センサー異常を招く春の嵐
シニア世代の思い込み運転を考える高齢者の運転に詳しい専門家が、高齢ドライバーにありがちな思い込み運転やヒヤリハット体験を、同じ高齢者の立場からわかりやすく解説するこのコラム。今回は、最近の車に多く設置されているセンサーの誤作動の話。窓と同じように、センサーの汚れにも気を配っておくことが大切になるようだ。
泥で安全性能が低下!?
前日まで何も問題がなかったが、信号等で止まるたびに、障害物への接近を知らせるブザーが鳴る。前車への接近を警告しているようでもあり、そうでもなく、訳がわからず困惑する。モニターを見ると左斜め前方に障害物ありの扇状の図形が現れ、赤色で衝突の危険を警告している。だが、そこに障害物はない。対処法がわからず焦るし、血圧も上がる。
車を止めて冷静に考えてみた。まず思いついたのは、パソコンがおかしくなったときに行う再起動だ。エンジンを切り、再始動して走り出し、ブレーキを踏む。同じ症状のままだ。無念!
次に、停止寸前の速度でモニターの図形が現れ、ブザーが鳴りだすことから、駐車時の警告センサーの異常かと思い、その関係と思われるスイッチを押すと鳴り止んだ。半信半疑ながら走り出し、そして、止まろうとしたとき、無情にもまた鳴り出した。もう降参である。これ以上の対処の術を持ち合わせない。
整備工場で見てもらうと、最初はセンサー異常かということで調べていたが、意外な原因が特定できた。それはセンサーにこびり付いた泥とのことで、「えっ」と思わず絶句だ。駐車時に接触や衝突を見張るセンサーにはしばしば助けられるが、そのセンサー表面に泥が付着して、車速が遅くなると、駐車の操作をしていると勘違いして、ブザーが鳴っていたということだ。カメラのレンズならわかるが、超音波のセンサーが泥に弱いとは。そういえば、前日は春の嵐で、異常な強風と豪雨であったため、巻き上げられた泥がセンサーにこびり付いてしまったのか。
車の安全性能を左右するセンサーも泥で機能を狂わされることがあるとは……。高齢者向けのサポカー(安全運転サポート車)にもたくさんのセンサーが付いているので、その恩恵を受けるためにも、これまで以上に、しっかり汚れを拭うことを心掛けたい。
- 運転をあきらめないワンポイント
車をきれいにしておくことで、より安全に!
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