文=岩越和紀(NPO法人高齢者安全運転支援研究会・理事長)/イラスト=平尾直子

バック駐車、こだわりの大迷惑

シニア世代の思い込み運転を考える

高齢者の運転に詳しい専門家が、高齢ドライバーにありがちな思い込み運転やヒヤリハット体験を、同じ高齢者の立場からわかりやすく解説するこのコラム。今回は、サービスエリアの駐車場で見かけた駐車の仕方。駐車に対する古い考えにとらわれず、駐車場のルールや周囲の様子を十分確認して運転することが重要だ。

「車庫入れはバックで」は過去のこと?

休日、混雑する高速道路のサービスエリアの駐車場。車路を行き交う歩行者が多く、トイレを急ぐのか、車の間から飛び出すように縫って進むので、危ない場面を多く見かける。1台の車が出たスペースに、大型SUVがやってきた。どうやら、そこに止めるようだ。


そのまま前向きで駐車すると思っていたら、なんと、そのスペースの前で、車を旋回させ、後ろ向きで駐車し始めた。このスペースは前向き駐車を想定した斜めのラインで、両側の車もみな前向きに駐車している。そこにバックで駐車しようというのだ。当然、入れ難く、何度も切り返し、やっと収まった。後ろには何台もの車の列ができ、大迷惑なのだが。


車を降りてくるドライバーを見ると、そんなことにはまったく気づかず、なにか満足気でもあった。こちらと同年輩と思えたが、はるか50年前、運転免許を取るときに嫌というほどバックでの車庫入れを練習し、縦列駐車とともにこれができれば運転上手と言われた。そんな思い込みからなのか、バックでの駐車にこだわりがある年代ではあるのだが。


自己満足なこの行為、結局、駐車までの時間がかかり、後続の渋滞を招き、混雑の激しい場合は、その列が本線まで延びる危険があることに思い及ばないのかなーと考えたとき、「はっ!」とした。気づかないところで、自分自身もこうした自己中の運転行動をしていないのか? “人の振り見て我が振り直せ”を地でいく光景でもあった。

指をさす男性

高齢者にありがちな自己中の運転を見直そう。

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