文=岩越和紀(NPO法人高齢者安全運転支援研究会・理事長)/イラスト=平尾直子

流れに“つられる”危険

シニア世代の思い込み運転を考える

高齢者の運転に詳しい専門家が、高齢ドライバーにありがちな思い込み運転やヒヤリハット体験を、同じ高齢者の立場からわかりやすく解説するこのコラム。今回は、周囲の車の流れにつられることによる危険性の話。運転経験が長いほど慣れや思い込みも強くなる傾向があるので、改めて基本に立ち返ることを意識したい。

大型トラックが視界から消えたら…

片側3車線の幹線道路、先の交差点で左折するため、一番左側の車線を走っていた。流れはスムーズながら、前車は大型トラックなので、少し車間を空けていても、前方の様子をつかめない。いつもは渋滞箇所なのに、隣の車線もスムーズで、快適な走りに気分も上がる。と、前の大型トラックがその勢いのまま斜め左の都市高速のランプウェイに分岐して行く。


急に視界が開け、さらにアクセルをと思った瞬間、前の乗用車の赤いブレーキランプが目に飛び込んできた。一瞬「なんで!」と思うと同時に、ブレーキを踏む。なんとか間に合い、追突をまぬがれた。バックミラーを見ると、後続のドライバーも必死にブレーキを踏み、こちらの車への追突も避けられた。この時、右隣の車線は何事もなく、スムーズに流れていた。


少しではなく、しっかり車間距離を取っていなかった反省が第一だが、長い運転経験から、トラックなどの大型車の後ろを走るとき、前方が見えないぶん、並行する車線のスピードも目の端に感じながら、前方の様子を窺(うかが)い、スピードをコントロールしている。それが、気づかぬうちにそのスピードに“つられて”走っていたのではないか。そこにも、急ブレーキを踏む一因があったように思う。この場合に限らずだが、長い運転経験による運転予測も、それが曖昧なものであれば、時に危険を引き寄せてしまうことを、身をもって体験した出来事だった。

指をさす男性

長い運転経験が、逆に危険を引き寄せることも。

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