標識に従うか、誘導員に従うか?
シニア世代の思い込み運転を考える高齢者の運転に詳しい専門家が、高齢ドライバーにありがちな思い込み運転やヒヤリハット体験を、同じ高齢者の立場からわかりやすく解説するこのコラム。今回は、一時停止の規制がある交差点にいる誘導員の話。誘導員に気兼ねして一時停止が甘くなりがちだが、それによって事故の危険が生じることもある。
誘導員を無視して一時停止すると…
そのスーパーは駐車場の出入り口がT字の交差点に近く、高齢の係員が車の出入りを捌(さば)いている。このT字交差点に向かうとき、困るのが一時停止だ。標識も停止線もしっかりあるが、近づくとこの係員は誘導棒をしきりに振り、早く行きなさいと言っているように見える。
だが、左側には塀があり死角になっているので、自分の目で安全を確かめたい。ただ、相手も高齢者で、こちらも高齢者。ご苦労様感からどうしても気を使う。それでも、一時停止標識がある以上、誘導棒を無視する形にはなるが、いつも止まるようにしている。それを見て、この係員はさらに激しく誘導棒を振る。困った。
その日も雨の降るなか、誘導棒は振られていた。いつものように一時停止をして出ようとすると、係員が左の塀の角に立っていたために左側がさらに見づらい。すると、突然彼の背後から電動アシスト自転車が飛び出してきた。誘導員も雨音で背後を通る自転車に気づくのが遅れたようだったが、なんとか事なきを得た。
誘導員のばつの悪そうな表情とともに、なんとも気まずい一瞬が流れた。やはり、少しでも不安があれば、心を強く、気を使わず、誘導に頼らず、一時停止である以上、当たり前の話なのだが、しっかり止まることの大切さを再確認した。
- 運転をあきらめないワンポイント
誘導員に気まずくても、しっかり止まって安全確認!
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