文=岩越和紀(NPO法人高齢者安全運転支援研究会・理事長)/イラスト=平尾直子

一時停止違反は臨時認知機能検査に

シニア世代の思い込み運転を考える

高齢者の運転に詳しい専門家が、高齢ドライバーにありがちな思い込み運転やヒヤリハット体験を、同じ高齢者の立場からわかりやすく解説するこのコラム。今回は75歳以上のドライバーが一時停止違反など特定の違反をすると、認知症を疑われ、検査の結果しだいで免許取り消しになる可能性があるという話。

止まったつもりでいると…

普段の運転で、一時停止線を厳密に意識することはあまりないかもしれない。標識や停止線があれば、何となくこの辺で止まればいいかな、くらいで止まる。なかには速度を緩めただけで止まったつもりになり、そのまま行ってしまう車も多く見かける。だが、この曖昧さ、75歳以上になると、違反だけでなく検査が必要になることもある。

あまり知られていないと思うが、これが「臨時認知機能検査」で、75歳以上が免許更新時に受ける認知機能検査と同じ検査を、違反時に受けさせられることになる。つまり、「一時停止がしっかりできない→認知機能の衰えが疑われる→検査が必要」ということで、その都度この検査を受けなくてはならない。医師の最終診断で認知症となれば、免許取り消しともなる。

臨時認知機能検査を受けることになる違反は認知症由来が疑われる違反で、一時停止違反など18項目(下記参照)ある。死亡事故の割合が多くなる75歳以上の運転者には、それなりの重い安全責任が問われているということだ。まずは普段の運転時、一時停止をしっかり守る。それも停止線直近を意識して止まることから始めたい。

臨時認知機能検査の対象になる違反(18基準行為)
(1)信号無視 (2)通行禁止違反 (3)通行区分違反 (4)横断等禁止違反
(5)進路変更禁止違反 (6)しゃ断踏切立入り等 (7)交差点右左折方法違反
(8)指定通行区分違反 (9)環状交差点左折等方法違反 (10)優先道路通行車妨害等  (11)交差点優先車妨害 (12)環状交差点通行車妨害等 (13)横断歩道等における横断歩行者等妨害等 (14)横断歩道のない交差点における横断歩行者妨害等 (15)徐行場所違反 (16)指定場所一時不停止等 (17)合図不履行 (18)安全運転義務違反

指をさす男性

一時停止を甘く見ていると、免許取り消しの可能性も。

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