乗り心地の悪い「荒い運転」、原因はペダル操作にあり! 快適ドライブの王道、「じわっとペダル」を徹底解説
滑らかに走行できるブレーキ、アクセル操作を動画で解説「スムースドライビング」について、動画でお伝えする運転レッスン。今回のテーマは「同乗者に『運転が荒い』と言われる」というお悩みです。同乗者にとって、予想外な動きや揺れが多い運転は不快なもの。丁寧なペダル操作を学び、快適なドライビングを目指しましょう。講師はモータージャーナリストの菰田潔さん、生徒は土屋怜果さんです。
運転が荒い=「雑」?
丁寧なペダル操作で、車体が前後に振れない滑らか運転を!
グッと強めにブレーキを踏んで前のめりになったり、急いで加速しようと強くアクセルを踏んだ際にシートに体が押し付けられるような感覚があった、という経験は誰もがあるかと思います。運転者にとっては大したことのない車の挙動に思えますが、走行中にこういった激しい前後の揺れがあると、同乗者にとっては予測できない体の揺れにつながるため、特に「運転が荒い」という印象を受けるようです。1月号の「カーブが連続する道、同乗者が酔うのは運転のせい? ハンドル操作を要チェック!」では滑らかなハンドル操作で左右の揺れ=ロールを抑える運転についてお伝えしましたが、今回は車体の前後の揺れを抑える滑らかなペダル操作について、学んでいきましょう。
後部座席で荒いブレーキによる急な減速を体験する土屋さん
滑らかな加減速に必要なのは、余裕のある丁寧なペダル操作。簡単に表現すると「じわっと」踏んで、「じわっと」戻す、が大原則となります。この優しく丁寧なペダル操作で、同乗者が車体の加減速を前もって察知できるので、次の動きを予測できるようになります。詳しく解説していきましょう。
滑らかな加減速のペダル操作を動画で解説
減速前の「じわっとペダル操作」で
ブレーキの滑らかさが大幅アップ!
走行中に減速する場合は、実際に減速したい地点より早めの段階で、軽いタッチでの丁寧なペダル操作を心がけることが大切です。完全にブレーキを踏んだ状態を100%とした場合、5%程度のブレーキが利きだす前の「ブレーキの遊び」の部分を「じわっと」踏み、その後に丁寧に、なおかつしっかりと踏み足していきましょう。そうすることで、車自体に無駄な揺れが起きにくくなるため、滑らかに減速することができるようになり、同乗者も「丁寧な減速」と感じることができるはずです。
ブレーキを緩める際にも同様で、一気に足をペダルから離すのではなく「じわっと」丁寧に戻すことを意識しましょう。加速時もブレーキ同様、まずアクセルを5%ほど踏んでから、しっかりと必要なだけ踏み足していくようにすると、車が大きく揺れることなく滑らかに加速することができます。
繊細なタッチのペダル操作で、走行時には一定のスピードを保つことを心がけましょう。下り坂ではブレーキをわずかに踏んだ状態、逆に上り坂ではアクセルをわずかに踏んだ状態をキープするなど、加速も減速もしない「イーブン」の状態を保つと、車が安定します。カーブの場合も、進入前に減速後、「じわっと」アクセルを踏んで速度を落とし過ぎないようにキープ。カーブが終わったらさらに「じわっと」アクセルを踏んで、徐々に加速して安定した速度を保ちましょう。
- ※この企画で紹介しているのは、菰田潔さんの運転メソッドです。JAFの見解とは異なる場合があります。
JAFでは、交通安全とエコドライブの普及・啓発のためにさまざまな講習会を行っています。また、ウェブを活用した交通安全トレーニングや調査・実験データなど情報を提供しています。ぜひご覧ください。
菰田 潔
こもだ・きよし モータージャーナリスト、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会長、BOSCH認定CDRアナリスト、JAF交通安全・環境委員会委員など。ドライビングインストラクターとしても、理論的でわかりやすい教え方に定評がある。