高速道路、高齢者なりのハイ・スピードを
シニア世代の思い込み運転を考える高齢者の運転に詳しい専門家が、高齢ドライバーにありがちな思い込み運転やヒヤリハット体験を、同じ高齢者の立場からわかりやすく解説するこのコラム。今回は制限速度が高い高速道路を走った経験からわかった、高齢ドライバーにふさわしい高速道路の走り方。無理せず、自分にとって快適な速度を知ることが大切。
流れに乗れなくなったら
新東名高速を走った。2車線区間が減って、ほとんどが3車線となり、最高速度も120㎞/hになった。高齢ドライバーにとっても快適なドライブではあった。だが、本音をいえば、一定の車間距離を維持するのが難しく、その速度にも違和感があった。もともと新東名自体、東名高速より山間部を走っているので、かなりのアップダウンやトンネルがある。さらに風景の広がりも加わり、車速の微妙な変化のコントロールが難しい。結果、いつの間にか車間距離が空き過ぎてしまう、といったことが起こった。
問題はアクセルワークだった。以前のように前車の速度に合わせて、自然に微妙で柔軟な踏み加減ができない。硬化した脳と足首では、つい踏み過ぎる、戻すのが遅れる、といったことが起こる。危険があったわけではないが、全体の速すぎるスピードに引っ張られて運転しているように感じた。
この時、待てよ、と考えた。流れを乱すことなく、周りに迷惑をかけない年齢なりの位置取りやハイ・スピードの走りがあっても良いのではないかと。どうしても老いを嘆き、若い頃のスピードを追いかけ、無理にも追越車線を走ってしまう、といったことをしがちになるが、高速走行時は特に冷静になろう。自分がコントロールしやすい速度や車間距離のとり方を改めて考えよう。たとえば、自分の速度と合いそうな車を見つけてその後ろを走る、大型車の後ろはできるだけ避ける、といった基本的なことから始めるだけでも、肩の力が抜けた自分なりの「安全ハイ・スピード」が楽しめるようになる。
- 運転をあきらめないワンポイント
コントロールできる速度と車間距離で高速道路を走ろう。
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