10月のテーマトーク：意外な発見【1】

私はかつて、フルタイム勤務で、ほぼ毎日残業があるという、忙しい職場で働いていました。そのため、毎日夕食を作って、片付けをすることが大変な負担でした。そのうちいつの間にか、いかに早く作るか、また、洗うのが大変だからいかに調理道具を使わなくてすむかに重きをおいて、料理も仕事の延長のように、費用対効果を考えながら事務的にやってしまっていたように思います。

最近になって、子供たちが社会人になったこともあり、退職しました。たくさんできた時間をはじめは持て余していたのですが、今ではスマホをかたわらに、いろいろな料理に挑戦するようになりました。

すると、以前の私にとって負担でしかなかった料理が、とても楽しくなってきたのです。「私って意外と料理のセンスがあるかも?」とうぬぼれながら、日々時間をかけて、料理をしています。

地元のマラソン大会に参加し、走り終えたとき、不意に声をかけられました。「タイム、速いなあ」。振り返ると同年代の参加者と思われたのですが、誰だかわかりませんでした。

すると、「俺や、俺」と言うのです。思い出しました。小学校のときによく遊んだ友人でした。中学、高校、大学と別々の道を歩み、疎遠になってしまっていたのですが、なんと45年ぶりの再会となりました。

45年も会っていなかったのに、よく声をかけてくれたものだと思いました。何より、長い月日は顔も体形も変えてしまうということが、意外であり、驚愕の発見ともなった友人との再会でした。