高齢ドライバーのヒヤリハット

注意! 帰省中の孫とクルマ事故

シニア世代の思い込み運転を考える
2022.08.09

文=岩越和紀(NPO法人高齢者安全運転支援研究会・理事長)/イラスト=平尾直子

2022.08.09

文=岩越和紀(NPO法人高齢者安全運転支援研究会・理事長)/イラスト=平尾直子

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高齢者の運転に詳しい専門家が、高齢ドライバーにありがちな思い込み運転やヒヤリハット体験を、同じ高齢者の立場からわかりやすく解説するこのコラム。今回は、車を発進させる際など低速での子供の事故の話。夏休みは帰省した孫を車で送迎するような機会も増えるので、悲惨な事故を起こさないよう十分な注意が必要だ。

ミニバンの死角に隠れる子供

夏休みに帰省した孫を迎える方も多いと思われるが、交通事故総合分析センターが『低速で子供が轢かれる事故』(下記参照)として、2011~2020年に起きた3歳以下の幼児68人の死亡事故についてレポートしている。親が我が子をはねてしまうような痛ましいケースもあるが、無事に孫たちを送り返すためにも、高齢ドライバーとしてこのデータを役立てたい。

イタルダインフォメーションNo.141『低速で子供が轢かれる事故』

分析では、事故は自宅周辺50m以内、発進時が多く、車は運転席位置の高いミニバン、続いて1BOX 、セダンの順であるという。ミニバンの事故例として報告されていたのは、狭い道路にある友人宅の前で車を止めて立ち話をしていた運転者が、車が来たことに慌てて自車を動かした際、前にいた友人の子供に気づかず事故となったとある。

レポートでは触れていないが、最近の車はこうした死角を補うセンサーがあり、警報に気づけば危険はないように思うが、発進時にエンジンをかけたときには、ETCやドライブレコーダーなどの機器が作動状態を音声等で知らせるものもあり、それらの音によって警報ブザーに気づきにくいことも考えられる。

またレポートでは、ミニバンなど運転席位置の高い車の場合、低身長の人はとくに発進時には前をのぞき込むような姿勢での確認が必要とアドバイスしている。ミニバンや1BOX は車のすぐ近くの死角が大きいことは頭で理解しているつもりでも、慣れや慌てにより、注意が抜け落ちるということだ。

さらに幼児の保護者側の問題として、手をつないでいなかった例があり、その理由として「安全だと思った」「立ち話のため」などが挙げられている。孫などと車で出かけるとき、大人同士の話に夢中にならず、その存在を常に目でしっかり確認している必要があるということでもある。

指をさす男性

子供の存在を忘れず、とくに発進時には死角に注意!

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シニア向け講習会の様子

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