もあるが、比較的効果は弱まる。用法・用量は守ること。

食事

予防としてはアイスキューブ(氷)を口に含むのがおすすめ。“痛冷たい”刺激が自律神経の揺らぎを抑える。2~3個(子供なら1個)を酔う前からできるだけ長く頰張り続けるとよい。生姜にも予防効果がある。すりおろして冷奴(ひややっこ)にのせるなど、なるべく生のままで。ミントガムを酔う前から噛(か)み続けるのも効果的。
一方避けるべきは脂肪分の多い食事。梅干しやオレンジジュース、みかんなど生唾が出るすっぱい食べ物も、特に酔ってからはNG。食べ過ぎも空腹もよくないので、バナナ1本、おにぎり1個程度を食べておくと◎。

座席・視界

ドライバーと離れた座席ほど視覚情報のずれが生じやすく酔いやすいため、大きな車やバスでは後方の席を避ける。視線は、近くの家などを見ると景色が流れて目に刺激を与えてしまうため、前方のなるべく遠くの景色を見るように気を付ける。車の動きに影響されない、月や地平線くらい遠くのものを見るのがベスト。

姿勢・換気

三半規管は水平方向に30°上に傾いており、回転や加速の影響を抑えているが、頭を下に向けるとダイレクトに伝わり酔いやすくなるので、下を向いて読書やスマホはNG。酔い始めたら早めにリクライニングを倒すか停車して横になる。
エアコンの外気導入や換気も重要。対角の窓を開けると風通しがよい。

同乗者を酔わせない運転方法を知っておきましょう!

石井正則

いしい・まさのり JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長のほか、岐阜大学臨床教授、東京慈恵会医科大学准教授を併任。日本めまい平衡医学会めまい参与、日本耳鼻咽喉科学会代議員、JAXA(宇宙航空研究開発機構)宇宙医学審査会委員も務める。

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