日本と世界の道の雑学

熊本県の国宝 通潤橋にも負けない魅力満載!大分県の石橋を渡りまくってきました!

大分県は、実は石橋の設置数が日本一

高橋 学
2023.11.25

写真・文=高橋 学

2023.11.25

写真・文=高橋 学

今回のテーマは「石造りの橋」。2023年9月25日、熊本県にある近世最大級の石造アーチ水路橋「通潤橋(つうじゅんきょう)」が国宝に指定されました。意外なことに土木構造物が国宝指定されるのは初めてだそうです。諸説ありますがわが国で現存している石造アーチ橋(以下 石橋)は全国で約2,000基あるそうで、そのうち約1,800基は九州にあります。通潤橋は長崎県長崎市の眼鏡橋とともに観光名所としても名の知られた、石橋の代表選手のような存在です。筆者も以前から九州を走るたびに目に入る石橋が気になっていたので、これを機に石橋巡りのドライブに行ってきました。

「日本と世界の道の雑学」では、これまで何げなく利用してきた道路を通るのがちょっぴり楽しくなりそうなお話をお届けします。

わが国の土木構造物として初めて国宝となった「通潤橋」

今秋、わが国の土木構造物として初めて国宝となった「通潤橋」

2023年にわが国の土木構造物として初めて国宝となった「通潤橋」

冒頭で触れたように現存する石造りの橋の約9割が九州にあり、もちろん通潤橋のある熊本県にもたくさんの石橋が見られます。ところが、いざ調べてみると圧倒的に数が多いのは大分県。その数はなんと約500基。全国の石橋の1/4は大分県に集中していたのです。というわけで、今回の主たる目的地は大分県に決定。実際に走ってみるとあるわあるわ、本当に石橋だらけ。今回は県内で最も多い豊後大野市(115基)と2位の宇佐市(100基)を中心に印象的だった橋を紹介します。

ほっそりとした長い橋脚が美しい鳥居橋(宇佐市院内町)

生い茂る木々で少々見にくいのですが5連のアーチを持つ「鳥居橋」

生い茂る木々で少々見にくいのですが、5連のアーチを持つ「鳥居橋」

鳥居橋は、宇佐市の中でも石橋が密集する院内(いんない)町を代表する5連アーチ橋。ほっそりとした長い橋脚から「石橋の貴婦人」と呼ばれているそうです。1916(大正5)年完成で、一見華奢(きゃしゃ)に見えますが今でも自動車が通行できます。川面を見下ろすと低い欄干も相まって結構恐怖を感じます。

橋高が町内一の荒瀬橋(宇佐市院内町)

石橋が密集する院内町の中で橋高が18.3mともっとも高い「荒瀬橋」

石橋が密集する院内町の中で橋高が18.3mともっとも高い「荒瀬橋」

同じ院内町にあり、こちらは2連アーチ。見学用の駐車場もありますが、近くに「道の駅 いんない」(JAF優待施設 )がありますので、天気が良ければこちらに車を止めて散歩がてらに橋を渡ってみるのもおすすめです。施設内には石橋に関する展示もあります。

石橋をモチーフとした看板が印象的な「道の駅 いんない」は荒瀬橋のすぐそば

石橋をモチーフとした看板が印象的な「道の駅 いんない」は荒瀬橋のすぐそば。

総重量2tオーバーは通れない分寺橋(ぶじばし/宇佐市院内町)

第二次世界大戦中に改修された「分寺橋」

均整がとれた3連アーチが美しい「分寺橋」

どっしりとした3連アーチの分寺橋は大正初期に建造され、第二次世界大戦の最中である1945(昭和20)年に改修された比較的新しい石橋。今でも生活道路として利用されています。なお、橋の重量制限は2t。これは車両と最大の乗員、積み荷を合わせた車両総重量のことですので、年々大型化している現代の乗用車の中には重量オーバーする車も少なくありません。実は重量制限2tという橋は他にもけっこうありますので注意が必要です。

 重量制限は2t

重量制限は2t。

出会橋・轟橋(であいばし・とどろばし/豊後大野市)

手前が車も通る「轟橋」、奥に見えるのが人道橋の「出会橋」(橋名板は「出合橋」となっています)

手前が車も通る「轟橋」、奥に見えるのが人道橋の「出会橋」(橋名板は「出合橋」となっています)。

1934(昭和9)年架橋の轟橋のアーチの幅は日本一、1924(大正13)年架橋の出会橋は日本2位。アーチの幅のトップ1位と2位は奥岳(おくだけ)川に並んで架けられています。轟橋は車も通行できますが、出会橋は人道橋。漢字表記を見ればピッタリのネーミングです。

8連のアーチが続く耶馬渓橋(やばけいばし/中津市)

 8連アーチが美しい「耶馬溪橋」ですが、2023年7月の豪雨により破損し現在通行できません

8連アーチが美しい「耶馬溪橋」ですが、2023年7月の豪雨により破損し、23年10月現在は通行できません。

8連アーチの石橋は国内唯一で完成は1923(大正12)年。橋の長さも国内最長の116m。遠くから眺めても橋の袂(たもと)から見ても、その美しさと存在感は圧倒的です。ただ、この橋は2023年7月の大雨により一部破損していて23年10月現在は渡ることができません。

今回、大分や熊本の山間部をドライブしながら橋を巡ってみましたが、この地域が自然災害でいかに大きなダメージを受けたかを知る旅にもなりました。冒頭で紹介した通潤橋も2016年の熊本地震で大きな被害を受けています。それだけに、そのたびに修復を繰り返しながら、地域のインフラとして数多くの石橋が現役であり続けていることには感動します。完成した頃通ったのは、馬車や牛車だったという橋も多かったでしょう。そんな時代の風景を今に伝える石橋巡りはなかなか楽しい時間でもありました。

大分だけでも約500基もあるうち今回紹介できたのはたった6基。もちろん他の橋もいろいろと訪ねてみましたが、これからもまだまだ楽しめそうです。

高橋 学

たかはし・まなぶ 1966年北海道生まれ。下積み時代は毎日スタジオにこもり商品撮影のカメラアシスタントとして過ごすも、独立後はなぜか太陽の下でレーシングカーをはじめとするさまざまな自動車の撮影を中心に活動。ウェブ等でカメラマン目線での執筆も行いながら現在に至る。

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