撮影=小林大介/ モデル=中村奈美

長時間運転で溜まった疲労とコリを和らげる易しいストレッチ

運転疲れに効く簡単エクササイズ
藤田英継

運転中の姿勢は、膝や脚の付け根が曲がり、手が前に出ていて背中が丸まっているなど、人間の自然な姿勢と比べると違う点が多く、首や頭も前に出がちです。この姿勢が長時間続くと、筋肉が固まってしまい日常生活の姿勢も悪くなってしまうとともに、局所的に疲労が溜まってしまいます。今回は運転姿勢で固まりがち・疲れが溜まりがちな部位をピックアップし、それぞれに効果的で簡単なストレッチをご紹介いたします。運転後にコリや疲れを感じたら、ぜひ行ってみてください。 ※どのストレッチも30秒程度の長さで、伸ばす場所が痛くない程度の強さで行ってください。

目次

腸腰筋(脚の付け根)のストレッチ

腸腰筋のストレッチ

黄色部分の伸びを意識すること

腸腰筋は腰から骨盤を通って腿の骨の内側についている大きな筋肉で、脚を前に引き上げたり、背骨や骨盤の角度を安定させたりと、立ち姿勢に大きく影響する筋肉です。固くなる、あるいは衰えると腰痛にもつながりますので、運転後はしっかりストレッチしましょう。

腰幅で左右の足を真っすぐ前後に開きましょう(足を後ろにしたほうの腸腰筋がストレッチされます)。写真のように、前足は膝が90度からもう少し曲がるくらい、後ろ足は腰を反らさずに真っすぐ前を向ける範囲でできるだけ後ろに置き、腰を落としましょう。室内であれば、後ろ足の膝は床に置いても大丈夫です。

足の位置が決まったら、軽くおなかに力を入れ、腰が反らないように気を付けながらお尻を真っすぐ前に押し出すようにスライドさせ、脚の付け根からおなかを伸ばしましょう。体重を支えるのがつらい方は、両手を前脚の腿に置いてください。脚の付け根からおなかやおなかの奥のほうにじわっと伸びを感じられるくらいの強さで呼吸を止めずに、左右両方とも伸ばしましょう。腰や脚の付け根に違和感や痛みのある方は、痛みが出ないように注意しながら無理をせず行ってください。

手首(腕橈骨筋〈わんとうこつきん〉ほか前腕の筋群)のストレッチ

手首のストレッチ

黄色部分の伸びを意識すること

ハンドルを握る時間が長くなると、手首や肘から先の前腕部の筋肉が縮んだ状態が続き、固まりがちです。特に寒い冬は、指が開きにくくなるので、グーパー運動などで血流を促すとともにストレッチも取り入れましょう。

ストレッチしたいほうの腕を、手のひらを上にして前に伸ばします。手のひらを前に向けるように手首を曲げ、反対の手で写真のように指先を持ち、手首~肘にかけての手のひら側の筋肉を伸ばします。左右両方とも行いましょう。

三角筋(肩)のストレッチ

三角筋のストレッチ(前から)

黄色部分の伸びを意識すること

三角筋のストレッチ(斜め前から)

黄色部分の伸びを意識すること

肩を覆う三角筋は、腕を動かすときに大きな役割をする筋肉ですが、運転中は腕を前に出したまま長時間過ごすため、固まりがちです。ご紹介するストレッチでよく伸ばし、リラックスさせましょう。

伸ばしたいほうの腕を写真のように身体の前に出します。反対の腕で、伸ばしたいほうの腕の肘より上(肩寄り)を写真のように押さえ、身体のほうに引き寄せながら少し持ち上げます。肩の側面にじわっと伸びを感じるような強さで行いましょう。腕を動かす動作に違和感や痛みがある方は、強く行わないようにしてください。

首(胸鎖乳突筋)のストレッチ

首のストレッチ(前から)

黄色部分の伸びを意識すること

首のストレッチ(斜め前から)

黄色部分の伸びを意識すること

運転中、頭や首は前に出がちです。この状態が続くと首の筋肉が固まり、普段の生活でも頭が前に出た状態になりやすく、肩こりや頭痛の原因となります。首の前側~横につく筋肉である胸鎖乳突筋をストレッチしてリラックスさせ、良い姿勢を取り戻しましょう。

写真のようにまっすぐ前を向いた姿勢(立っていても座っていても構いません)から両手を後ろで組み、軽く胸を張ります。伸ばしたいほうと反対側を向き、さらにその姿勢から頭を後ろ方向(右を向いたら右側)に倒します。肩を下に落とすようにすると、よく伸びを感じられます。呼吸を止めないように気を付けながら、左右両方とも行いましょう。首に痛みのある人は行うのを控えてください。

藤田英継

ふじた・ひでつぐ トレーナー。表参道のパーソナルトレーニングジム、evergreen代表。東京大学大学院で身体運動科学を学び、トレーニングと脂肪や糖質の代謝、遺伝子、ホルモン、細胞レベルでのカラダ作りのエキスパートとして活動する。これまでに延べ1万人以上のセッションを経験。

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