高齢ドライバーのヒヤリハット

ハンドルを握る位置の慣れと油断

シニア世代の思い込み運転を考える
2022.06.30

文=岩越和紀(NPO法人高齢者安全運転支援研究会・理事長)/イラスト=平尾直子

2022.06.30

文=岩越和紀(NPO法人高齢者安全運転支援研究会・理事長)/イラスト=平尾直子

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1年点検を受けると、だれにでもチャンス

高齢者の運転に詳しい専門家が、高齢ドライバーにありがちな思い込み運転やヒヤリハット体験を、同じ高齢者の立場からわかりやすく解説するこのコラム。今回は、講習会で指摘されたハンドルを握る位置の話。事故の一因に「ハンドル操作不適」があり、カーブでの逸脱や正面衝突にもつながるおそれがあるので、決して甘く見ることはできない。

腕が疲れ、ハンドルを握る位置が下に

ドライバー講習会で意外な指摘を受けた。ハンドルを持つ位置が下がり気味であるという。言われてみれば、9時15分の位置で握り続けると腕が疲れ、いつの間にか下側に手を添えていることがある。慣れと油断である。

交通事故の調査研究を行う(公財)交通事故総合分析センターの『事故統計』の分類には、運転者の「操作不適」という項目がある。この中には「ハンドル操作不適」や「ペダルの踏み間違い」という項目が含まれている。

「ハンドル操作不適」による65歳以上の死亡事故を見ると、2020年には109件あり、全年齢の35%を占める。以前『JAF Mate』で紹介した際の2018年との比較では、65歳以上が143件(37%)から109件(35%)に、全年齢が385件から311件へと減少傾向。事故の内容は「カーブでの逸脱」「正面衝突」等が指摘されている。

一方、「ペダルの踏み間違い」による死亡事故を見ると、65歳以上では50件あり、全年齢57件の88%を占める。もちろん、どちらが問題かという比較の話ではなく、高齢運転者の危険度を示す数字として、常に意識しておきたい。

「ハンドル操作不適」に限れば、握る位置がすべてではないが、下側の手の位置では緊急事態に間に合わない。ハンドルの握り方を甘く見ず、正しい位置で握り続けられるよう、楽をしたがる脳と腕の筋肉を鍛えておかなければならない。自省を込めて。

  • 『JAF Mate2020年1月号』掲載の記事に加筆したものです。

指をさす男性

的確な操作のため、ハンドルの握り方を見直そう。

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